宇宙人にチップを埋め込まれたのはなぜか ―M子さんの妄信―

(読了目安11分)

今回の投稿は、リンク先まで読むと「大作」になっています。
物事の本質に迫るためのわかりやすいヒントです。
じっくり考えたい人は読んでみてください。

◎宇宙人からのメッセージ


「私は宇宙人からのメッセージを受け取っている・通信用のチップを頭に埋め込まれた」

こう信じているM子さん(32歳)。
実際はどうなんでしょうか。


M子さんほど過激ではないにしても、マスターの経験上、独身女性の10人に1人ぐらいは、M子さんのような妄信の傾向があると思います。

・・・

M子さんは、「両親の不仲」の中で幼少期を過ごしました。
怒鳴り声の中、怯えて過ごすことが多く、そんな環境で身に付けた価値観で選んだ男性とは、いつも口論になってしまいました。
人間関係もうまくいかず、仕事での悩みが絶えない彼女の人生は、不安をベースにした「うつ状態」の人生でした。


M子さんは数人の彼氏とも続かず、悩んだ末精神科に通い始め、私生活では「スピリチュアル系」の世界を心の拠り所にしていました。
中でもM子さんは「ミステリーサークル」に興味を持ちました。
「ミステリーサークルは宇宙人からのメッセージ」と信じているグループと交流し、日を追うごとに「宇宙人」のことで頭がいっぱいになっていきました。


みなさんも体験しているように、人間は、興味がある分野や気になっている分野の夢を見ることがあり、M子さんは宇宙人関連の夢を見るようになっていきます。
拠り所が宇宙人しかありませんから、自分が見た夢を「宇宙人からのメッセージ」と感じるようになるのは自然なことでした。


スピリチュアルの世界に入り、ミステリーサークルに興味を持ったころから、M子さんに不思議なことが起こり始めました。
朝起きると、あるはずの食べ物がなくなっていたり、部屋の中のものが移動していたりしたんです。


夢なのか現実なのか区別がつかない状態になることも多く、寝ているときに宇宙人と遭遇しているような感覚になることもありました。
また、仕事の不安を消し去るために宇宙人のことを考えていると、身体がしびれたり、手足が動かなくなったり、窓の向こうに宇宙人の姿を見ることもあったんですが、宇宙人の思いを探り、地球や人類の平和を願うと、そのしびれは必ずなくなっていきました。


「身の周りの不思議な出来事は、きっと宇宙人からのメッセージに違いない」と感じ、M子さんはさらにミステリーサークルや宇宙人の研究をするようになりました。


やがてM子さんは、「ピーピピー」とか「キーーー」という、「電子音・通信音」のようなものが聞こえるようになりました。
普段から宇宙人と遭遇する夢を見ていたM子さんは、「頭に通信用のコンピューターチップを埋め込まれた」と信じるようになりました。
宇宙人には高度な文明があり、頭に傷をつけないまま、通信用のチップを埋め込むことができると思っているため、M子さんは自分の頭に傷がなくても不思議に思いませんでした。


そしてM子さんはこう信じるようになったんです。

「私は宇宙人からのメッセージを受け取っている」

「私は宇宙人から選ばれた特別な人間なの」

「私には人類を平和に導く使命がある」

「宇宙人からの言葉をみんなにひろめなければ!」

「地球が危ない!人類が危ない!みんな目を覚まして!」

宇宙人からのメッセージは「異常現象・電子音」など、あいまいなものでしたが、M子さんは地球を救う使命を感じ、「宇宙人からの声」として、上記にあるような自分の体験と、インスピレーションによって得たものを日本語にし、「宇宙人からの声」をインターネットで発信しました。


M子さんと同じように感じている人は思ったより多く、M子さんのサイトはある程度の賑わいを見せました。
M子さんは、「私には夫や家庭を持つよりも崇高な使命がある」と信じ、上に書いたような不思議な体験談を発信し続けました。



・・・以上です。
みなさんはどう感じましたか?


