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Rot-Weiß-Rot-Karteの先に続くヨーロッパ永住権への道

オーストリアで就労しながら滞在するための在留資格が、Rot-Weiß-Rot-Karteです。

2019年にオーストリアに再移住した際、申請して取得したのがこの資格でした。

Rot-Weiß-Rot-Karteは最大2年の有効期限で、その後にはもう1段階上の資格であるRot-Weiß-Rot-Karte Plusを取得しました。

プラス、の方は、最初の段階の資格と何が違うかと言うと、自由に転職可能だと言うことです。
最初の段階の在留資格は、発行時に登録した勤務先と紐づいており、現状を変えようと思うと在留資格の再申請等が必要になるところ、
プラス、の方は、どんな仕事にも就けます。

実際私も、途中で転職しました。

さて、オーストリアに5年連続で居住し続け、原則就労していると、ヨーロッパ全域で有効の永住権を申請できます。

オーストリアの大学を卒業している人材は、5年待たずとも学生時代の年数も加味してくれるようなのですが、

私のように、卒業して一度居住を解消し、数年空いて再びオーストリアに住み始めた場合はカウントはリセットされます。

なので、5年間ルールが適用されます。

また、いくら隣国とは言え、5年間の間にドイツやイタリアなど他のEU国に転居してしまうと、このカウントはリセットされます。

現在のRot-Weiß-Rot-Karte Plusの有効期限が今年の9月12日までなので、その3ヶ月前となる6月中旬、書類を揃えて永住権を申請しに行きました。

インスブルックの外国人局は事前予約が必要なく、市庁舎の一角にある事務局の部屋の前に並んで待つか、列がない場合は直接ドアを開けて入っていける気軽さです。

なので、私はいつも申請する前にまず相談に行き、紙の申請書をもらって必要書類について事前に問い合わせます。
今回はすでに4月に事前相談しに行き、書類を全て用意していました。

国が運営しているウェブサイトにも細かく書いてはありますが、州によって結構提出書類にばらつきがあるんです。

なのでこの記事に書いてあるのは、あくまで2024年現在のチロル州の例です。

現在すでに在留資格を持っているし途中で引越しもなかったので新たに必要な書類は少なく、

・申請書(賃貸の大家の署名要)
・証明写真
・大学院の成績証明書、修了証書等
・直近の給与明細一月分
・ローン借入歴証明書 (Infopass für Behörden)

を提出しました。

・大学院の成績証明書、修了証書等
は、なんのために必要かと言うと、
永住権を取得するためには、通常Integrationsprüfungという、いわゆる移民がオーストリアの生活や文化に適応できるかどうかの試験に合格することが必須条件です。
ドイツ語の試験に加え、一般常識の項目も含まれるそう。

例外として、すでに義務教育や高等教育をオーストリアで終えており、かつ授業で用いられる言語がドイツ語である場合は、この試験を免除されます。

私の場合は、オーストリアの大学で3年以上学んで修了した実績があるので、それに該当します。

卒業した大学に連絡して、書類に授業の言語がドイツ語であったことも特別に明記してもらいました。
数ある高等教育機関では、英語のみで受講できるコースもあるので、そういった条件もしっかり差別化して明記してもらうことが重要です。


・ローン借入歴証明書
は、専用の調査機関があるので、そのウェブサイトで43ユーロ払って書類を請求します。
オンラインで支払いから受け取りまで済みます。
何も借入がない私のような人でも、この書類を提出する必要があります。


今現在私は失業中なので、就職先が決まってから申請に行こうかとも迷いましたが、
前の勤務先の最後の給与明細発行からあまり間が開かないうちに行ってしまおうと思い、6月に行きました。

申請料は、今までと同じく140ユーロです。
地味に高いよ。

書類を受け付けてもらい、担当者に
「3〜4週間でカードが出来上がってくるから取りに来て」と言われたので、申請後4週目に当たる今日外国人局に行ってきました。

すると、
「現在のカードの有効期限が満了してからでないと新しいカードを渡せない」と言われました。

あれ?前の担当者さん、もうカードできてくるって言ってたよ?

