起きたら部屋の様子がおかしいんです ―解離性同一性障害の話―

(読了目安4分)

下記太文字は、マスターがU子さんから受けた相談です。
U子さんは独身でひとり暮らしでした。
以下のようなことを相談されたとき、みなさんはどんな助言をしますか?


「空き巣に入られたような気がするんですけど、なにも盗まれていないし、荒らされている気配もないんです。ただ、不思議なことに、物が移動していたり、鏡に指紋がついていたり、夜聴いていたCDが、朝になると他のCDにかわったりしているんです。結局よくわからないままなんですけど、ホントに恐いです。警察に行けばいいんでしょうか・・・」



通常この状況だと、「被害」がないため、警察に相談してもなにもしてくれません。
マスターはこの話を聞いてすぐに精神疾患のひとつ「解離性同一性障害 (かいりせいどういつせいしょうがい) 」を疑い、U子さん本人が原因だと考えました。


この精神疾患は、心に大きな傷を負ったときに、自分の中に他人を作り、その人に苦痛を負担してもらうことで自分の基本人格を守ろうとする「自己防衛反応」の一種だと考えられています。
過去、「多重人格」と呼ばれていた時代もありましたが、近年、そのメカニズムが徐々にわかり、呼び方が変更されました。


以前はそのメカニズムがわからず、「キツネつき」「憑依」「霊の乗りうつり」「先祖のたたり」などと呼ばれ、「霊現象」と考えられていました。
中世ヨーロッパでは、出現する人格によっては、「火あぶり」や「斬首」など、「処刑」の対象になることもあったようです。


マスターはU子さんに質問しました。


マスター
「その事件の前に、すごくイヤなことがなかった?精神的ショックとか」


U子さん
「ありました。不倫相手の子供を堕ろしました。すごくショックでした」


マスター
「そうか、部屋の中の出来事は、きっともう一人のU子がやったことだと思うよ」



U子さん
「どういうことですか?」


マスター
「解離性同一性障害っていう精神疾患、聞いたことある?」


マスターは以前、解離性同一性障害の女性と生活を共にしたことがあったので、U子さんの話は、マスターにとって不思議なことではありませんでした。
むしろU子さんが体験したことは、まさにマスターが見てきたことだったんです。
「寝入り」や「驚いたとき」などに人格交代が起こりやすいことなどを説明し、長引くこともあればその場で終わることもあり、症状は様々だということも伝えました。
状況から判断すると、U子さんの症状はごく短期の一過性のもので、その後異変は起こらなかったそうです。


仮にU子さんに起こった「事件」を警察に相談しても、その場に解離性同一性障害について知っている警官がいなければ、U子さんの不安はなくならず、警官も、「この子の思い過ごしだろう・どうせウソだろう」と、両者とも納得できないままだったかもしれません。


また、警察に相談することをあきらめ、知識のない霊能者や超能力者に相談してしまったら、「霊の仕業・サイコキネシス」などと言われ、先祖供養や、パワーグッズの購入や除霊を薦められる可能性もあります。
しかもU子さんの症状は「その場限り」のものでしたから、「先祖供養」や「パワーグッズ」など、どの対策をとったとしても、「そのおかげで解決した」ということになってしまい、スピリチュアルの世界を妄信してしまいます。
そしてその後の人生で、なにか不都合が起こるたびに、霊能者や超能力者に頼ることになってしまったかもしれません。


これでは本質から遠ざかるだけでなく、経済的・精神的浪費も増え、周囲の人からは「スピリチュアル系のヘンな人」と言われ、愛から遠ざかってしまいます。


「気がつくと部屋の中の様子が変わっていた・なにも盗まれた形跡はない」


この現象をだれかに相談するなら、警察や霊能者などではなく、「医師」が本質的な判断です。
ただし、医師が勉強不足だったり、お金を稼ぐことを目的としているとやっかいです。
話を真剣に聞いてくれると思える医師に相談してください。

・・・

投稿タイトル一覧は以下です。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?