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中国スタートアップ 資金調達Weekly Report_2021/03/12-2021/03/18_11w

こんにちは!
中国大好きな竹内雄登です。
現在は、SPEEDAというデータベース向けに中国産業調査をしていますが、
前職は、ソフトバンクでベンチャー投資などのM&A業務をしていました。

今年の2021年から、ITjuziというデータベースの情報をもとに、
Weeklyで中国スタートアップの資金調達状況について発信
することにしました。
このWeekly Reportでは、主に以下3点についてまとめていきますので、
お時間がない方は気になる箇所だけでも、ぜひご覧ください。

・各週の資金調達案件まとめ
 - 資金調達件数(日別、業界別、都市別、ラウンド別)
 - 投資金額(日別、業界別、都市別、ラウンド別)
 - 資金調達実施企業リスト
・上記資金調達により、新たにユニコーンになった企業
・投資案件数上位10の投資家

では、早速本題に入りたいと思います。

1. 日別 資金調達件数・金額

2021年の第11週目である3月12日〜3月18日における、
日別の資金調達状況を見ていきます。

[資金調達件数]
3月12日〜3月18日の週は、合計106件となりました。
なお、1月1日からの資金調達件数の累計は1,074件となりました。

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[調達金額]
非公開や曖昧な情報を除き、公開されている情報のみを集計したため、
あくまで参考としてのデータですが、3月12日〜3月18日の週では、
公開金額合計で170.4億元の資金調達が行われました。
また、1月1日からの調達金額の累計は1,667.4億元となりました。
なお、今週の106件のうち69件が金額非公開のため、単純計算すると、今週の調達金額は集計できた金額の約3倍の規模になると考えられます。

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2. 業界別 資金調達件数・金額

では、業界別に見ると、どうなっているのでしょうか。

[業界別 資金調達件数]
今週の106件の内訳を見ていきます。
業界別に見ると、法人向けサービスの資金調達件数が最も多く、合計で25件となりました。
次いで、医療・健康、ローカルライフサービス、先進製造が上位に入り、
上位4業界だけで今週の件数全体のうち59.4%を占める結果になりました。

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1月1日からの資金調達件数累計の内訳を見てみると、
上位4業界の医療・健康、法人向けサービス、先進製造、スマートハードウェアだけで、全体の59.0%を占めています。

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[業界別 調達金額]
公開されているものだけのため、あくまで参考程度のデータですが、
今週は法人向けサービス、先進製造、ローカルライフサービス、医療・健康の順に多く、上位4業界で全体の78.2%を占めています。

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1月1日からの調達金額累計を業界別に見ると、
物流、医療・健康、Eコマース、先進製造の順に多く、
上位4業界だけで全体の60.3%
を占めています。

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3. 都市別 資金調達件数・金額

続いて、都市別の内訳を見ていきましょう。

[都市別 資金調達件数]
今週の106件を都市別に見ると、
北京、上海、深圳、広州の順にランクインしました。
今週は上位4都市だけで全体の67.0%を占める結果となりました。

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1月1日からの資金調達件数累計の内訳を見てみると、
上位4都市の北上深杭(北京、上海、深圳、杭州)だけで65.9%を占めています。
今週も5位以下には広州、蘇州、南京、四川、武漢、山東が安定的にランクインしていますが、上位4都市との差は広がる一方です。

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[都市別 調達金額]
公開されているものだけのため、あくまで参考程度にご覧いただきたいのですが、今週は上海、北京、蘇州、広州の順にランクインしました。

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1月1日からの調達金額累計の内訳を見ると、
北京、上海、深圳、長沙に集中していることがわかります。
次いで、広州と杭州が多く、いわゆる北上深杭(北京、上海、深圳、杭州)や北上広深(北京、上海、広州、深圳)への偏りが見られます。

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4. ラウンド別 資金調達件数・金額

ラウンド別に見るとどうなっているのでしょうか。

[ラウンド別 資金調達件数]
今週の106件では、シリーズAが31件で1位、戦略投資が28件で2位になりました。
これら上位2つのラウンドだけで全体の55.7%を占めています。

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1月1日からの資金調達件数累計の内訳を見てみると、
先週に引き続き、シリーズA、戦略投資、シリーズBの順に多く
アーリーステージの企業による資金調達が活発であることがわかります。

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[ラウンド別 調達金額]
公開情報のみをもとに集計した調達金額をラウンド別に見ると、
戦略投資が最も多い53.6億元となり、全体の31.5%を占めています。
次いで、シリーズDが41.7億元で2位となり、全体の24.5%を占め、
上位2つのラウンドで全体の56.0%を占める結果となりました。

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1月1日からの調達金額累計の内訳を見ると、
シリーズA、シリーズD、シリーズBの順に多く、
上位3ラウンドでの合計は全体の59.0%
を占めています。

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5. 今週、新たにユニコーンになった企業

今週は4社が新たにユニコーン企業になり、
中国のユニコーン企業数は2021年3月18日時点で284社
*になりました。
*ITjuziが公開しているデータのため、その他データベース等がまとめている数値と異なる可能性があります

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[1社目]
企業名:锅圈食汇

業界:ローカルライフサービス
拠点:上海
設立時期:2019年7月
バリュエーション:30.0億米ドル/195.0億元
主要な投資家:IDG资本, 天图投资,嘉御基金, 招银国际, 启承资本, 不惑创投,
瑞橡资本
企業HP:http://www.zzgqsh.com/

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锅圈食汇は主に火鍋用の食材を販売するスーパーマーケット・コンビニをフランチャイズで展開しています。
現在、15の省・3つの直轄市をカバーしており、2017年の設立からわずか4年で5,000店舗を突破しているようです。

