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(33)海外在住の方とつながる 〜小学生のためのワークショップの実際1

 「これからのワークショップ」というマガジンタイトルにしているので、この夏、実際にコロナ禍の今、進行したワークショップについてご紹介しようと想います。とは言え、コロナ前と後と、そんなに変わってないこともあります。でも、「こんな可能性もあるんだ」って参考になればと思います。

 自分で進行しているので、なかなか写真を撮る時間が持てないのと、参加者の写真を載せるというのも難しいご時世なので、頑張って絵にしようかと思います。絵に関してはなんの知識も経験もない私ですが、助けになればと思います…。
 マスクはしていましたが、絵を描く時にはマスクは省略しています

 私が進行案を考え、私が進行しているので、どこのワークショップでも良いといえば良いのですが、この夏(2021年)に世田谷パブリックシアターで行ったワークショップをベースに、少しぼやかしながら、書こうと思います。

【24】-1 ワークショップの概要

 私は、上記リンクの「Aコース(小学1・2年生対象)」と「Hコース(小学3・4年生対象)」の進行役でした。

 それぞれ定員は15名程度。世田谷区民でなくても参加できます。毎年多数の応募があり、抽選になってしまいます。
 どちらも1日2時間×3日間です。

 活動場所(劇場の稽古場)に入る前に、お手洗いで手を洗い、うがいをして、上履きに履き替えます。稽古場内ではマスクを必ずしていて、距離を保ちながらの活動になります。互いに接触はしないよう気をつけ(危険があった場合は、その限りではないですが)、適宜手を消毒します。
 劇場の床や椅子、机などは、抗菌コートされております。

 どちらのコースも、2日目に海外に住む人に、zoomを繋いでお話を聞きました。Aコースはブラジルに住む日本人、Hコースはメキシコに住む日本人とメキシコの高校生にお話しをうかがいました。

 その場にいたスタッフは、劇場の制作担当が1〜2名、私と一緒に子どもと遊んでくれる人(いわゆるアシストをしてくれる方々)は3〜4名、そして私の、計6〜7名程でした。

【24】-2 知りあう

 1日目は知りあうところから始めます。公募で、抽選で選ばれるので、基本的に初めて会う子どもたちなので、どんなワークショップでも同じですが、「安心できる」場になることを最初は目指します。養生テープに名前(自分の名前でも良いし、ニックネームがあればニックネーム)を書いてもらって、時間までしばし待ちます。ただ待っているだけではなく、この時も「夏休みの宿題終わった?」というように、なるべく声をかけるようにしています。

 時間になったので輪になって座ります。そして一人ずつ名前を聞きます。最初は緊張して名前を言う声がとても小さい子や、言うのに時間がかかる子もいます。うるさいくらいに元気な子もいますが…。

 ずっと座っているのもつまらないので、立ち上がります。動きながら、かつ、個人に注目があたらないような、でも何となくお互いのことを知るきっかけになるようなゲームを、私はいつもやっています。

 例えば、進行役が言う場所に移動してもらうゲームです。部屋を大きく2つに分けて、「夏と冬だったらどっちが好き?夏が好きな人は部屋の左側、冬が好きな人は部屋の右側に行ってみよう!」と言います。

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 好きなことを聞いて良いです。自分は話さなくて良いけど、自分のことをを意識しないで人に伝える機会になります。慣れてきたら、4つに分けてもやります(私たちの中では4コーナーズと呼んだりします)。

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 「えー、選べないよー」「どれかなぁ…?」「全部好き〜!」などなど、いろんな声が聞こえてきます。集まった人で、「なぜ、それが好きなのか」「他と比べて良いところは?」を考えてもらって、発表してもらいます。

 並び替えのゲームもよくやります。

 全ての列が同じ人数になるように、複数列を作ります。例えば、5人×3列などです。列の中で、進行役が言う順番に並び替えをして、並び替え終わったら座ります。早く全員座れた列の勝ち、というゲームです。

 例えば「背の順」「誕生日順」「名前の『あいうえお』順」などです。「夜寝た時間の早い順」なども楽しいでしょう。

 あらかじめ、床にマーキングしておいて、「この点の上に並ぶんだよ」と言っておけば、密になることを避けられそうです。

【24】-3 身体で物の形を表現する(演劇の導入)

