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[まちあるき話]

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月刊誌「大阪人」にて2009年12月号〜2011年2月号まで巻頭コラム、見開きページにて掲載。「大人のための絵本のように」とディレクションを受け、実際に大阪各所を町歩きして、調べ… もっと読む
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2023年7月の記事一覧

[まちあるき話]豊かな淀み

[まちあるき話]豊かな淀み

「葦原中国(あしはらのなかつくに)」は水辺に自生する葦が生い茂った中心の世界。日本神話が描いた高天原と黄泉の国の間にあるとされた、人間の住む所の表現だ。
 城北公園の北、堤防を上がると眼下の淀川には葦や夏草が生い茂るワンド群。河川敷に降り、ワンドに渡ると視点は川の中に移り、天は高く大空が広がり、目の前には生い茂った葦が足元まで続く。大阪市内とは思えない景色がここには広がる。

 古代、淀川の水路は

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[まちあるき話]濃密な辻

[まちあるき話]濃密な辻

 「辻」という文字は、2つの世界が交差する境界を意味する言葉として、作られたという。そこは、地域の人が集まるのに都合の良い場所であるとともに、人や事、いろんな物が交流する場所である。

 路面電車「神の木」駅から歩くと、住宅地の中、アチコチから道が集まり、すこし広がった所に「六道の辻、閻魔地蔵堂」がある。「閻魔地蔵縁起」によると、こちらの御本尊は難波(なにわ)の浜におられたが、住吉(すみのえ)の大

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