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はまだひろすけと『まほうのチョーク』本好きになったきっかけ、始まりの一冊

なぜ読書好き(読書家、という言い方はちょっと面映い)になったのか、ということについて書いておこうかな、と何となくおもいながら「書く部」のお題を覗いてみると、あるんですねー、そういうのが。ただちょっと考えたのは、読書家と蔵書家とは違うよな、という点。さて自分はどっちかな、と改めて(何かと「改める」のが好きで・・・な、わけじゃないけど)、考えてみると、読むのが好きなのはもちろんだけれど、どうやら本そのものも好きらしい。でも、ほら、本て結構お高いじゃないですか、特に最近は。インスタで蔵書記録なんか書いてるんだけど、文庫本でさえ、昔は200円くらいで買えたものが、今じゃ古本ででもないとあり得ないですからね。なので、単行本は基本辻邦生さんが大半で・・・辻邦生さん、小説はコンプリートしてるけど、エッセイとか評論はまだ手元にないものもあって、でももう古書でないと手に入らないのよ。それでもいいんだけど、本屋さんに行ってもないのは寂しいよね、泣いちゃうよね、ヨヨヨ・・・


何の話でしたっけ?


そうそう、読書好きになったきっかけ。でも「きっかけ」と「理由」とは違うよなー、「きっかけ」は多分、それを読んで読書にハマったってことだよなー、でも「理由」はまた別にあって・・・

え? いいから早く先に行け? ですよねぇ〜。でも少しだけ、というか、理由なんてほら、僕がおなかン中にいるあいだ、母親がずっと本を読んでたからですよ。だから、生まれてすぐ三歩歩いて天を指差して、天上天下云々って言ったとか言わないとか(ジョークですよもちろん。別にお釈迦さまと親戚じゃないし〜)。


えっと、なんでしたっけ? そうそう、始まりの一冊。嫌だなぁ、ちゃんと始めますってば、ニコニコ。




1.小川未明かアンデルセンか

うちの父親も結構読書好きな人だったようで。父は長野県出身で、それなりに思い入れがあったんでしょうね、島崎藤村の『千曲川のスケッチ』とか、僕が生れる前から家にありました。幼い頃、民話のようなものを読んでもらった記憶もうっすら残ってますね。あ、別にだからどうだというわけじゃないですけど。小川未明を読んでくれたのは誰だったかなー、とおもっただけで。

僕は小学校2年の頃まで虚弱体質で、よく熱を出して休んでました。そんなとき、枕元で本を読んでもらった覚えがあるんだけど、熱出して寝てる子どもに小川未明はやめたほうがいいですよ。だって、結構暗いじゃないですか。夜うなされるのも、熱でうなされるのか小川未明のせいなのかわかりゃしない。嫌いじゃないんですけどね、小川未明。

昔っから外国文学よりは日本文学が好みだったようです。アンデルセンとかイソップ物語とか、あんまり好きになれなくてね。ただどちらにしてもそれらが読書好きのきっかけかというと、どうもそんな気がしないんですね、まだ。(まだ? まだって何?)


2.はまだひろすけどうわしゅう

そうです、はまだひろすけ、これです!(何がだ)

買ってもらったのかうちにあったのか、3歳上に姉がいるんで、最初姉が買ってもらったのかもしれない。『はまだひろすけどうわしゅう』というのがあってですね、これが結構面白かった。といって、内容はまるで覚えてないんですけど(
はまだひろすけ、本当は漢字なんですよね(あたりまえだ)。浜田広介。でも好きだった童話集のタイトルがひらがなだったので、ずっと「はまだひろすけ」という名前だとおもってました。
有名な作品もあるんですよね。でも載ってたのはたぶんそれじゃない、だって覚えてないから。


それとは別にもう一冊あって、こちらは何となく覚えてるんだけど、本のタイトルは忘れました。その内容と、ひょっとしたらはまだひろすけが混ざってるかもしれないとはおもいます。覚えてるのは2つで、こんな内容なんですけど。

ひとつは、

ペンギンチョウのペンちゃんとギンちゃん(ふたりあわせてヤンマーだ、みたいな)という名前だったとおもうけど(銀ちゃんではないです、ねんのため)。このふたり? 2羽? のペンギンが、ペンギンの絵が描かれた空き缶を拾って、何かわからないので街まで届けに行くと、ペンギン印の魚の缶詰を作っている工場に招待されるというお話。

ふたつめは、

ツァオさんとチャンじいさん(ツァオさんは間違いないとおもうけれど、チャンじいさんは・・・あ、カワイじゃないです、ねんのため・・・しつこい?)。
で、どっちかが地主か何かで、芋を作りたいってもうひとりに言うんですね。すると請け負った方は毎日毎日畑を耕しては肥をやり、耕しては肥をやり、依頼した方がそろそろ種を蒔いては、と言っても、まだまだ、と言うばかりで、何ヵ月もずっとそればかり。いい加減飽き飽きしてきた頃、ではそろそろ種を蒔きましょう、と。で、種を蒔いたら今度は毎日毎日水をやり、芽が出て大きくなって、そろそろ収穫しては、と言われても、まだまだ、と言うばかり。何ヵ月も何年も経って芋のことなどすっかり忘れた頃になってやっと、もういいとおもいます、と言うので喜んで掘ってみたら、小山のような芋が穫れました、というお話。

ツァオさんっていうくらいだから、今おもうと中国あたりの民話だったのかもしれないですね。
そんな話が大好きで、何度も読み返したんだとおもいます、覚えてるから。本のタイトル、ご存知の方いらっしゃいます?

