![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/146044244/rectangle_large_type_2_5058b1b2be0cd79e2fb312a781011cdd.png?width=800)
【連載】家族会議『共感を得るための自慢話宣言』
「親戚で一番幸せな家族になろうよ」のひと言から始まったわが家の家族会議。その様子を、録音記録をもとに書き記しています。
前回の記事はこちら。
家族会議6日目#4|共感を得るための自慢話宣言
【家族構成】
父:自己愛性パーソナリティ障害。頭に血が上ると大声で威圧する。
母:自己肯定感が低い。自分の意見を言えない。
姉:うつサバイバー。心理カウンセラーをしている。
わたし:性犯罪サバイバー。家族会議を主導する。
※遠方に住む姉は家族会議には参加していない。
※家族会議の目的は、夫婦仲の改善と、うつを抱える姉の気持ちをわかってあげられるようになることである。
――父が過去を振り返って話すと大抵、「なんの話かと思えば自慢話か」となることが多い。
表面上「自慢などではない」としながら自慢話をされると、なんだかモヤモヤするし反応も微妙になる。そこで家族会議では、「自慢話を堂々としよう!」ということになった。(詳しくは過去記事へ)
今回はここから父の自慢話のため、他人の自慢話を聞くのが嫌いな人は読み飛ばしていただきたい。笑
母:
わたしお父さんのなんか、聞きたい。
わたし:
お父さんの自慢話ね。1日1個とか言ってたんだよね。
父:
自慢話?
母:
うん。だってお父さん嬉しそうに話してるから。
「俺ここがすごいんだぞ」みたいな。今日は自慢話を聞くつもりで聞くから!
父:
中学校3年生のときに、誰でも3年になると各クラブの部長か何かなるでしょ。俺は軟式テニスの部長やったんだな。
――「3年になると誰でもクラブの部長になるでしょ?」と、「誰でも」と当たり前のように言う父。こういうところが無自覚の上から目線に繋がると思うんだけど…。
ま、自慢話だから…。
母:
うん。高校のときの話?中学校?
父:
中学校。高校はね、何にもやってないから。勉強もやらないスポーツもやらない。プラプラしてるだけで。
中学校の部活の部長やってたわけ。あのときにね、美智子妃殿下と結婚した。
母:
皇太子様とね。
父:
結婚したでしょ?それ、中学校3年のときなんだ。
それで、全校生の前で、部に集めるために部の紹介するわけだよ。「テニスというのは…」
「皇太子様もテニスが縁で結婚したんだから、テニスというのは非常に良いものです」と。いうようなことをいろいろ説明したんですよ。わかりもしないのに。そしたらね、すごい人数集まった。
わたし:
へぇー!!そうなんだ!
父:
テニスのコート1面しかない。にもかかわらず、こんなでてきてどうすんだ?って。笑
わたし:
へえー!
父:
結局、実際テニスやろうと思ったら1面しかないから、やれる人間ってのは限られてるわけだよ。ずっと待って、ちょこっとやれるか。そんなもんでもう即、いなくなったけどね。一ヶ月くらいで。だからあのときに集まったっていうのは、お父さんもすごかったなと思って。
わたし:
そうだね!お父さんの演説で集まってきたんだ。
父:
で、人数がいっぱい集まったから、予算も取らなきゃいけないわけだ。
わたし:
うんうんうん。
父:
各部長さんは。お父さんは人気一発目だったから。予算も、予算の分捕り合戦ってよく言ってたけど、予算も余計取って。
わたし:
うんうん。
父:
鼻高かったね。自慢話です。
わたし:
でも1ヶ月ぐらいでみんないなくなったから、すごい余裕があったわけね。予算に。
すごいね。中1から軟式テニスやってたわけ?
父:
中1からやってたかな。
母:
どうりで天皇陛下に似てると思った。お父さん。テニスもやってたし。
――「どうりで」という母の褒め方は無理やりだと思ってしまうわたし…。
確かに父の顔は、上皇様とちょっと似ている。おこがましいけど。でもテニスやってたから「どうりで」似てるわけでもない。
わたし:
なんか。上品なんだね。
母:
そっか?そっか。
父:
上品って。笑
わたし:
なんかテニスって、貴族のスポーツみたいな。上品なスポーツっていうイメージじゃん?
すごいね!お父さんの演説だけじゃなくて、お父さんに集まってきたのかもね。
母:
そうだね。(パチパチパチと拍手)
父:
すごいなぁ。(満足気)
わたし:
なんかイケメンだったわけでしょ?昔は。
父:
昔は。
母:
昔はモテたって言ってたよ。
――父は整った顔立ちなのだけど、それを活かすことなくぶくぶく太った。背も低かったから、わたしの友達からは「ペンギンみたい」と言われていた。笑
わたし:
だからそんなお父さんが演説したら、集まってきちゃうかもね!
父 :
ちょうどタイミングが良すぎたんだね。天皇陛下ご成婚!
わたし:
みんなカップルになりたくて集まってきたんじゃない?おしゃれな感じもね
母:
するし?もしかしたら?みたいな感じ?
わたし:
なんかイケメンが部長だし!みたいな。天皇(上皇)陛下と美智子様みたいになるかも!みたいな感じもあったかもね。
父:
最終的には10人集まってないな。10人以下かな。
わたし:
そうなんだ。笑
母:
話しを聞けて、よかったです。
そうそう。こんな感じだとなんか、素直に聞けるな。
もう一つ言う?
父:
いや、あのね。これ言ってほしいんだ。今日で言えねならいつでもいいんだけど。「お父さんのこういうところが上から目線だよ」っていうところを言ってほしいのよ。あまりわかってないんだ。
――自慢話を満足にできたのかもしれない。父は自ら、悪いところを言って欲しいと言った。父の歩み寄りである。
- 今日はここまで -
自慢話って、ある意味では攻撃なのだと思う。優位性をアピールされると同時に、こちら側が蹴落とされるのだ。
なんの話かも分からないまま自慢話をされれば、だまし討ちにあったような感覚になってしまう。それが、他人の自慢話で嫌な気分になる理由のひとつだろう。
だからこそ、「自慢話をする」という宣言が必要なのである。
宣言されていれば心を開いて聞くことができるし、そうやって聞いてもらえば、話す側の満足度も高い。共感してもらえるからだ。
他人を蹴落とすためではなく共感してもらうために話すのなら、自慢話もそう悪いものではない。
<次回に続く>
これまでの家族会議記事はマガジンにまとめています。お時間あればぜひ、わが家の会議をのぞきに来てください!
よろしければサポートお願いします! いただいたサポートはクリエイターとしての活動費に使わせていただきます!