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食材の研究開発や物流網の構築を行うなど、独自のサプライチェーンを構築している他、加盟店への研修制度を整えているようです。

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嘉御基金(Vision Knight Capital)創始者兼パートナーの卫哲氏は、出資背景として、「火鍋用食材市場は数千億元の市場であり、依然として急速に成長している市場である。一方で、嘉御基金(Vision Knight Capital)は生鮮食品の販売という市場を楽観視している。この2つを組み合わせた“自宅で火鍋を食べる”というオリジナルの市場はますます発展するだろう」と述べています。
詳細はこちら:https://www.ebrun.com/20210317/425635.shtml

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[2社目]
企業名:航天云网

業界:先進製造
拠点:北京
設立時期:2015年5月
バリュエーション:15.4億米ドル/100.0億元
主要な投資家:工银投资, 深创投,招商局资本, 航天科工资产
企業HP:https://www.casicloud.com/

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航天云网産業用インターネットサービスのプラットフォームを提供している企業です。具体的には、政府、業界団体、企業などの顧客向けに、“IoT+スマート製造”を軸にしたクラウド製造・金融サービス・高効率な物流サービスなどのサービスを提供しています。

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例えば、太陽光発電設備の監視・保守に特化したシステムや風力発電の発電状況をモニタリングするシステムの他、製造実行システム(MES)なども提供しています。
最近では、コロナ対策として、物資需給のマッチングサービスや中央・地方政府毎の政策情報を集約するサービスを提供しています。

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なお、今回調達した金額は26.3億元ですが、これは中国国内の産業用インターネット関連企業における1回あたりの資金調達額で最高額となりました。


[3社目]
企業名:Patsnap智慧芽

業界:法人向けサービス
拠点:蘇州
設立時期:2010年12月
バリュエーション:15.0億米ドル/97.5億元
主要な投資家:红杉资本中国, 祥峰投资Vertex, 腾讯投资, 顺为资本, 中信产业基金, 软银愿景基金
企業HP:https://www.zhihuiya.com/

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PatSnapは、特許の検索・分析・管理のためのワンストップサービスプラットフォームを提供している企業です。世界中の従業員数は700名ほどですが、そのうち500名以上は中国のチームに所属しており、その70%がR&D担当者です。2018年末時点で、世界50か国以上の10,000以上の企業・政府・大学・各種機関にサービスを提供しているとのことです。

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今回、ソフトバンクビジョンファンドのほか、セコイアチャイナ、テンセント、CITIC PE、順為資本などから3億米ドル(約19.5億元)を調達しました。

本社がシンガポールにあるため、今回資金調達を行ったのはシンガポール本社だと思っていましたが、中国での各種報道から、中国法人による資金調達である体で本noteは記載をしています。
※ITjuziでは蘇州の法人が資金調達した旨の登録があります


[4社目]
企業名:怪兽充电
業界:スマートハードウェア
拠点:上海
設立時期:2017年4月
バリュエーション:11.7億米ドル/76.1億元
主要な投資家:阿里巴巴, 软银中国, 凯雷亚洲基金, 高瓴资本, CMC资本, 顺为资本, 高盛(中国),  凡卓资本(小饭桌), 尚珹资本, 云九资本, 中银国际
企業HP:http://www.enmonster.com/

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怪兽充电は、2017年創業のモバイルバッテリーを提供している企業です。
2020年の同社の売上は28億940億元(約471億円)で、純利益は7,540万元(約12億円)とのことです。中国のレストラン・デパート・ホテルなどの様々な場所に充電スポットを設置しており、2020年12月末時点の充電スポットは約66万4,000箇所に達しているそうです。

今年の3/13、同社は米国証券取引委員会(SEC)へ上場に向けた目論見書を提出したと報道されています。

その中で、今回アリババ・CMC Capital・カーライル・Hillhouse Capital・ソフトバンクベンチャーズアジアから2.34億米ドル(約15.2億元)を調達しました。
なお、今回の資金使途は明らかになっていません。


6. 今週、資金調達を行った企業リスト

2021年3月12日〜3月18日に資金調達を行った企業は以下の通りです。

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7. 今週末時点での投資件数TOP10の投資家

2021年の投資件数TOP10の投資家は以下の通りとなりました。
※順位の矢印は先週との比較を表しています

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テンセントは今週10件の投資を行い、先週に引き続き1位にランクインしました。
今週の投資先の業界は、法人向けサービスが最も多く、4件でした。
その他、金融に3件、医療・健康、ゲーミング、Eコマースへそれぞれ1件ずつの投資がありました。

セコイアチャイナも先週同様2位にランクインしました。
今週の投資案件は5件となっており、法人向けサービスに4件、金融へ1件という結果になりました。

なお、テンセントとセコイアチャイナは、上述のPatSnapに共同出資しています。




以上、今週の中国スタートアップ資金調達レポートでした。

今後も毎週レポートしていきたいと思いますので、よかったらスキとフォローをお願いします。


お問い合わせは以下にて受け付けております。
竹内 雄登(Yuto Takeuchi)
Twitter:https://twitter.com/yuto_takeuchi01


注:
・事実を整理し、定期的に投稿することを目的としていますので、投資傾向や特定企業の分析が薄くなることはご了承ください
・本noteにおける中国スタートアップは、中国を拠点とする非上場企業を指します
・本noteは速報の位置付けとしています
・投資件数・金額およびその他データは本note投稿時点にITjuzi上で集計できたものを反映していますので、後日ITjuziのデータが修正・削除された場合、Weekly Reportの前後で数値のずれが発生する可能性があります。ずれが発生した場合、遡及して過去分を修正しませんので、ご了承ください



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