見出し画像

愛ってなんだろうって20歳が全力で考えた話

1個上の先輩と1年半付き合い、急に振られて復縁するまでの2カ月間、愛とはなんだと全力で考えた実際の物語

大学生になって初めての彼氏だった

1個上の同じ学部の先輩。彼とは、飲み会で仲良くなって付き合うという大学生のあるあるルートで付き合った。頭も良くて面白くて常に輪の中心にいるようなThe人気者の先輩。そんな先輩に可愛がられて幸せだなぁって田舎から上京したばかりのピカピカ1年生の私は感じてた。

ある日、私は彼とカラオケオールをした。2人きりで。寝てしまった私はふと目を覚ますと目の前には1人ノリノリで歌う彼。今までカラオケオールした異性は、みんな何かしらアクションを起こしてきたのに。そんな彼の誠実さ?滑稽さ?に惹かれてしまった。

告白当日、彼から「飲み行こう」といつものようにラインが来た。私はオール明けの遊び後、さらに24時までのバイト中で白目をむきながら飲む気力が無いことを伝え、急遽散歩をすることになった。そして散歩後、家に入る直前に彼は「俺好きだわ」と言い、うつむいた。時刻は夜中の2時半。えええええっと私は声を上げ「私も」と咄嗟に伝え、気づけばキスをしていた。そして大学生初の彼氏ができた。憧れの先輩からの告白は嬉しくて。だけどすぐ別れるのだろうなって心のどこかで感じていた。

理想とのギャップに悶えまくる

先輩バイアスは正直あったと思う。
人気者の先輩が私の彼氏になり、初めての大学生の彼氏はどんな感じなんだろう、これからどんな大人な恋愛をするのだろうと想像するだけで胸が高鳴った。

だが実際、夢見た理想とは大きくかけ離れていた。比較をするのは良くないと分かっていながらも、完璧彼氏だった年下の元カレとついつい比較してしまう。電車で席が空いたらすぐに座りなと声かけてくれる元カレ、席が空いてもあと数駅なんだから座らなくていいじゃんとスマホを片手に言う彼。ソファー席を当たり前に譲り、お手洗い中に会計を済ませて「(私)が笑顔になれるならそれで十分」と口にする元カレ、先輩だけどご馳走してくれることはなく、迷いなくソファー席に座る彼。スマホを見るより私の顔を見つめる時間の方が長い元カレと、時間が空いたら迷いもなくすぐにスマホをいじる彼。秒速で先輩バイアスは幻想だったと気づいた。

それでもなぜか好きで好きだった。どこか私の思い通りにならない彼に惹かれていたのだろう。恋に恋をしていたのかもしれない。

互いに高め合い、未来を見た私たち

考え方が真逆な私たちは何度も激しくぶつかり合った。毎回の喧嘩では何時間も討論したり、ラインのリプライ機能を駆使して「これに関してはー…」と激しい戦いを繰り広げた。そして何が課題かを明らかにしてそこを変えていこうと誓い仲直りする、なんとも理性的な解決をしていた。そんな喧嘩をして仲直りする関係に「私たち、大人だね」と信じて疑わなかった。
理性が正義で感情で動くなんてダサいと感じていた。

高め合える関係だった。
私は意見を言うのがとても苦手なのだが、それでも喧嘩では負けたくなく、彼に負けじと伝えることで”伝える力”がついた。そして常にリーダー気質の彼は私の指摘により弱点を知り、直そうとした。
毎回いつか別れると思いながら交際していた私は、気づけばこの人が最後でいいと将来を見据えるようになっていた。

私たちは強がる子供だった

お互い交友関係が広く、他の異性とも変わらず遊んでいた。良い気がしなかったものの自分もしてるし、嫉妬なんてダサいしと気持ちを伝えなかった。またお互いゼミにバイト、インターンで忙しかった。忙しくて会えないときも私たちは強がって”寂しい”、”会いたい”と口に出せなかった。彼のことを口下手だと思っていたが、口下手なのは私もだった。
大人ぶった私たちは物事を合理的に考えて”言っても意味がないし”と言わない選択肢をとっていたのだ。

