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鏡としてのリース会計

突然ですがあなたはどんな飛行機に乗ってみたいですか?私は一度ファーストクラスに乗ってみたいと思っていますが、世の中にはこんな人もいるんです。

私の野心は、死ぬまでにバランスシートに計上されている飛行機に乗ることです。
−デイヴィッド・トゥイーディー

これは、ある講演で国際会計基準審議会(IASB)議長のスピーチ内のセリフです。

バランスシートに計上された飛行機ってなんだよって思いますよね?しかし、会計を知る者から見ると共感を呼び、会場では笑いが起きたといいます。

財務諸表は企業の実態を写す鏡でなければなりません。

バランスシートは財務諸表の一つで企業の財政状態を示します。飲食店であれば店舗や内装、調理器具が資産として計上されます。つまり、業務を行う上で使う大きなものが資産となるわけです。

しかし、2000年代はそうではありませんでした。航空会社のバランスシートには飛行機がいません。なぜでしょうか。

ファイナンスリースの例外処理

投資家の投資判断に使われる指標に「ROA」(総資産利益率)というものがあります。これは企業の収益性・効率性を判断する指標で下の式で計算されます。

ROA(総資産利益率)=営業利益÷総資産額

投資家はROAの大きい企業を良い企業と判断するので、資産は少ないほうが良いわけです。そこで企業が目を付けたのがファイナンスリースの特例処理です。

企業は資産の入手にあたって、ファイナンスリースを多用し、例外処理を適用して、資産の計上を避けていました。

その結果、航空会社のバランスシートから飛行機が消えたのです。

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鏡としてのリース会計

飛行機のない航空会社のバランスシートは企業の実態を表しているとは言えないでしょう。

果たして、飛行機のないバランスシートで投資家は航空会社の事業を理解し、正しい投資判断ができるのでしょうか?

会計は企業を写す鏡であり、その機能は忘れがちですが会計の存在意義だと思います。

現在ではリース会計基準は見直され、あなたの乗る飛行機はバランスシートに載っています。

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