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ダイヤモンド並みに硬い窒化炭素とその可能性

「硬さ」は物質の性質で重要な役割を担います。
おそらく真っ先に思い浮かぶのが「ダイヤモンド」だと思います。(日本名では金剛石)

ダイヤモンドは純粋に炭素という1つの元素だけからなり、その結合方法が独特(共通結合)のため、最高レベルの硬度を誇ります。

出所:上記Wiki内の結晶図

ダイヤモンドは、天然だけでなく人工的にも作れます。
ただ、それが「史上最硬」かというと、もしかしたら同じくらい「硬い」かもしれない人工的な物質があります。

「窒化炭素」と呼ばれる物質です。

「もう存在しているなら調べればいいのでは?」

と思うかもしれませんが、この「硬さ」を証明する方法が意外に難しかったりします。

Wikiにいろんな「硬さ」を評価する方法が表になっており、その多さにびっくりしました。

あえて言えば分類として多いのが「押し込み硬さ」と呼ばれる手法です。

その「押し込み型」実験で、ついに窒化炭素がダイヤモンド並みに硬いことを証明する論文が登場しました。

元論文はこちらからアクセスできます。

ダイヤモンドより硬いかどうかを評価するのもダイヤモンドで、ダイヤモンドアンビンセルと呼ばれます。

ざっくりいえば、ダイヤモンドでサンドイッチにして圧力をかけてどれくらいつぶれるかを測る装置です。確かにつぶす側が硬くないと成立しない装置ですね。

この窒化炭素は、現時点では極めて微小でしか合成できないため、実際には挟んでつぶすのでなく圧力をかけたときの反発度合い(体積弾性率)で測ったそうですが、いずれにせよその数値からダイヤモンド並み(それ以上とまでは断定できず)ということが証明されました。

ダイヤモンドは、宝飾として有名ですが、窒化炭素はもしかしたらほかの用途でも活躍できるかもしれません。

光を当てたときの発光性質や、小さな質量に大量のエネルギーを蓄えることのできるエネルギー貯蔵庫としての性質にも特徴があります。

それが何に役立つのか?実は、「量子コンピュータ」にも使えるかもしれません。

量子とは「素粒子」をまるっと表した言葉で、量子力学という日常と異なる性質を活用したコンピュータ装置です。

ただ、素粒子をコントロールするのがめちゃくちゃ大変で、日本の研究では比較的その素粒子に「光」を活用した研究が多い印象です。

で、その「光」制御にダイヤモンドを部分的に窒素化した素材が注目されてたりします。

勿論マイクロエネルギー貯蔵庫での応用も期待できますが、単なる「硬さ」自慢だけの物質ではないことはぜひ頭の片隅に入れておこうと思います。

まだ量産化は難しいですが、それはまた別の技術革新を期待しています!

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