この話を、上記の本文を太文字にしていくつかに分け、本質的な視点から説明しますね。


M子さんは、「両親の不仲」の中で幼少期を過ごしました。
怒鳴り声の中、怯えて過ごすことが多く、そんな環境で身に付けた価値観で選んだ男性とは、いつも口論になってしまいました。
人間関係もうまくいかず、仕事での悩みが絶えない彼女の人生は、不安をベースにした「うつ状態」の人生でした。
M子さんは数人の彼氏とも続かず、悩んだ末精神科に通い始め、私生活では「スピリチュアル系」の世界を心の拠り所にしていました。

説明:
たとえば親から暴言・暴力を受けて育った子は、親から愛されたと信じたいあまり、親と同じ方法で愛を表現しようとします。
つまり、身近な人に対して、自分も暴言・暴力をふるってしまうわけです。
ですから彼氏とは続くはずはありません。
自分と同じような彼氏を選んでしまい、平和どころではなくなり、いつも不安の中にいることになります。
不安で彼氏がいない状態が続けば、精神科に行くのはある意味自然な流れです。
また、宗教やセミナーなどより当り障りなく、優しいイメージの「スピリチュアル系の世界」に没頭するのも当然の流れです。
※「親から愛されたか」も参考にしてください


中でもM子さんは「ミステリーサークル」に興味を持ちました。
「ミステリーサークルは宇宙人からのメッセージ」と信じているグループと交流し、宇宙人のことで頭がいっぱいになっていきました。

説明:
ミステリーサークルの本質はすでに明らかになっています。
※「ミステリーサークル」を参考に



みなさんも体験しているように、人間は、興味がある分野や、気になっている分野の夢を見ることがあり、M子さんは宇宙人関連の夢を見るようになっていきます。
拠り所が宇宙人しかありませんから、自分が見た夢を「宇宙人からのメッセージ」と感じるようになるのは自然なことでした。

説明:
精神的に不安定なため、見た夢をより強く信じてしまうだけで、宇宙人からメッセージを受けているわけではありません。



スピリチュアルの世界に入り、ミステリーサークルに興味を持ったころから、不思議なことが起こり始めました。
朝起きると、あるはずの食べ物がなくなっていたり、部屋の中のものが移動していたりしたんです。

説明:
ミステリーサークルに興味を持ったから不思議なことがおこったわけではなく、ちょうどそのころ精神科に通い、向精神薬と入眠剤を飲み始めたことが原因です。
解離性同一性障害の症状とも考えられますが、これは幼少期のショックからのものかもしれません。
これらの現象は、「解離性同一性障害」と「一過性健忘」で説明がつきます。
※「解離性同一性障害」を参考に



夢なのか現実なのか区別がつかない状態になることも多く、寝ているときに宇宙人と遭遇しているような感覚になることもありました。

また、仕事や人間関係の不安を消し去るために宇宙人のことを考えていると、身体がしびれたり、手足が動かなくなったり、窓の向こうに宇宙人の姿を見ることがあったんですが、宇宙人の思いを探り、地球や人類の平和を願うと、そのしびれは必ずなくなっていきました。

説明:
夢か現実かわからないのは、「向精神薬・入眠剤」による症状です。
手足のしびれは、緊張による過換気症候群、手足が動かない状態や宇宙人の姿は、「金縛り・変性意識」で説明がつきます。
宇宙人のことを考えていたから手足がしびれるのではなく、仕事や人間関係を思い浮かべたときの緊張が、手足のしびれ(過換気症候群の症状)のきっかけになるわけです。
過換気症候群や金縛りは、放置しても数分から20分ほどで治ります。
ただ、M子さんは治るまで祈るわけですから、「祈れば必ず治る」と解釈してしまうわけです。
M子さんは「祈らなかった場合はどうなるか」という実験をしていないだけなんです。
余談ですが、「てんかん」「抗NMDA受容体脳炎」など、身体が異様に激しく動く症状なども、悪魔や宇宙人のせいではなく、医学的に解明され、ある程度の治療も可能になっています。
※「過換気症候群」を参考に



「身の回りの不思議な出来事は、きっと宇宙人からメッセージに違いない」と感じ、一層ミステリーサークルや宇宙人の研究をするようになりました。

説明:
本質を見ないと、このように悪循環に入ってしまいます。



やがてM子さんは、「ピーピピー」とか「キーーー」という、「電子音・通信音」のようなものが聞こえるようになりました。
普段から宇宙人に遭う夢を見ていたM子さんは、「頭に通信用のコンピューターチップを埋め込まれた」と信じるようになりました。
宇宙人には高度な文明があり、頭に傷をつけないまま、チップを埋め込むことができると思っているため、M子さんは自分の頭に傷がなくても不思議に思いませんでした。

