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転職時の契約書の内容で確認するべき事

ここまで、「メールでの給料の交渉の方法」「給料の交渉は誰と行うか?」などの投稿では、主に、給料の交渉について説明してきました。この投稿では、給料の交渉が終わってから、契約書が送付されてきたときに気をつけるべきことを説明します。

契約書を受け取るまですべての合意は非公式

ここまでの交渉で得た合意はまだ正式な契約ではありません。もちろん、口頭ではなくメールで行われた交渉の内容については、エビデンスが残りますが、基本的に契約書にその内容を書き起こしてもらい、両者がサインした時点で契約が公式のものになります。なので、原則、契約書にサインするまでは、現在の仕事を辞めないことが重要です。ただ、雇用主側が、これまでの交渉で合意した内容を無視して内容の契約書を作成することはまず無いので安心してください。
また、状況によっては、契約書にサインするまでの時間があまり無い場合があります。たとえば、現在の会社を次の仕事に間に合うように辞めるために、何ヶ月か前に現在の会社に辞令を提出する必要があるときがあります。しかし、前に述べたように、新しい契約書を受け取るまでは、今の会社に辞令を提出するのはリスクがあります。

そのような場合は、まず最初に新しい雇用主側にその旨を伝えて、早めに契約書を作成して送ってもらうようにする必要があります。また、特にその雇用主が海外の会社の場合は、郵送に時間がかかる場合があります。そのような場合は、契約書が作成された後、相手にサインの入った契約書のスキャンをメールで送ってもらうことも可能です。

もちろん、ドイツなどの国によってはあくまでオリジナルの契約書でしか、厳密な意味での契約書の効力が無い場合がありますが、実際は、サイン入りのスキャンを送った時点で、ほぼ間違いなく会社側は契約をまもるようになっています。

契約書はいつ送付されるか

 契約書が送られてくるまでの時間を待つのは落ち着かないと思いますが、大抵の場合、人事担当者が契約書を作成して社内での承認をうけるには少し時間がかかります(2、3週間くらい)。少し遅いなと感じてもあせらずに、丁寧にメールなどで相手に確認しましょう。

契約書の確認するべき内容

契約書を受け取ったあとは、サインするまえに、そこに書かれている内容がこれまでに交渉の中で合意した内容に合っているかをよく確認して下さい。契約書の構成は会社により違いますが、時には分厚い内容である場合があります。いざ読もうとすると、契約書に無数の項目が書かれていて圧倒されるかもしれません。もし項目があり過ぎる場合は主に次の項目にフォーカスして確認してください。
ジョブタイトル、役職。契約書に書かれているあなたのタイトルや役職が、面接や交渉の時に合意したものと同じである必要があります。もしタイトルや役職に大きな間違いがあれば、契約書にサインする前に担当の人事やマネージャーにその事を知らせましょう。
給料と他の待遇。給料とその他の待遇が、交渉の時に合意したものと同じであるか確認してください。これも同じで、もし間違いがあれば、契約書にサインする前に担当の人事やチームマネージャーにその事を知らせましょう。
スタートデート(契約開始日、つまり働き始める日にち)と労働時間。特に、もしあなたが他の仕事から転職する場合は、前の仕事を辞める日と契約開始日の間に十分な期間を設けて、それらが重ならないように注意しましょう。契約開始日の他に、労働時間についても確認しましょう。たとえばドイツなどの欧州の会社では、週休3日制度や、一日の労働時間が7時間の会社が多いです。面接や交渉で合意した内容と合致しているか確認しましょう。
・ターミネーション(契約を終わらせる場合の条件)。あなた側から契約を終わらせる場合(つまり、会社を辞める場合)、どのくらい前までに雇用主に伝える必要があるか。またそのときにペナルティは発生するかを確認してください。たとえば、もしあなたがその仕事を始めるために引越しして、その引越しの手当てを会社に支給してもらったとします。その場合、もし1年以内にあなたが会社を辞める場合は、支給された引越し手当てを返す必要があったりします。また、あなた側から契約を終わらせる場合だけでなく、雇用主側から契約を終わらせる場合の条件も確認してください。
・有休、病気や怪我で会社を休む場合の条件。何日の有休がとれるか。いつから有休が付与されるか。使いきらなかった有休の処理の方法を確認します。とくに国によって有休の取扱いに対して異なる規制があるので注意してください。また、病気や怪我で会社を休む時のことについても確認しておきましょう。

今回の投稿では、転職の時に、契約書が送付されてからの事について説明しました。「海外就職のための給料交渉完全ガイドブック」では、他にもある面接の後、給料の交渉の後に気をつけるべきこと、ノウハウを説明しています。


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