そんなことも、あるものだ
数年前、同僚と2人で夏に外回りの途中、昼食を取ったと後の話。ある様子を見て、あきれてつぶやいたことが本当になってしまった話です。
助手席に同僚、運転は私、2車線の道を走っているときに横から原付のバイクがすり抜けて行った。
原付は1人しか乗れないのにもかかわらず、3人乗っていて、フラフラと右や左に蛇行しながら高速で抜けて行った。
「なんだあれ」
「すごいね。よく乗れるね」
「あぶないね」
「どうして、ルール守らないんだろう」
などと2人の会話。
一瞬間が空いて
「死んじゃえばいいのに」
と、同時に発してしまった。その息の合い方に、思わず笑ってしまった。
そして、しばらく雑談をしながら運転していると、途中で車の流れが悪くなった。いつもはこんなに流れが悪くならない道なのに・・・。
おどろいた。
流れが悪くなった先頭に先程の3人乗っていた原付が電柱にぶつかって道路に倒れていた。
「えっ?」
同僚と私は顔を一瞬見合わせた。
すでにたくさんの救護者がいたので、そのまま通り過ぎていった。
「大丈夫かね?」
「危ない走り方していたしね」
対向車線から救急車が通り過ぎる。事故になってしまったのだ。
次の日、新聞の地方欄の片隅に
「原付3人で乗って事故、3人死亡」
と言う記事が掲載されていた。
私たちが声に出して発してしまったことが本当になってしまった。
そんなことも、あるものだ。