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=AKANE= 第七話 船岡山公園



そして翌日よくじつ日曜日にちようび


わたしははたのまれて衣笠きぬがさのおばあちゃんのところへとどものをするために自転車じてんしゃはしらせていた。


北大路通きたおおじどおりをおばあちゃんのいえほうすすむとながのぼざかつづく。


茜「ここは体幹たいかんきたえるにはいいさかだよ」


と、ひとごとをいいながら自転車じてんしゃいでいるとわたしよこをスーッと一台いちだいのロードバイクがとおぎた。


茜「あれ?樋口くんじゃん…」


と、わたしはすぐにがついたがかれまったづかずにそのままはしっていった。


ジャージ姿すがたにテニスラケットのケースをななめにかたにかけていた。


日曜日にちようびなのにあんな格好かっこうでどこにくんだろう?


と、になってすこ距離きょりをとりながら必死ひっしいていった。


そしてほどなくはしるとひだりがり船岡山公園ふなおかやまこうえんほうへとかっていった。


わたしあといかけていったが、とおりをがったときにはもう姿すがたえなかった。


公園こうえん入口いりぐちまでくるとかれ自転車じてんしゃいてあったのであたりを見回みまわしたがやはりその姿すがたはなかった。


わたしかれ自転車じてんしゃよこ自分じぶん自転車じてんしゃめてしばらく様子ようすうかがってみた。


すると数分後すうふんごかれくだざかはしってりてくるのがえた。


かれわたしがつきまえまでくると、


樋口「あ、えっとぉ……」


と、わたしのことは認識出来にんしきできてるようだが名前なまえがわかっていなさそうだったのでわたしからはなはじめた。


茜「樋口くんだよね?」


樋口「あ、うん…」


茜「あたし守屋!おなじテニスでしょ?」


樋口「あ〜……うん……」


茜「日曜にちようなのにそんな格好かっこうでどうしたの?」


樋口「あ、まぁ……トレーニングてうか…」


と、ぶっきらぼうにこたえた。


茜「へぇ~そうなんだ…」


うと…


樋口「おまえこそこんなとこでなにやってんだよ?」


と、かえされた。


茜「おばあちゃんのところへとどものくところだったんだけど、樋口くんの姿すがたえたからなんか…になっちゃって」


樋口「ふぅ〜ん、そっか……」


と、またそっけない返事へんじだった。


樋口「もう、いいかな?まだメニューはじめたばっかだから…」


と、ってはしそうとした。


わたし咄嗟とっさに、


茜「毎週来まいしゅうきてるの?」


と、くと…


樋口「あぁ…」


と、だけこたえてはしはじめた。


わたしはその背中せなかかって、


茜「あたしも来週らいしゅうからていいかな?」


ってしまった。


かれ一瞬立いっしゅんたまりいて、


樋口「あぁ…」


と、うなずいてまたはししすぐにゆるやかなひだりカーブののぼざか姿すがたえなくなってしまった。





第八話へつづく…



=AKANE= 第一話はこちら



本編『だって、恋したいもん!』はこちら





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