でも! って、オイ?!

本当に読書好き、本好きのきっかけになったのは、じゃーん! 実はこちらなんですね、パチパチ!(やっとかい)


3.まほうのチョーク

『まほうのチョーク』
と言っても小沢正さんではなく、ノルウェーの女性作家、シンケン・ホップの児童文学です。
あれ? 外国文学は好きじゃない、って言ってなかったっけ? などと言ってはいけません。アンデルセンやイソップはあまり好きじゃないけれど、中には好きなのもあったんですよ、『名犬ラッド』とか・・・『名犬ラッド』とか・・・『名犬ラッド』とか。(『名犬ラッシー』のバッタもんみたい、などと言うなかれ。アメリカでは結構有名な実話だったそうです)


『まほうのチョーク』はヨーンという少年が、描いたものが本物になるというチョークを拾い、それでまず自分と同い年くらいの少年を描いて、ふたりでチョークで描いた世界を歩いて回るという話です。絵と文章が一体になったような内容で、すごく夢中になりましたね。ヨーンは絵がヘタだから、少年も初めはただの棒っきれに頭が乗っかったような姿だったんだけど、最後はちゃんとした人間になって、ふたりとも立派に社会に出ていきます。
日本ではあんまり評価は高くなかったのかな。けれど僕の場合は、本当の意味で本好き、読書好きになったのは、これが一番のきっかけですね。ヨーンが描く絵はヘタクソだけど、例えばヨーンが描いたドアの向こうにトロルがいたりとか、とにかくワクワクさせられました。


4.天使で大地はいっぱいだ

そして、僕の読書好きを本物にしたのがこれ。

『天使で大地はいっぱいだ』

後藤竜二さんの処女作にして大名作です。北海道の大地を舞台に、6年生になったサブや家族、友人たちと、新米の先生キリコが織りなす、豊かで心温まる物語。何といってもその文章のリズムが最高! 例えばオープニング。

ついてないんだ。ぼくら六年三組の担任はキリコになっちまったのさ。みんなが前から心配してたんだ。なんだかそうなるような気がしてね。だけどほんとになっちまったんだ。

『天使で大地はいっぱいだ』 講談社文庫より

ね、素敵でしょ? 今じゃ、担任が女の先生になったことを嫌がる、なんてことから始めたら、取り上げてももらえないでしょうね・・・めんどくさい世の中になったもんだ・・・でもそういうことも含めて子どもの気持ちに寄り添っている、優れた作品でした。
何より小学校の図書室で初めて借りた本だったので。
自分で言うのも何だけど、僕はおとなしくてね、人見知りで、可愛くて、ハハハ(誰も知らないから何とでも言える)、図書室で本を借りるってのも小学校の5年生になってやっとできたんですよ。でも初めて借りたのがこれってのは本当。それから十何年か経って、続編も合わせてこうして文庫で手に入れました。とにかくずっと記憶に残ってるので、やっぱり僕の読書好きは『まほうのチョーク』とここからでしょうね。

takizawa蔵書


5.そして、どくとるマンボウ昆虫記

で、北杜夫さんへと続くわけです(いきなりかい!)。ま、そのあいだにも、例えば『怪人二十面相』とか『怪傑ゾロ』とか、覚えてるのはいろいろあるけれど、はっきりこれだ! って言えるのは『どくとるマンボウ』シリーズですね、国語の参考書でも取り上げられていたりして。
何より(また「何より」かい! そもそも何って何?<『僕って何』/三田誠広 ふうに>)、初めて自分の小遣いで買ったのが『どくとるマンボウ昆虫記』。こちらです。

takizawa蔵書

価格を見ると、160円! 160円ですよ、あなた。今じゃ玉子も買えやしない。
実に写真の文庫本がそれ。物持ちいいですねー、断捨離なんてなんのそのだ。左上にカラーと書かれてるのは、デザイン科の昆虫好きの友人に貸したら中の昆虫のカットをすべて、色鉛筆で塗ってきやがったので。カラーと書いたのもその友人。

その後、シリーズはどくとるが取れた『マンボウ』ものまで全部読んだけれど、『マンボウ』になってからはあまり面白くなくなったですね。あ、個人の見解です。
そして、読書歴は北杜夫さんの親友、辻邦生さんへと怒涛の如く突入してゆくわけです。


以上、僕が本好き、あるいは読書好きになったきっかけの一冊でした。え? 一冊じゃない? そりゃあもうね、無理です一冊だけなんて、ハハ(汗)。


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