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億の借金、家族がいる。

母はある日言いました。
「全額で億は払っている」

どうしてそうなったかは大人になって聞いた。
理由は一つではないかもしれないが
簡単に言うと、

バブルが弾け金利が上がったからだ。

一軒家を購入時、父は住宅ローンではなく家を事務所として購入したと母から聞いた。
それは通常の住宅ローンの金利ではなくまた別の金利での契約だった。

父に詳細を聞くことは難しい為、詳しくはわからないが、当時バブルが弾けた住宅ローンの金利の何倍もの金利を払わされることになった。

それは何十年も続いた。
そして私たち家族をゆっくり蝕んだ。

ことが大きくなり母は夜逃げか、もしくは父と一緒に乗っている車ごと海に飛び込もうかと考えたという。

しかし母はそれを選ばず、父と共に借金を返し続けた。

離婚も考えたそうだが購入時、名義が母と父の2人だった為、離婚をしたとしても莫大な借金を一人で返し続ける必要があること、そしてまだ幼い子供3人には父親が必要だと思ったこと。

理由は他にもあったかもしれないが、母は私にそれを語った。

親不孝者だと言われると思うが、
私は母を大事に思う反面、正直大人になってもそこまで耐えた母を素直に尊敬できないでいる。

勿論借金が母を苦しめたことも大きな要因だと思うが、育ちからくる気性なのか時々母は余裕がなくなるとヒステリーを起こすようになった。

いつもタイミングが悪かった。
私は母の言葉に対して大概隠れて泣くことしか出来なかった。

けれど母の育った環境を初めて聞いた時、私は子供ながら悲しかったのを覚えている。

できれば父と幸せになって欲しかった。



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