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ニューヨークタイムズ紙で紹介:公務員資格任用制に関するシステマティックレビュー論文

私たちの研究チームが実施した公務員の資格任用制の効果に関するシステマティック・レビュー論文(日本語解説記事はこちら)が、ニューヨークタイムズ紙のゲストエッセイ(op-ed)で取り上げられました。この記事はジョージタウン大学マックコート公共政策大学院のドン・モイニハン教授によるものです。

最近、アメリカでは「スケジュールF」と呼ばれる公務員改革案が大きな注目を浴びています。この提案は、実現されると1883年の公務員制度創設以降で最も大きな変化をもたらすものであり、トランプ政権時に初めて提案されました。具体的には、最大で5万人近くの連邦政府公務員を、身分保障がなく解雇しやすい任用職に変更する内容を含んでいます。この変更の目的は、公務員の身分保障を撤廃することで、政権の意向に柔軟に対応し政策を実行できるようにすることです。多くの日本人にとってはピンと来ないかもしれませんが、衆議院総選挙が終わり新内閣が成立するたびに一定数以上の霞が関官僚が職を辞さなくてはいけないような改革案と考えるとことの大きさが分かるかもしれません。

トランプ政権はこの大統領令を実施する前に終了し、バイデン政権は2021年1月にこれを取り消しました。しかし、2024年の大統領選挙でトランプ前大統領の再選可能性が高まる中、再び政権を握った場合、保守派のシンクタンクでは公務員の抵抗を抑えつつ円滑に政権を運営するための手段の検討が進んでいます。その一環として、スケジュールFを実施し、より政権の意向に合致した政策を実現しやすくする計画が立てられています。

この改革案に対しては、多くの公共政策や行政・官僚制の研究者から懸念が表明されています。実証研究結果からも、このような転換が好ましい結果を生まない可能性が高く、政府にとっては深刻な問題を引き起こす可能性があることが指摘されています。私たちのシステマティックレビュー論文は、そのような実証研究結果の一つとして、ニューヨークタイムズ紙の記事で取り上げられました。紹介された論文の日本語解説記事はこちらです。


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