私「申請はちゃんと通ってますよね?」

「認可はもう降りてるしカードもできてる。けど、丸5年の滞在期間を満了してからでないと新しいカードは渡せない。9月13日に来なさい」
とのことでした。

もちろん、今のRot-Weiß-Rot-Karte Plusはあと2ヶ月有効期限があるわけで、今すぐ新しいカードが必要なわけではないです。

ともかく、今日の局の人の話ではすでに申請も認可されて永住権がもらえることは確認できたので、気持ちが明るくなりました。

とりあえず現物をもらうまではぬか喜びしないようにしますが、永住権というのはやっぱり、特別です。

永住権を得ると、選挙権がないこと以外はEU国民と同じ全ての権限が与えられ、
現在はオーストリアでのみ認められている就労も居住も、他のEU国でもできるようになります。(転居先での手続きは多分必要だけど)

もしこれから大学に通う場合は、EU国民と同じように学費が無料になりますし

これまで2年や3年で更新が必要だった滞在許可が、原則無期限になります。

カード本体の更新は5年ごとくらいであるようですが、今までのように新たに色々申請書類集めて、毎回ドキドキして・・・というのはおそらくもうなしです。

ヨーロッパに出てこの13年というもの、滞在許可取得には時に泣かされ時に苦労させられました。

まず最初、オーストリアに来た時、短期のホームステイや間借りでは住民登録もさせてもらえなかったし、大学に在籍していないと在留許可申請ができませんでした。
当時オーストリアはワーキングホリデー除外国でしたし。

すぐに大学に合格できなかったためオーストリアで滞在許可を得るのを諦め、ドイツのベルリンに移りました。
そこでは大学入学準備というような名目で、すんなり2年分の滞在許可を出してもらえました。

その有効期限が1年以上残っている状態でオーストリアの大学に入学が決まり、オーストリアに転居。
ドイツで得た滞在許可の有効期限が切れる頃にオーストリアで新しく滞在許可の申請をしたのですが、
「ドイツの滞在許可はオーストリアでは有効でない!あなたはオーバーステイだ!」と申請書類を一度受理したにも関わらずいちゃもんをつけられ却下され(もちろん申請料は返してもらえず)、
「まだ有効期限があるうちにベルリンのオーストリア大使館に行って(まるで今からオーストリアへ転居するかの体で)再申請するように」と言われ、私の大学教授にドレスデンまで車で連れて行ってもらったり、ベルリンの知り合いに一時的に住民登録させてもらったりの大騒動。

仮ビザ受領のために1ヶ月後くらいにもう一度ベルリンへ行って、その仮ビザを持参してグラーツの外国人局へ行ったら、
私の担当が休みで、別の担当の人が
「あなたの1度目の申請は何も問題がなかったのに、なぜ却下されたんだろうね?」と言う始末。
実のところ、私のしたことは違法ではなかったのに、局の担当者が意地悪したみたいです。

オーストリアの学生ビザの更新は毎年。
銀行口座にお金が入っていることを証明しなければいけないのですが、その額がどんどん上がっていき、10000ユーロ以上口座にないといけないとなった時、
日本人留学生同士でお金を一時的に出し合ってかき集めて証明書を出してもらったり、協力しました。
例えば事情があって一学期お休みする時などは、履修登録証明書が出してもらえないので、ビザの更新にも障害が出て大変そうでした。

そして再びオーストリアに住むと決めた時、すでに就職先が決まっているのに何ヶ月も在留許可が降りなくて、食事も喉を通らないストレスでした。


このような歴史があるので、滞在許可についてはどんでん返しもあり、波乱ありと頭に植え付けられています。

今、ベルリンにいる中国人の友人も、永住権を受け取るのに弁護士を雇ったりとゴタゴタしていて大変そう。

外国に生きる上で最良の権利を勝ち取るため、永住権は悲願でした。

特に、現地国籍の配偶者がいるわけでもなく、完全に一人で職を得て、滞在許可を得て、5年間頑張って、今やっと、取得できるであろう
私が勝ち取る権利です。

2ヶ月後、笑ってカードを持って自撮りしたいです。



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