 いろんなところで言っていますが、演劇は「他者に何かを伝える」ことです。「知ったこと」かもしれませんし「自分の感情」かもしれませんが、とにかく、「ただ表現をする」のではなく、見ている人(聞いている人)に受取ってもらって、初めて「演劇」として成り立つと、私は考えます。

 でも、いきなり「○○の役をやって」とか「このセリフを覚えて」とか「もっと悲しそうに」みたいなことは難しいです。というよりも、人間が人間の役をやるというのは、とても現代的な演劇です。演劇を普段やっていない人、特に子どもの場合は、物の形を身体で表現する、というところから私は始めます。簡単というよりも、楽しいという気持ちの方が、私には強いです。

 はじめのうちは、鉛筆コップ椅子、などの、比較的想像しやすく、「どんな形だっけ?」と悩まないものが良いでしょう。

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 慣れてきたら、二人組になります。二人組で一つの物の形をつくりましょう。例えば「二人で一つのコップ」「二人で一つの椅子」などです。一人の時と同じものでも構いません。人数が増えると、表現の幅が広がります。

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 この時も「触らないようにね!」と注意します。でも、結果として、触らない方が大きなものができるため、表現としても分かりやすくなることが多いです。

 この後、3人でメガネ、4人でゾウ、5人で飛行機など、楽しそうなものを身体でつくれると良いです。密になることを考えると、今は4人組くらいまでにしておくのが良いかもしれません。

【24】-4 身体で場所を表現する

 物の形を表現することに慣れてきたら、今度は場所を表現してみましょう。これまでは、グループで(または一人で)一つの「もの」を表現してきましたが、今度は複数のものを組み合わせて、場所を表現します。

 例えば、6人組でキッチンなどです。グループの中の一人が冷蔵庫をつくり、別の二人が洗い場(シンク、流し)をつくって、別の一人がガス台をつくり…、という具合です。一人だけ人間の役をつくり、他の人たちが表現する「もの」を使って、場所を表すようにしましょう。

 この時も「触らないようにね!」と伝えますが、実は、一つのものをつくるよりも、距離が取れることが多いです。

 グループごとに違うテーマ、例えば、お風呂駅の改札などをつくってもらうことで、当てっこにするのも楽しいでしょう。
 また、一度つくった後に「未来の」「宇宙人の」というような言葉をつけて作り直してもらうのも楽しいです。「未来の台所」「宇宙人のお風呂」みたいなことです。

 (擬音。水が流れる音、火が燃える音など)やセリフ(おなか空いたなぁ、とか、遅刻しちゃう〜など)を考えてもらって、言ってもらうと、より演劇をやっている感じが出てきます。

 ここまでで、あっという間に1日目の2時間が終わってしまいました。子どもたちの感想を聞き、大人たちの感想も聞き、「また明日〜」と言って分かれました。

【24】-5 zoomでお話をうかがう

 さて、2日目。2日目になると、初日の緊張感はまったくなく、「ねーねー、こーた!」と話しかけてきます。
 車座になり、挨拶をして、名前が完璧ではないので「昨日の夜食べたものと、名前をもう一度言ってね」と始めました。例えば「昨日の夜、ハンバーグを食べたこーたです」のような感じです。

 この間に、事前に連絡していた海外の方とzoomで繋ぎました。海外の方の端末1台、稽古場(ワークショップの活動場所)で、全体をとらえるためのパソコン1台(ホスト)、アップで映るiPad1台という構成にしました。
 ホストのパソコンにはプロジェクタをつなぎ、大きく映し出し、見やすいようにしました。

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 この時、iPadはビデオはオンにしますが、ミュートにし、音も「0」にするだけではなく、ヘッドホン端子にヘッドホンをつけ、物理的にiPadから音が出なくなるようにしました。そうでないとハウリングを起こしてしまいます。もし、同じようなことをやろうと考えている方は、ご注意下さい。

 最初にも書きましたが、メキシコのゲストは、高校生(日本語ネイティブではありません。日本語を勉強中の高校生たちです)も3人出てくれたので、その時は、もう少し人数が多く映し出されることになります。

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 ここまででセッティングできれば、ワークショップの半分は成功したも同然です!(そうかな…?)
 長くなってしまうので、一度ここで区切りまーす。

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