思い返せば何度も喧嘩した要因は、私がどう感じているかという”感情"を伝えあっていないことだったと思う。思いを隠して余裕ぶるのがかっこいいのでなく、素直に気持ちを相手に伝えることがかっこよさだと気づくことができなかった。

常に強がる私たちは”弱さ”を見せられなかったのだ。本当の強さは”弱さ”を見せられることなのに。

別れは突然に

言い合いでぶつかり合ったり、コロナで半年会えなかったり何度も危機を乗り越え順調な交際をしていると感じていた。1年半記念日はどうしようかと2人で悩み、いつものマックも記念日や誕生日のちょっとの贅沢も幸せだった。

そんな別れもよぎらないような日々の中、急に「電話できる?」と聞いてきた。いつものように最近の出来事などの他愛もない会話をした。そして一息ついたくらいに「別れよっか」と告げられた。私はえええええっと告白された時と同様の反応をした。「なんで!?」とただ疑問に思った。好きか分からなくなった、価値観が違う、俺たち合わないね、同い年だったらな、いつか関係が破綻すると思う…告げられる意図しない言葉は次々に心をグサッっと刺し、一瞬で心が崩れるのがわかった。そんなの前からわかってたでしょ?どうして今更?それでも好きだから付き合ってたんでしょ?ちょっと前まで半年記念日どうするか話してたじゃん…と納得できなかった。1年半あたりまえの存在で、喧嘩はしても別れはないと信じていた。別れは突然というのだけれど、あまりにも突然すぎた。

1人じゃ抱えきれず親友に振られたとラインをすると数秒で電話をかけてくれた。飲み会中にも関わらず号泣する私を辛かったねとなだめてくれた。しまいには飲み会のメンバーも慰めてくれた。その後も親友たちが夜中まで電話をしてくれた。

明け方眠りにつき、昼過ぎに起きてもまだ涙が止まらなかった。絶対を信じた相手がこんなにも急にいなくなるなんて思ってなかった。打たれ強い私だが、この時は本当に心がボロボロに砕け散っていた。握っていた手を急に離された、そんな気持ちだった。今まで生きてきた中で1番涙を流した日であった。
愛する人を失う辛さをはじめて知った。

強がりの後悔

友達のおかげで元気を取り戻すことができた。いつもはしないネイルをしておしゃれをしたり、ずっと入りたかった最寄りのバーに行ってオーナーと仲良くなったりと生活は彼無しでも充実した。おすすめのウィスキーを聞き、「ロックで」と頼み、自分かっこいいじゃんとか思ったり。それでも心の痛みは変わらなかったけれど。

数日後「部屋着取りに行っていい?」とラインが来た。断捨離が得意な私は別れを告げられた5分後には家にある彼の歯ブラシを捨て、彼のものは全て捨てようと紙袋に洋服を詰めていた。まだ捨ててなくてよかった...ではなくて「正気か?」と思った。仕方ないので「ドアの前に置いとくね」と伝えると「感謝を伝えたいから1分だけ会えないかな」ときた。最初から最後までなんて自己中なのだろうかと呆れる気持ちと、そんなところまで彼らしいと思う自分がいた。

会った彼は悲しそうだった。悲しいのは私なのに。
そして泣きながら
「ごめん。俺が全部悪かった。もう一度チャンスをくれないかな?」
と彼は言った。
意味が分からない。離さないでと言ったのに、手を急に離したのはあなただよ?じゃあなんで別れようって言ったの?なんでが止まらなかった。もう粉々になった心には何も響かなかった。大好きなはずなのに。

彼は大人ぶって強がっていたことに気づいたのである。
泣きながら素直になれなかった、弱さを見せても嫌われないことも分かっていたのに見せられなかった、もっと泥臭く愛せばよかった、本当に後悔していると言葉を何度もつづけた。辛いのは私なのになんでこの人は泣いているのだろう。なんで今お互い好きなのに泣いているの?と思っていた。
壊れるのは一瞬で修復には時間がかかることを身をもって感じた。

