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土星までの三十一文字

数多ある 屋根の中から めぐりあい 築いた絆 星よりつよく その五文字 どこの言葉で 伝えよう? あふれる想い こぼさず全て 作られた 記憶によぎる あの笑顔 嘘だとしても 忘れないから エイリアン 輪っかの外へ 飛び出して 降り立った海 出会ったひかり 手を振って 愛の代わりに さようなら 離れていても 同じ名字だ ほんとうの 名前を探す 日々だった 選んだ音で 兄にへんしん! アルバムを 捲ればそこに ある隙間 指でなぞれば 透けるぬくもり 土星人 見上げた

    • 故障しっぱなしの夜に〜アウトオブオーダーな人たちへ〜

      舞台「OUT OF ORDER」は英国劇作家レイ・クーニーの喜劇を演出・マギー×主演・中村倫也、競演ユースケ・サンタマリア他で今年の11月から12月にかけて日本各地で上演されました。 ありがたいことに何回か観劇させていただいたのですが、その都度このホテルに集う人たちへの愛おしさが増していって止まらなくなりました。メモに思いつくままに書き出していたら、まとまりのない文章になってしまいましたが、思い出代わりに残しておきます。観劇レポではなく勝手かつ妄想まみれな人物評であり、ひと

      • ここでも、どこでも。

        中村倫也さんが世に広く知られるようになりテレビのバラエティに出てるのをファンになる前に見ていました。その時はアニメキャラのモノマネしたり愉快なエピソードを披露していたりして笑った覚えがあり、おもろいあんちゃんやなという印象だけで終わりました。 それから数年経過し石子と羽男でファンになり本人を追っていくと、見えていなかった一面だらけでえっ!?えっ!?と新鮮に驚いているうちに、いつのまにか戻れない深みにまで潜ってた。 舞台が好きで精力的に出演していること、歌や絵がうまくてとて

        • 推し短歌

          その背中 遠くあるほど 大きくて 二つの目では 足りないぐらい 激情を 乗せる板上 軋む音 息も忘れて のみ込まれゆく いくつもの 顔と声色 使い分け どれがほんとか 誰も知らない 燃える火を 消さないように 生きずとも 胸の奥底 絶え間なく燃ゆ

        土星までの三十一文字

          わたしの背中に手を振って

          ほんの少し前に映画「長いお別れ」を見ました。認知症を患った父親とそれを見守る家族の7年間の軌跡を描いた映画です。 認知症と聞くと身構えてしまう方も多いかもしれませんが、病名から連想されるシビアな現実を見せるというよりは、薄いベールを一枚覆って柔らかい色合いで仕上げているように感じました。 なだらかな坂道をゆっくりと下っていくように、じぶんという存在のかけらがぽろぽろと落ちていく。少しずつじぶんという輪郭がぼやけていく。山崎努さん演じる父親の姿は見ていて胸に迫ってきて切なか

          わたしの背中に手を振って

          ものすごく壮大なくだらないお話。

          明日からケンジトシが開幕ということで、なんとなく気分が高揚して落ち着かないので、自分を宥めるために真っ白な画面に文字を打ち込んでいます。 最近のインタビューを拝見していて嬉しいなと思うのが、届ける側として受け取る側である人達のことをきちんと意識してくれているところです。しかも受け取る側に対しての注文なく、自由に見てくれていいよ想像してくれていいよという懐の深さが、肩の力を抜いて作品に触れようという気にさせてくれます。敷居を低くしているというか、門戸を広く開けてくれている気が

          ものすごく壮大なくだらないお話。

          鈍く、刺さる─ハケンアニメのちから─

          ハケンアニメが日刊スポーツ映画大賞で作品賞、柄本佑さんが助演男優賞を受賞。一年の締めくくりに素晴らしいニュースを聞けたので、自分なりにハケンアニメの魅力を語りたくなりました。 原作は辻村深月さんの小説。アニメ制作を取り巻く人々の闘いと矜持を描いたお仕事小説の傑作。もともと作者のファンでもあったので、小説も読みとても胸を打たれたのを記憶していました。 なので映画化制作のニュースを聞いた時はすごく嬉しくて、キャストも信頼できる方々ばかりだったので期待しかして

          鈍く、刺さる─ハケンアニメのちから─

          響く音に跳ねる夢

          ルードヴィヒ大千穐楽が終わってはや数週間。映画上映も決まってまだまだ歓喜の日々は終わらなさそうですが、自分の記憶が消えていく前に書き留めておきたいことを文字にしてます。 けれど素晴らしい感想や詳細なレポなどはすでにTwitterやブログに溢れているし、私が書けることなんてほぼないような気がするんですが。それでもこうして文字を打ってるのは、マリーのことが頭から離れないせいです。 マリー・シュラザー。 男女の愛情ではない、ルードヴィヒにとっての〈不滅の恋

          響く音に跳ねる夢

          絶つのも、希うのも

          ※ルードヴィヒの軽いネタバレがあります。 ※舞台の感想というよりは超個人的な解釈です。 私の好きなバンドひとつに、くるりという京都出身の二人組がいます。今年で25年以上活動しているベテランの域に達してるバンド。曲も数え切れないくらい発表していて、好きな曲はたくさんあるんですが、そのうちのひとつにワールズエンド・スーパーノヴァという曲があります。 メロディも歌詞もとても気に入っていて、人生で何回聞いたかわかりません。この歌詞で特に印象に残っている箇所があります。 "

          絶つのも、希うのも

          石に羽が生えたなら

          ルードヴィヒの余韻やケンジトシの当落に悲喜交々な中、なんとなく石子と羽男のことについて書いておきたくなったので心赴くままに打ってます。 石子と羽男は名作ドラマを数多く生み出してるTBS金曜22時枠で、アンナチュラルやMIU404などの傑作ドラマを作られてきた新井プロデューサー×塚原演出の最新作。しかも主演は役者として素晴らしい有村架純と中村倫也。もう発表された時からドラマオタクとして楽しみにしていました。 放送されて結果的に私の想像を軽々と飛び越えるような名作

          石に羽が生えたなら