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#2 絶望の底なし沼

あの頃の私は、息子が大きな問題に直面したとき、その問題を乗り越えるための力をつけてあげる方法を知りませんでした。

息子の異変に必要以上に私の方がショックをうけてしまい、ドンと構えてあげられませんでした。

あんなに楽しそうに前向きに取り組んでいた塾に通えなくなり、中学受験はどうなっちゃうんだろう…。

勉強が遅れたら中学受験に失敗しちゃう!
今まで順調だったのに、どうしたらいいんだろう…。

息子には失敗しない人生を生きて欲しいのに。

今思えば、“失敗しない人生”なんてあり得ないのに。
かなり自分本位な考え方しかできていませんでした。

子どものことを思っていたつもりだったけど、すべて親の欲。
でも、あの頃の私は本気で「子どもには失敗させたくない」って思ってた。

目の前の息子を通して、息子の未来を心配してた。
息子の未来を心配することで、たぶん、自分が安心したかったんだと思う。

目の前の息子を見ているつもりだったけど、見ていた場所が違っていたんです。

1つ上手くいかなくなると次から次へと上手くいかないことが増えていき、気付いたらカオスな状態に…。

新しい塾を探しても良い塾が見つからず塾を転々としたり、原因不明の身体症状の原因を探すために病院巡りをしたり、漢方・整体・鍼・カイロなど良いと思われるものは何でも試したり…。

息子の身体症状が良くなる方法をたくさん探したけど、抜本的な解決方法は何一つとしてありませんでした。

私が息子の身体症状を治そうと、いろいろ調べているうちに、息子の症状はどんどん悪化していきました。

そして、息子の身体症状と成績は比例するように成績もどんどん下がっていきました。

塾も大手の塾から個別の塾に変更し、中学受験のレールから大きく外れてしまいました。

息子は、公立だと大嫌いな子と一緒になるのが嫌だとの理由で、受験勉強がさほど必要ない中学を受験し合格。

中学に入学してから少し体調も上向きになり、勉強にも少し前向きに取り組めるようになった矢先、また体調と成績がガクンと落ちました。

中間試験の結果をもとに、担任の先生からかけられた言葉に強く反応したんです。

「成績が優秀だから、このまま上位を狙って頑張りなさい。あなたがクラスを引っ張る存在になりなさい。」

先生の良かれと思った励ましの言葉で、塾でのトラウマがフラッシュバックしてしまいました。

それから、どんどん顔色が悪くなっていき、少し治まっていた身体症状もあり得ないほど悪化していきました。

その頃から、仲良くなったお友達との会話に合わせるために始めたゲームやYouTubeにどんどんハマり…。

それから、驚くほどあっという間に電子機器に依存。
ほんの一瞬、心の隙間にスッと電子機器って入っていくんですね。

もうこれ以上は悪くならないって思うのに、まだまだ落ちていく。 

気付いたときには、絶望の底無し沼から抜け出せずに窒息寸前でした。



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