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我々の銀河中心にあるブラックホールの画像化に成功

ついに、我々の天の川銀河中心にあるブラックホール画像化に成功したニュースが飛び込んできました。

歴史上はじめて画像化に成功したのが2019年。
実は当時の最終候補が2択でしたので、今回の画像化は元々の予定ではあったと思います。

ですので、同じEHT(イベントホライズンテレスコープ)というプロジェクトでの2つ目の成果となります。

今回は、ブラックホール基礎とこのEHTプロジェクトのすごいところを紹介しようと思います。


ブラックホールとは?

18世紀の数学者ラプラスとミッチェルが理論的に唱えたのが初といわれてますが、今の宇宙論はアインシュタインの一般相対性理論から構成されています。
その意味では、初めて理論的に予言したのは、シュバルツシルトという科学者です。
なんとこの方、従軍科学者として戦地に赴いた状態で一般相対性理論の厳密解を導出し、そこに今では無限大に発散する(ゼロで割るイメージ)特異点と呼ばれている存在を示しました。

アインシュタインはその解に感激した一方で、あくまで数学上の産物として特異点、つまりブラックホールの実存を疑っていました。

その後にいくつかの応用解が出たものの、やはりある程度単純モデルでの解ということで、実存は疑われたままでした。

1960年代に突入するとやっと光明が見えてきました。

ペンローズという数理学者が、形状によらずある程度の密度を持つ物体は無限の質量をもつ特異点が発生する「特異点定理」を発表し話題を呼びました。(その功績も含めて2020年にノーベル賞受賞)
その後はホイーラーが「ブラックホール」と名付けて理論研究は粛々と進めらて行きました。

そして1970年代になると観測技術が発展し、ついに「白鳥座X-1」が観測の結果ブラックホールであることが分かり、初めて実存が確かめられました。

なお、ブラックホール形成の基本系は星がエネルギー放出し終わった後に自己重力崩壊を起こした形態の1つといわれています。

ただ、近年には宇宙初期(誕生して9億年後)でのブラックホールも見つかっており、他の形成過程の研究もすすめられています。



EHT(イベントホライズンテレスコープ)とは

ブラックホールの観測と理論研究が進んでいき、今では文字通り天文学的な数存在するということが分かっています。

ただし、あくまで理論及び間接的な観測でしか突き止められていませんでした。

直接的に画像として観測するためには、人間の視力でたとえると「300万」必要といわれています。
これはたとえると、地上から月にあるテニスボールを見分けることが出来るレベルです。

そして望遠鏡の解像度は、意外にシンプルで

波長(観測領域を決める)÷望遠鏡の口径

で表されます。
波長はある程度固定的にきめるため、要はでっかい望遠鏡をつくれればよいわけです。
ところが、視力300万を達成するには大体地球と同じぐらいの大きさが必要です。

・・・こう聞くと絶望的な気分になりますが、EHTはある発想でそれを乗り越えました。

地球各地の観測データを合成して仮想の地球規模望遠鏡を実現するというアイデアです。

出所:https://www.mitsubishielectric.co.jp/me/dspace/column/c1909_1.html

凄い発想であると同時に、それを利害が異なる各研究グループが共同で人類共通のロマンをかなえたのは、本当に素晴らしいです。

日本からもデータ解析など国立天文台を中心とするグループが貢献しています。日本でもニュースが騒がれましたが、実際の当事者といっても過言ではないです。

「ロマン」と言いましたが、実は史上初の画像化以降も撮像は進められ、今まで分かっていなかったブラックホール構造の研究に寄与しています。

特に、ブラックホールはミクロ(量子力学)で超高密度(相対性理論)な存在ということで、万物の理論や宇宙起源の研究にもつながります。

最後に、今回撮像に成功した我々の天の川銀河バージョンのブラックホール画像を愛でて締めたいと思います。

出所:冒頭記事内の画像


関係者の皆様へ、本当におめでとうございます。

※タイトル画像は冒頭記事内の記事より引用


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