家業のリーダーとして次世代へ繋いでいく

こんにちは。KM Pacific Investments Inc.の枡田耕治です。本記事をお読みくださりありがとうございます。

皆様には「家業」と聞いてパッと顔が思い浮かぶお知り合いの方はいらっしゃいますか?それともあなた自身が家業に携わっていらしゃいますか?脈々と続く家業を継承し、そしてまた次の世代へと絶やすことなく繋いでいきたいという思いは、家業関係者であれば少なからず誰もがお持ちなのではないでしょうか?

今回はそんな家業における次世代の後継者(ここではリーダーと呼称します)の育成についてお話ししたいと思います。

家業の元後継ぎであり、自らが立ち上げた家業を引っ張っている私個人の経験を元にしていますので、多様な考え方がある中の1つとして読んでいただけたら幸いです。


では、育成の話に入る準備段階として、読者の皆さんと私の理解を合わせる為にも家業の運営についてお話ししたいと思います。

その中でも最も重要なのが、家業の目的です。

家業には創業者の考えや、意思、望みなどが伝授されていると思います。そして大概の場合には、これらの考えが家業に携わるご家族の日常生活の中にも反映されているのが現状だと思います。よって、これらが明確にご家族の中で共感されシェアされているのであれば、「準備運動」は完了していると思います。

しかし、その様な状況で経営されている家業ばかりではないかもしれません。もしくはあなた自身が起業した本人(創業者)だった場合、家業というものを意識されて来なかったかも知れません。この様な状況も踏まえて、今回は家業継続の「素材」となる、目的(ありたい姿)、家業の状況、現経営者の生き方に焦点を置いてお話しします。

目的(ありたい姿)

家業だけでなく、全てのビジネスには目的が存在します。なんの為に起業するのか?どうしたいのか?どう思われたいのか?などはその一例に過ぎません。ご存知の通り、目的というのは一番大事な要素で企業の存続に直接関わってくる事であり、また時間に影響される様な事があってはなりません。現世代にも100世代後でもこの家業の存在目的は各世代の心に響かなくてはいけないのです。なぜならこれが家業とそのメンバーをつなげる「のり」になるからです。

そして自分たちの「ありたい姿」もとても大事だと思います。それは「他人様に迷惑をかけない」という様なものでも、家族や家業関係者には共通の志として受け止められます。団結の要素になる訳です。

経営が苦しい時や経済状況が困難な時、または新規事業を掲げる時にも、その「ありたい姿」を全うしようとする団結心と価値観が家業の長期繁栄に繋がるのだと私は思っています。そして、それら「ありたい姿(価値観)」は人材雇用の際にも共通の価値観と志を持つ人材の選択を可能にすると思います。

家業の状況

次のポイントが現時点での家業の状況です。もちろん財務諸表上の利益やロスも関わってきますが、それ以上にここで大事にしたいのが、家業の目的やありたい姿が関係者全員の中で共有され、共感、共存しているかです。共感、共存されていれば団結心は生まれ、家業の発展に大きく役立ってくれます。

職務面での専門性や技術も大切だと思いますが、その様な技術は時間がかかったとしても後から習得可能だと私は思っています。同時に、人間性や人間の「こころ(心と情)」というものは学ぶことが出来ない為、もっと優先され重要視するべき質だと思います。

しかし、目的は掲げてあってもそれに忠実に生きられないのも人間です。ですから、目的に反した自己権力や利己的金銭への執着心は家業存続のためにも危険です。よって、この様な現状をどの様に収め、そして是正していくかも家業の存続の上では大きなポイントになります。

家業の安定した航海を乱すのは想いの違いだけではありません。他に確認するべき点は、各家族メンバーや家業関係者の仲や成長です。この場合の「仲」というのは上記で既にお話しした考え方の一致ではなく、人間としての仲の良さを指しています。人間ですので向き不向きな人間関係は存在します。そして人間の性格上の違いからも仲の良さには違いが出てきてしまいます。現世代の経営者としては現在の人間関係を理解するだけでなく、将来的家業の継承の一環としてどの様な将来的人間模様が繰り広げられるかを想定する事も大切な任務の一つだと思います。その上で、今後お話ししていく次世代リーダー育成上の適材適所を検討するべきです。

現経営者の生き方

そしてこの記事では最後になりますが、大事なのが現経営者の生き方や考えです。上でお話しした様に、家業の目的やありたい姿がどうであれ、現経営者が企業として望む姿に全うしていなければ、家業は全く違った航路を取る事になります。そして、次世代へ伝えるメッセージも異なってしまいます。

 また、家業の目的や家訓以外にも、経営者の人間性や性格も家業の将来に大きな影響をもたらす事は言うまでもありません。現経営者の経営方針と言うよりは、本当の生き様がここの重要ポイントだと考えています。それは小さな事を言えば、経営者の言葉使いや態度、金銭の使い方などの人間模様も大きく関わっています。尊敬に値しないリーダーの下では社員からの忠誠心は低下し(失われ)、社内の環境に影響が出てきます。

 この様なお話をすると、経営者は周りに関与されることなく自らの生活を好む様に楽しむべきとおっしゃる方もいらっしゃると思います。もちろん個人のプライバシーは尊重されるべきです。

しかし、家業のリーダーというのはご存知の通り、家業を代表する人間であり、ある意味パブリックフィギュアーだと私は思っています。ですから、経営者というのは公の場での自分の生き方や習慣も自分だけのものでは無い事を理解するべきだと思います。

その結果、家族と家業関係者はトップの考えと生き様を尊敬して家業存続の為に貢献してくれるのだと思います。家業のリーダーとは、経営者として、家族の長として、それだけの責任と義務を負っているのです。


KM Pacific Investments Inc.ホームページ

著書「家業を継げなかった3代目、継がなかった3代目」

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