Nikon F3HP
フィルムカメラをはじめたときから、絶対に買おうと決めていたカメラがあります。
それが、Nikon F3です。
ぼくの大好きな写真家、星野道夫さんも愛用していたカメラ。
また、ぼくと同じ年に生まれたカメラということもあり、運命的なものを勝手に感じています。
F3は、1980年に発売が開始しました。
2000年に生産終了するまで、約20年もロングセラーを続け、プロアマ問わず多くの人に愛されたカメラです。
これまでに、
Nikon F3 アイレベル
Nikon F3 HP ハイアイポイント
Nikon F3 T チタン
Nikon F3P 報道機関用
Nikon F3AF オートフォーカス
Nikon F3 Limited
上記の機種が発売されていますが、なかでもぼくが欲しいのはF3HP(ハイアイポイント)という機種です。
なぜ、F3HPなのか?
それは、「カメラを盗んだオオカミ」のモデルだからです。
星野道夫さんの写真文集『Alaska 風のような物語』に、そのストーリーが書かれています。
星野さんがデナリ(マッキンレー)山麓で出くわした不思議な体験。
星野さんが買ったばかりのF3HPを、なんとオオカミが持ち去ってしまったというエピソードです。
そして、そのオオカミが持ち去ったカメラを道夫さんから託されたのが、前回F90X購入時にアドバイスをくれた写真家の小寺卓也さん。
ぼくがF90Xを購入するきっかけになったエピソードはこちら。
まだ何者でもなかった小寺さんが、遠路はるばるアラスカへ。
憧れの星野道夫さんに会い、そのときに託されたカメラがこのNikon F3HPなのです。
最近、小寺さんとF3HPの話をしていた際に、
F3HPは「所有して撫で回すだけで満足感が得られるカメラ。」
と言われて、もう絶対に買おうと!笑
そうは言っても、お小遣い制なので、買える上限は決まっています。
小寺さんもF3シリーズは人気機種なので、状態の良い個体は高い値がついている、と。
カメラのキタムラにもともと狙っていた個体があり、その相談で小寺さんに連絡をしたのですが、週末に見に行ったところそのF3はなんと売り切れ・・・・。
シャッタースピードがらみのジャンクでしたが状態はよく、あのとき買っておけばよかったと後悔です・・・。
お金もないし、F3は今じゃないのかな・・・と諦めそうになっていたとき、某オークションサイトでレンズ付きのF3HPを発見。
しかも、キタムラで買いそびれたジャンクより1万円以上安い。
ジャンクではないのに、なぜか入札が異常に少ない(笑)。
一点気になったのが、掲載された写真でカメラの底に傷??があること。
説明にも「傷あり」と書かれているので、みな敬遠しているのか、と納得しました。
傷は補修して、カメラカバーでもつければ良い!と開き直って入札。
「本当にこんな値段で大丈夫!??」と不安になるぐらい、誰と競ることもなく落札しました。
数日後、我が家にやってきたF3HP。
段ボールを開封するときは、いつも以上に緊張しました。
付属のレンズは、Ai zoom-NIKKOR 50~135mm F3.5S。
1982年4月に発売したレンズですが、販売期間は約2年。
短命に終わったレンズです。
外観はかなりダメージありますが、光学はクリアでカビやくもりもありません。
そして、肝心のボディーですが、心配していた底面の傷はただのテープ跡でした(笑)。
塗装が剥げ真鍮が見えるアタリが所々ありますが(逆にカッコ良いと感じているので全く問題なし)、とても状態の良いボディーです。
これは、超ラッキーなんじゃ・・・。
さすが、F3。
見ていて惚れ惚れするデザイン。
F3のボディデザインを手掛けたのは、1960〜70年代に自動車デザインで一世を風靡した工業デザイナーのジョルジェット・ジウジアーロです。
当時、ぼくの父親が乗っていたISUZUのジェミニ。
この車をデザインしたのもジウジアーロでした。
新車のジェミニがわが家にやってきた時の興奮は、今でもはっきりと覚えています。
父親が興奮気味に
「この車は、コンピューターが入っている未来の車なんだ」
「デザインは、イタリアのジウジアーロだ」
と鼻高々に説明し、小学生のぼくはスゲーー車が来たもんだとひたすら感心していました。
あれから30年、同じくジウジアーロがデザインしたカメラを手にするなんて、なんだか感慨深いものがあります。
このF3HP、外観はOK。
光学系も多分問題なし。
通電OK、シャッターもOKなのですが、やはりモルトは劣化していました。
そこで、前回FEで貼り替えたモルトが余っていたので、早速モルトの貼り替え業を行いました。
モルトの張り替えは1時間ほどで終了。
前回よりも上手く貼れた気がします。
毎回、裏蓋上下の隙間を埋める作業が難儀します。
どうしても糊面がくっついて、モルトが裏返る。
※後ほどネットで見てみると、事前に無水エタノールで湿らせておくと貼りやすいいそうです。
モルトの貼り替えは2回めでしたが、やればやるだけ上手くなる気がします。
今度ジャンクカメラ買ってきて、練習しよう。
撫で回すだけで満足できるF3HP。
確かにずっと触っていたくなるカメラです。
FEとF90Xと、そしてこのF3HP。
3台の相棒とフィルムカメラの旅にでます。
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