病気で何もしてあげられない…そんな気持ちをどう乗り越えるか
がんなどの病気の治療が進むにつれて、以前のように動けなくなり、家族のために何もできないと感じることが増え、自己嫌悪に陥ることはありませんか?
「自分はもう役に立たないんじゃないか」と落ち込むこともあるかもしれません。
このような気持ちを抱えるのは特別なことではないのです。
同じように、病気や治療の影響でこれまでの生活が大きく変わり、自分の役割を果たせないと感じるのは、特に真面目な性格で一生懸命誰かのためにやってきた方に多くいます。
この気持ちの方が少しでも心の力を抜いて過ごしていくため必要な心のケアについてお伝えします。
1.自分の感情を否定しない
まず、落ち込んでしまう自分を責める必要はありません。
「申し訳ない」「家族のためにもっと何かできれば…」という気持ちは、あなたが家族を大切に思っている証です。大切なのは、その感情を無視せず、まずは自分がそう感じていることを認めること。感情を抑え込んでしまうのは自分を否定しているのと同じこと。否定はさらに心を追い込んでしまいます。
「何もしてあげられない」と感じるのは、物理的に家事や育児が思うようにできなくなったことが原因かもしれません。しかし、家族にとって大切なのは、あなたの存在そのものです。
もしお子さんがいる場合はお母さんがそばにいること、愛情を注ぎ続けていること、それだけでも十分役に立っているのです。家事や育児の手伝いができないことに焦るのではなく、今できることを少しずつ見つけてみるのはどうでしょうか。
2.できることを少しずつ見つける
「目に見えてできることだけが役に立つことではない」という点を忘れないでください。家族のために何か特別なことをしなくても、あなたの存在そのものが家族にとって大きな支えです。
例えば、子どもたちとの時間を一緒に過ごすことや、穏やかな声で話しかけることだけでも、彼らにとっては安心感を与える大切な瞬間です。
また、日によっては体調が良くなることもあるでしょう。そんな時には、ほんの少し家事を手伝うことや、子どもたちと一緒に遊ぶことができれば(身体を使う以外の遊びでOK)、それだけで十分です。無理をせず自分のペースでできることを見つけてみませんか。
3.気持ちを共有する
自分の中で「役に立っていない」という感情が溜まっていくと、ますます辛く感じてしまいます。そんな時は、誰かにその気持ちを話してみるのはどうでしょうか。
家族に話すのが難しい場合は、医師・看護師などの医療者やカウンセリングを利用することも一つの手です。誰かと話すことで、思考の整理ができるのに加えて、あなたの心の声に気が付いていくこともできます。
誰かに話すのは勇気がいるときもありますが、お一人で抱え込まないことも大切になっていきます。
元々私は病気でふせってしまった時に誰かの手を借りることや、子どものことが何もできないことに、申し訳なさがあったり、役に立てない自分を責めてしまうクセがありました。泣いてしまうことも多々ありました。
そんなある日、まだ1才を過ぎて間もない我が子が寝ている私の傍にきて、ぐずることもなくただただ座って過ごしていました。小さいながらに何かを察知したのか、でもとても穏やかな時間だったのです。
その時、「親だから子どものお世話するべきだ」と思うのではなく、ただ傍にいるだけでも意味があるのだな・・と感じたのです。いま思えば自分の心の思いクセだったのです。
もちろん当時の状況とあなたの状況を比べることはできませんが、もう一度お伝えしたいのは、あなたが感じている「申し訳ない」という気持ちは、あなたが家族を愛している証。そしてあなたのそのご家族を大切に想う愛はご家族に伝わっていると自信を持ってください。
ただ、この気持ちを一人で抱え込む必要はありません。自分の感情を否定せず、家族や友人、医療者やカウンセラーなどの専門家に少しずつ打ち明け、SOSを出していいのです。
役に立つということは、目に見える行動だけではなく、あなたの存在そのものが家族にとっての大きな支えであることを忘れないでくださいね。
もしいまご家族やご友人には相談が難しいという場合は、こちらからまずはメッセージで気持ちを共有してみませんか?
正しくカッコよく書く必要はありません。あなたの気持ちのままに綴って頂いて大丈夫です。安心してメッセージ(ご希望時はオンラインでお話)をしてくださいね。
あなたの心の力が抜けていき、心穏やかに過ごしていくキッカケになれば幸いです。
患者さんとご家族が心穏やかになる かかりつけカウンセラー
岡田聡子
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