説明:
実際は、ただの「耳鳴り」です。
聞こえる音にもたくさんのパターンがあり、上記のような電子音もあります。
耳鳴りは、一過性のものを含めば誰でも経験があり、慢性症の場合、多くの人が悩んでいるというのが現実です。



そしてM子さんはこう信じるようになったんです。

「私は宇宙人からのメッセージを受け取っている」

「私は宇宙人から選ばれた特別な人間なの」

「私には人類を平和に導く使命がある」

「宇宙人からの言葉をみんなにひろめなければ!」

「地球が危ない! 人類が危ない! みんな目を覚まして!」

説明:
危ないのは地球や人類ではなく、M子さんの精神状態です。
M子さんがこの主張をするほど、愛を知っている人たちから敬遠されるようになり、完全に愛とは別の世界で孤立した存在になってしまいます。



宇宙人からのメッセージは「異常現象・電子音」など、言葉ではないあいまいなものでしたが、M子さんは地球を救う使命を感じ、「宇宙人からの声」として、上記にあるような自分の体験と、インスピレーションによって得たものを日本語にし、「宇宙人からの声」をインターネットで発信しました。

説明:
地球を救う使命を感じたのは、自分が不安だからです。
不安なため、誰からも否定されない目標を掲げ、共感者を集めたかったんです。
地球は45億年の歴史があり、最近になって人類を生み出しました。
人類がいくら努力しても地球を壊すことはできませんし、いつか人類が絶滅したとしても、地球はその後、何億年も存在し続けます。
※「愛は地球を救う?」を参考に



M子さんと同じように感じている人は思ったより多く、M子さんのサイトはある程度の賑わいを見せました。
M子さんは、「私には夫や家庭を持つよりも崇高な使命がある」と信じ、上に書いたような不思議な体験談を発信し続けました。


説明:
これで「宇宙人系スピリチュアル」の妄信者のグループができあがるわけです。
M子さんが美人なら「スピリチュアルリーダーの愛人」として、美人と言えないなら「スピリチュアル団体の収入源」になり、M子さんは「愚かな地球人たちよ、宇宙人からのメッセージを聞け!」と言いながら生涯を閉じます。
実際は、愚かなのも、話を聞くべきなのも、M子さんなんです。

・・・

M子さんの状態は「精神疾患」です。
このままでは、平和な家庭はもちろん、まともな彼氏もできませんが、ここでみなさんに質問です。
みなさんは、この状態を治すにはどうすればいいと思いますか?
(みなさんなりに考えてみてください)


マスターは、なにもかも忘れて、一度違う場所でゆっくりするといいと思います。
お酒が原因の病気なら、お酒を断つことがなにより大切ですよね。
両親・仕事・人間関係などが原因の精神疾患なら、それを断つことがなにより大切です。
そして少し余裕があれば、このnoteをよく読んでみるのもいいと思います。
早いうちに「探究」できる精神状態になれれば、その分長く愛される人になれます。


◎まとめ


では最後にまとめましょう。

「宇宙人にチップを埋め込まれたのはなぜか」

この答えは、

「本質から目をそらすから」

です。


実際M子さんはチップを埋め込まれていませんが、M子さんがそう信じている限り、M子さんにとっては事実なんです。


M子さんの問題の本質に迫るキーワードは、実際は以下太文字であって、宇宙人ではありません。

親から愛されたか
解離性同一性障害
向精神薬
入眠剤(導眠剤)
一過性健忘
金縛り
変性意識
過換気症候群
耳鳴り


不思議なことをなにもかも宇宙人のせいにし、自分で考えることをやめてしまうと、愛から遠ざかります。
子どもはサンタクロースを卒業できるんです。
大人が宇宙人を卒業することはできるはずです。
※「神を卒業する ―子どもはサンタクロースを卒業できるのに―」を参考に。

また、宇宙人がいるなら、人類との差は歴然ですから、人間のわからないところで勝手に行動しているはずです。
※「宇宙人はいるの?地球を攻めてくるの?」を参考に。

人間のテーマはいつの時代も、結局は「愛と平和」です。
人間はまだ未熟なので、「愛と平和を実現するために争う」という矛盾を繰り返していますが、愛と平和の実現には「妄信」ではなく「探究」が必要です。
今回の「宇宙人」という言葉を、他の様々な言葉に置き換えても、なにかヒントになるはずです。

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