「心が粉々で今は何も考えられないよ」
そう私は伝えて、彼はチャンスをもう一度くれるなら連絡してほしいと言葉を残して帰っていった。
最後のキスは何も感じなかった。

ネジが外れたように

1年半ぶりに彼氏がいない状態になった私はたくさんの人とデートをした。面倒くさがりでメッセージが苦手なくせに、マッチングアプリで会ってみたり、別れたことを知った異性から誘われ会ったりとネジが外れたようにデートをした。

マッチングアプリでは6人とデートをした。今までの人生でネットで知り合い、実際に会ったことは一切なかった。なんか怖いし、いい人いなそうだし...と興味はあったものの実際に会うのには抵抗があった。だがいち早く、彼以外に素敵な人がいるという確信を得たかったのだ。彼と付き合っていた1年半、いわゆるキープを作っていなかったのである。他にいい人がいるって分かったらいいな、とそんな気持ちで始めた。

頭がいい人、やさしい人、下ネタしか話さない人、ムキムキな人、細い人、同い年から6つ年上までデートをした。みんないい人だけど2回目はいいやって思う人ばかりだった。

素敵で完璧な人

あーこんなもんかと思っていたところある1人に出会った。3つ年上の大学院生である。その人は、聡明で会話の引き出しがたくさんあって話してて楽しく、お店も予約してくれるスマートさもあり、自分の知らない世界をたくさん知っている人だ。話を聞けば聞くほどすごいと思わせてくる。勉強ができる賢さと社会で生きる賢さの両方を兼ね備えていた。たった3時間半カフェで話しただけなのにどんな人よりも楽しかった。カフェに入って少し話したくらいに勢いよくスープをこぼして私の服にかけたのにはびっくりしたけれど。

デートから2日後、2回目のデートのお誘いを受けた。2回目のデートはスケートと決まり、ものすごくワクワクしていた。

スケートはコケながらも楽しくて。もんじゃ焼きをお腹いっぱい食べてその人のおすすめのバーに連れて行ってもらった。頭をフル回転する中身のある話をたくさんし、冗談も言い合い、とても楽しい時間だった。その人に安心感を感じていた。隠れ家的なバーのバーテンダーは気さくな人で、こんな美味しい日本酒を飲んだのはいつぶりだろうかと感じながら時が流れた。

お店を出たら終電まで1時間程だった。
もう一軒行こうとしたが、バーは閉まっていた。
「家で30分くらい飲む?」
と誘われた。以前の私なら信頼できる人でも異性の家にはいかない。だがこの時の私は、20歳だしいいかな!とどこかのネジが外れたようだった。
「30分くらい話したら帰るね」
と伝えて気づいたらその人のマンションの部屋にお邪魔していた。親が経営者のその人はタワーマンションのほぼ最上階に住んでいたのである。部屋の窓には綺麗な夜景が一面に広がっていた。お酒を飲ませてくることもなく、ほうじ茶を片手にお互いの生い立ちや交友関係、将来や恋愛観について語った。

その人に言われ時計を見た時には、終電から3分経過していた。私としたことが。終電を逃すなんて。タワマンの一室で焦って部屋をウロウロし、ごめんと謝りあう2人の姿は滑稽だったに違いない。
お風呂をお借りし、出ると布団が別の部屋にひかれていた。少し安心をしたのと同時に心が揺れた。結局朝方まで熱く語り合った。
そして寝ようとした際に告白された。付き合ってほしい、もっと一緒にいてもっと知りたい、と。驚きすぎて眠気が飛んだ。返事はいつでもいいからとその人は言った。

咄嗟に「私も」と言えなかった。
その人は余裕があって大人で、私にはもったいないほど素敵な人で完璧な人だった。友達にも(その人)が彼氏候補!と言うほど、付き合いには前向きであった。付き合ったら楽しいこと、成長出来ることも確信があった。
それでも言えなかった。

