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2023年春、私の国語授業観

先生方
国語授業研究室のアカウントとしての発信は久しくしてなかったが、いかがお過ごしだろうか。
私はというと、3年間に渡り国語専科として授業づくりをしていく中で、私の国語授業観も大きく揺れ動き、また大きく揺れ戻しを繰り返してきた。
それは、日々いろんな先生方から影響を受けては自分の実践に活かし、目の前の子どもの姿に寄り添っては理想の授業を追求してきた結果であり、またその過程でもあるからである。
しかしそんな中においても、特にこの1年間はICT×国語の授業を切り口に『クリエイティブな子ども』をめざして授業創ってきた。
なぜ、国語授業でクリエイティブなのか?と思う先生がほとんどかもしれない。読みの授業や漢字の指導なんてのは圧倒的に受け身になりがちな印象を持たれるからである。
だからこそ、クリエイティブな国語って何か?と思う方も多いだろう。
今日は、私の国語授業に対する現時点の授業観をここに残しておきたい。

①なぜ今、クリエイティブな国語なのか?

1番の理由は、時代のニーズである。
『よのなか研究』という言葉もあるように、私たち教育者はこの時代の流れの先読みが常に求められてきた。
今、目の前の子どもたちが社会に出るときに本当に役に立つ力はなんだろうか?どんな力を身につけさせておくことが大切なのだろうか?当然私も常に考えてきたし、教師を数年経験すれば誰しもが考えたことはあるだろう。
2023年現在の私の答えは、生産者として生きる力。クリエイティブに物事を生み出す力が最重要課題だと考えている。
理由は簡単で、消費者として生きていくことが難しい時代になりつつあるからだ。
クリエイティブに世の中に参加できる力こそが、これからの時代に求められている。
教師の仕事も同じである。生産者としての教師こそが、未来の学校では本当の意味で生き残っていくと考えている。
教科書や指導書をなぞっているだけの授業をしていたこともあった。そんな時期も大切だった。しかしそれではいけないと気づいた。クラスづくりについて考え始めた時期もあった。ある先生の勉強会に毎月参加して、学級経営は子どもをみとる力だと教えてもらった。特に、子どもをつなぐファシリテートとその子に合わせたコーチングに関心を持って学んだこともあった。
もちろん、その力はもちろん現場で役に立っているし、今後も間違いなく無駄にはならないだろう。
しかし、それをこれから高め続けていく必要を考えたときに、そこには少し立ち止まる必要がありそうだ。
例えば、今やChat GPTの方がどんな悩み事も圧倒的に寄り添ってくれる。
正確に子どもたちの対話を教えれば、ファシリテートだって、ひょっとすると人間よりもChatGPTの方が的確に繋いでくれるのかもしれない。
10年後、20年後の未来では、AIがもっと社会の中核に位置付き、我々の仕事の大半を担っていくようになることは、誰しもが想像つくだろう。
しかし、ChatGPTに負けてばかりではこの仕事は続かない。教師の役割は時代と共に変わりつつあることに気づかないといけない。
そこで、私が力を入れているのがクリエイティブな国語授業である。
特にGIGAスクール以降一気にクリエイティブな授業はつくりやすくなったといえる。
そして、ICT×国語のマッチングで子どもたちと生み出す授業、子どもたちと創り上げる授業、をどんどん進めてきたのは確かだ。
けテぶれ学習法のブームも重なった。今や、家庭学習は計画も含めてすべて子ども自身が自らの学びを生み出すのが当たり前になった。
2023年現在、漢字ドリルをひたすら写すだけの受け身の学びを子どもにさせているのだとしたら、そのクラスは今すぐ時代の変化に気づいたほうがいいだろう。

②クリエイティブな国語授業とは

クリエイティブな国語授業とは、一言でいうと、子どもたちと学びを創ることである。
子どもたちの問いから創ることもあれば、学校や地域をよりよくするために創ることもあるだろう。
大切なのは、子どもたち自身が自分たちで学びを創ったことを自覚することである。
自覚するために、単元前の問題意識や課題発見能力と、単元後の成果物や反響、いわば学びの省察を大切にしてきた。
例えば、5年生では、卒業式に出れないかわりに何かできることはないかという課題を設定し、子どもたちの提案で『卒業生に贈る詩で巣立ちの階段を創ろう』という単元のゴールを決めた。
単元の計画を創る過程では、そのためにどんなことを学びたいか?ということを引き出した。
卒業に相応しい詩を贈るためには、お祝いの気持ちを表す言葉を集めたい、美しい絵や言葉を添えたい、晴れやかに卒業してほしいなどの子どもたちの想いを授業にしていった。
自然と子どもたちは大造じいさんとガンや椋鳩十作品から美しい表現を見つけたいと読み進めた。
そうやって子どもたちが創った詩を、卒業生や先生方は階段の踊り場で立ち止まって読む。
何人かの卒業生は、何か感謝の気持ちや言葉を5年生に届けてくれた。
そういった繋がりの中から、改めて自分たちが創った学びを自覚することができたはずだ。
これはあくまで一例である。このほかにも、6年生が日本文化を発信するパンフレットをCanvaで作成し他の学校に紹介したり、5年生が学校をよりよくするためFormsでアンケートを取ったデータを元にビラを配ったり、放送で呼びかけたりもした。明治図書の実践国語研究6/7月号に、詳しい記事を書いているので興味がある方にはご一読願いたい。
また、自覚化には達成感が必要である。
達成感をわかりやすくするために、成果物の形にはこだわってきた。
詩をつくったあとのレイアウトや言葉にこだわらせ、掲示の仕方にも想いを乗せてやるのだ。
レイアウトにこだわらせる子どもを生む上で、Canvaは特に有効だった。
自由なレイアウトと新しい発想を生み出す点で魅力的なツールなので、ぜひ取り入れてみてほしい。

