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「異人たち」人生で忘れられない映画に出会う

*本記事は重大なネタバレを含みますので
    未視聴の方はご注意を

映画館で観よう観ようと
思いつつ、結局観れなかった映画
「異人たち」がDisney+で
配信されていたので鑑賞。

久しぶりに
「あぁ…いい映画を観たな…」
という余韻にドップリと浸ることができた。


配役が完璧過ぎる

まずは今作、登場人物4人が
本当に素晴らしすぎた。
本記事ではアダム役とハリー役の
2人を軽く紹介。

Andrew Scott

2014年の「パレードへようこそ」
2019年ブラック・ミラー シーズン5「待つ男」
の出演で自分も好きな俳優さん。
ちなみにオープンリーゲイ。

この人、心に闇を抱えているというか
中々他人には心を開かないという
役やキャラクターがマジで
ドンピシャな俳優さんだと
個人的に思ってて…
そんな中今作の設定が

幼少期に両親を亡くし
愛情を欲する孤独なゲイの中年男性

もう彼以外は絶対考えられない
というぐらハマりすぎている…
鑑賞前から絶対ハマり役だと
予想していたけれど
それを遥かに超えてきた。
そりゃこんな傑作になるわな。

Paul Mescal

ハリー役を演じるPaul Mescal
11月に公開予定のグラディエーターⅡの
主役にも抜擢されている。
経歴を見た所、28歳でまだまだ若手の彼。
正直「異人たち」をみていなければ
「誰この人?」となっていたところ。
しかし今作で圧巻の演技を魅せられて
逆に100倍グラディエーターが
楽しみになるという嬉しい誤算。

ストレートなのにどうしてあんなにも
官能的かつ美しいゲイシーンができるのか…
しかもめちゃくちゃイケメンだし
もう一発でファンになったわ。

考察

ここからはアダムの会話で
自分が好きな所、
そして感じた事を記述。

「あんた、クィアだよな?」

ハリー:
「あんたクィアだよな?」
アダム:
「ゲイだ。
   クィアは馴染めない。
   昔は侮蔑的な意味だった。」
ハリー:
「ゲイって言葉は使われすぎてる
   クィアの方が上品な気がする。」

初見では、「クィア」と呼ばれる事を
嫌がってるように見えるシーンですが
2周すると真意は逆だと分かる。

「ゲイ」という単語
海外では”オカマっぽい”という
悪口としてもけっこう使われる事が多く、
それがハリーの言葉に表れていた。
幼少期、同級生に「Girl(女)」と呼ばれ
イジメを受けていたアダムにとって

「あんたゲイだよな?」

という言葉は気持ちよくないはず。
「クィア」が昔侮蔑的な意味で
使われていたのは本当だけど
現在では逆にポジティブ的な
意味で使われていることが多い。
だからハリーから
「あんたクィアだよな?」
と聞かれたのは、
本当はそう聞かれたいという
アダムの願望なんですよね。

父親との会話

アダムがゲイだと知った
父親との会話の最後

父:
「あの時部屋に入らなくて
   悪かった…
    …
    …
   ハグしてもいいか?」

このシーンはもうクィア映画史に
残るベストシーンだわ(泣)

時代のせいで
理解はされなかったであろう
諦めがありつつも、
それでも本来親から欲しかった
言葉、愛情がこのシーンに
全て詰め込まれている

直接言葉では
伝えなかったけど
「本当はあの時こうしてほしかったんだよ」
という想い、淡い願望。
もうセリフの一つ一つが切なすぎる。
ラスト前の両親との別れのシーンも
めちゃくちゃ感動するんですが
個人的にはここのシーンが
より印象に残っている。

ラストのセリフとエンディングソング

ラストはもう最高に切ない…

アダム:
「君を死神から守ってやる
   吸血鬼も追い払ってやる」

視聴者に委ねるような
このセリフ。
真意は分からない。
けど2周目でこのセリフを
聴いた時はもう涙不可避でした…
そしてエンディングソング
「THE POWER OF LOVE」
はもうアカン。

こういう70~80年代の
バラードが一番くんのよ…

感想

「一番好きな映画は?」
と聞かれると、映画好きであれば
「あれも好きだけど…あれも外せないな~
   う~ん…」
と悩んでしまう方が多いと思う。
しかし自分は即答できる。
NETFLIXのブラック・ミラー
シーズン3の「サン・ジュニペロ」である。

「San Junipero」

5回観て5回とも号泣した。
もう生涯これを越える作品には
出会わないだろうというほど
ぶっちぎりで不動の傑作品。

しかし今回「異人たち」は
初めてこれを揺るがすほどの
作品になった。
愛、孤独、人生を
これほどまでに
辛く、切なくも温かさで
美しく包み込めるのか…

間違いなく生涯、
忘れられない映画であり
大切なひとつとなりました。


以上







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