気づかないフリ

なぜ付き合うのをためらっているのだろうか。
自分に問いかけずとも理由なんてわかっていた。別れた彼だ。デートをたくさんしてみても、最高な人に告白されても何をしても別れた彼のことを忘れられなかった。あれほど傷ついたはずなのに。もう振り回されるのはうんざりなのに。

ずっと幸せでいる予定だったのに、なんで今こうなっているのだろうか。急に1人で自己完結をして私を振り回す彼は本当に身勝手すぎる。だけど2人の関係だから私にもダメだったところがあるはずだ。そこでやっと私も強がっていたことに気づいた。基本受け身の私は大好きと素直に伝える一方で相手の負担になりかねない”寂しい”、”会いたい”が言えていなかった。

彼の「彼はチャンスをもう一度くれるなら連絡してほしい」という言葉を思い出した。待たせているのも悪いなと思い、「年内にどっちにしろはっきりしたいから会おう」と連絡をした。
傷つけられたのだからほっとけばいいのに。自分の気持ちに気づかないフリをしていた。また強がった。

愛とは“ソレデモ”

2カ月ぶりの彼はほぼ変わっていなかった。見慣れたパーカーにダボっとしたズボン。私に気づいてイヤホンを取る仕草はもう何百回も見たやつだ。

そして議論が始まった。何が悪かったか、復縁するにはどこを改善するべきか、と相変わらず理性的に。だが改善策が何時間話しても分からなかった。どうすればネガティブになり得る感情を伝えられるか。答えは出なかった。それでも彼はできるか分からないけどもう一度付き合いたいと話した。そして判断はもう私に任せると。

全ては私の一言で始まるし終わる。答えはこの瞬間も出てなかった。まだ迷っていた。ただ素敵な他の人に好かれていることは、もうどうでも良くなっていた。
一緒にいても幸せになれるかなんて分からない。むしろ幸せになれないんじゃないかな。また傷つく可能性も高し。もうボロボロになる恋愛なんてしたくないし。女心全然わかってくれないし。いつも悲しませることばっかだし。もっと優しい人、もっと大切にしてくれる人、もっとかっこいい人は確実にいる。

別れる理由なんていくらでも挙げられるのに、それでも別れたくない気持ちがいつでもあった。どんなコース料理よりも、一緒に食べたマックが美味しかった。どんな素晴らしい夜景よりも、私の誕生日に彼が頑張って予約してくれたホテルからの夜景が綺麗だった。写真は全部消したはずなのに。
どんなに頑張っても彼を忘れられなかった。いや忘れようとしていなかった。

”情”かもしれない。でももう情でも何でもいい。ずっと別れたくないという気持ちに気づかないふりをして強がっていた。そして最後の最後に私は強がるのをやめた。
「ずっと忘れられなかったし、忘れようとしていなかった。好きだよ。」
彼はありがとうと呟き、2人は泣きながら抱き合った。

理想とは全然違うし、嫌いなところは山ほどある。
周りの親友もよく恋愛話をする母からも「他にいるのになんで?」と口を揃えて言う。
なんでかは私でも分からない。
だけど素敵な人が他にいても、嫌な面をいくら知っても”ソレデモ”彼と一緒にいたいって思える何かがそこにある。
それが”愛”なのかなって私は思う。

最後に

もしここまで読んでくださった方がいるのなら、本当に心から感謝の気持ちを今すぐに伝えに行きたいです。
人生でこんなにも熱を持って文を書いたことは初めてでした。
たくさん傷ついて、これでもかと泣いて、”ソレデモ”一緒にいたいと思う言語化できない何かがありました。これが愛かもしれないと私は感じました。

自分の好きな自分でいたいし、かっこよく頼られる存在でいたいし、弱さなんて見せたくないからついつい強がってしまいます。
そんなときは強がってしまっていることをまず認めようと思います。
そして大事な人の前では時に弱さを見せてもいいんですよね。
友達でも恋人でも家族でも、大事な人は弱さを見ても受け入れて愛してくれるから。

頂いたご恩は必ず10倍返しします!