③生産者としての教師をめざすためにしていること

まずは、前提として多くの学びに足を運ぶことである。それは、常に新しい見方・新しい考え方に触れることで自分自身の発想力を高めることができるからだ。魅力的な見方ができる先生のもとであれば、夜行バスで0泊2日で移動なんてザラである。
次に、教科書以外の教材を開発することである。
私には幸いにも『読皆塾』という関西で国語の授業開発をする研究会を共にする仲間がいる。
ここでは、教科書教材になっていない絵本や童話を教材化したり、教科書教材とタイアップするならどのような展開がいいかということを話し合っている。さらには、その場で実際の模擬授業を行い、著名な先生方から協議会でご意見をいただくまでしている。
このような学び方を繰り返していくうちに、やはり自分自身の授業に対するクリエイティブ力は進化し続けてきた。
最後に、今ここに書き残していることもそうだが、発信者としての教師を立ち振るまうことである。
たとえば、執筆依頼や登壇依頼や講師依頼があれば必ず受ける。依頼がなければ、自分からTwitterやnoteで発信する。または、自分の勉強会で自分で実践発表をするのだ。
そして、生産者として何か新しい提案をし続けていくということだ。
再び幸いにも、私にはMicrosoft認定教員のつながりから、教育クリエーターフェスSCHOOLを共に創る仲間がいる。
まさに、SCHOOLでは、次々に真新しいクリエイティブな授業ばかりが提案されている。ここに参加されている先生のほとんどがクリエーターと呼ばれるに相応しい先生方だろう。
100人トークスというイベントに参加した後に、SCHOOLのプロデューサーから、『先生方は、もっと広い世界に発信していってほしい!そうすれば、きっと先生に憧れる子どもが増えるし、先生という仕事の魅力が発信できる!』と熱弁されたことがきっかけでこのイベントに関わるようになった。
言われてみれば、私も含めて多くの先生方は先生方の世界の中でしかあまり知られていない。
著名な先生でもその凄さや魅力は子どもや保護者、これから先生になろうとする学生にはほとんど知られていないのではないだろうか。この方に言わしてみれば、それがあまりにも勿体無いというのが主訴である。
本来ならば、私たち教師もプロ野球選手やプロサッカー選手がそうであるように、プロ教師として子どもたちの憧れになりたいと思うわけである。しかしどうもそれは、目の前の子どもたちや一部の先生にしか届かないのが学校文化の難しいところであり、時代に合っていないのだ。
私は、そういった時代や文化の垣根さえも超えていく熱量で、生産者としての教師の姿を追求していきたい。そんな思いで、今回SCHOOLへ参加しようと心に決めた。

最後に、2点告知をさせてほしい。
1つ目は先述の読皆塾の100回記念大会の開催が決まった。私もここで初見教材で授業を創り、その場で模擬授業をする。なんと筑波大附属の青木先生、桃山教育大学の二瓶先生にも参加していただき、教材研究や協議会でご指導いただく。
100回記念に100人集客したいというのが、私の目標であり会としての節目への願いである。
どうかたくさんの参加をお待ちしている。
参加フォームは下記のこくちーずから!

2つ目はSCHOOL武蔵野である。私は詩集づくりワークショップでその日に集まってくれた一期一会の子どもたちと世界に一つしかない詩集作りの授業をする。
パソコン画面で行うパネルクイズを通して五感に慣れ親しんだあと、五感を使った詩をCanvaで作り、その日のうちに詩集にして配布する。
Canvaを使ったことがない子どもたちでも、簡単に言葉を書き込んだり、好きなイラストを入れたりできるようになっている。
詩集は持ち帰った後、自分の言葉の宝箱としても使えることができるはずだ。
少しでも興味のある先生方、学生さん、もしおられたら一緒に授業に参加してほしい。ちなみにこの授業のサポートには都留文化大学の野中潤先生にもご参加いただいている。野中潤先生と繋がりたい先生方や学生さんも来てほしい!
参加申し込みはホームページから!

それでは皆さん、3月は武蔵野で、4月は京都で会いましょう。


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