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給料の交渉は誰と行うか?

いつ給料の交渉を行うべきか?」で述べたように、給料の交渉を行うのに適したタイミングがあり、それを知っておくことが大切です。さらに、給料の交渉を成功させるために気をつけるべきことは、給料の交渉をする相手が誰であるか、また相手の役職だけでなく、相手の置かれている状況、意図を汲むことが大切です。

交渉の相手が誰であるかを意識する

あなたが直接交渉をする相手は会社という存在ではありません。あなたが交渉する相手は、一人一人、違う役割や目的をもつ人間です。

相手との交渉を効果的に行うためには、まずあなたが話している相手がどのような役職、目的をもつ人なのかを把握することが重要です。

多くの場合に、あなたの交渉の相手になるのは、あなたの加わることになるチームのマネージャーか、採用担当の人事部門(HR)の人でしょう。チームのマネージャーと人事と交渉するのとでは、その2つの場合で、大きく状況が異なります。

たとえば、チームのマネージャー相手に、細かい契約の内容(たとえば、引越しに伴う手当て)を交渉するのは得策ではありません。そもそもチームのマネージャーはそのような契約の細部にあたる内容に詳しくない場合が多いです。よって、そのような交渉は、採用担当の人事と行うのが正解です。

一方、採用担当の人事にとって、あなたは、彼らがやりとりをする数多くの候補者の中の1人に過ぎません。よって、そんな忙しい彼らから、あなたにだけの特別な待遇を引き出すのは難しい場合があります。

対照的に、チームのマネージャーにとって、あなたはとても希少価値の高い、彼のチームにマッチするやっと見つけた人材です。よって、あなたの特別な希望に対して、一緒に人事にかけあってくれる可能性があります。

相手の立場を理解する

もし交渉のなかで、あなたの希望した内容がそのまま受け入れられなかった場合は、なぜそのことが受け入れられないのか、理解するようにしてください。

希望を受け入れられなかった場合、相手があなたのことを好意的に思っておらず、あなたの価値を拒否されたように感じるかもしれません。しかし、それは間違いです。

複数の面接を通じて、相手はあなたのことを魅力的な人材だと思っているからこそ、雇用主はあなたにオファーをだしています。彼ら自身としては、できればあなたの希望を叶えてあげたいと思っていますが、なにかの外部的な制約のせいで叶えられない場合がほとんどです。重要なことは、希望を受け入れられなかったからと言って、落ち込んだり、諦めるのではなくて、相手の立場を理解し、相手側の制約や希望を知り、あなたと雇用主側の両方がWin-Winとなる新たな合意点を目指すことです。

まえに述べたように、通常は交渉の際に、あなたの希望内容のどの項目が受け入れられないかということを、相手がその理由と共に回答してくれます。それだけで十分に相手の置かれている立場が把握できる場合もありますが、情報が足りない場合は、こちらから相手に質問をして情報を引き出すようにしましょう。

たとえば、雇用主側が、「基本的にこの会社の従業員は、労働組合で全体的に合意した内容をもとに、公正な待遇をうけることになっていて、あなたの希望する基本給は決められた額より多すぎるため難しい」と回答してきたとします。
交渉になれてないと、この回答をもらったあとに、交渉をあきらめてしまう場合が多いです。しかし、実際、この場合でも、複数の交渉のアプローチが考えられます。

たとえば、まず、労働組合で規定された契約とは違う契約をむずぶ方向で話しを進めるアプローチが考えられます。通常、労働組合で規定された契約は基本給だけでなく、バケーションの日数、労働時間の制約など包括的に決められている場合が多いです。よって、たとえば、あなたの優先順位が基本給であれば、高い基本給をもらう代わりに、緩めの労働時間の制約を提案することが考えられます。

2つ目のアプローチとして考えられるのは、希望の基本給をもらうことは諦めて、他の項目でその差分を埋めることです。たとえば、規定された契約で、ボーナスが規定に含まれているかどうかを確認し、含まれていない場合は、追加でボーナスをリクエストし、基本給+ボーナスの総額でもともとの給料の希望内容と同額となることを目指すことができます。

上の2つのアプローチはごく一部の例で、他にもたくさんの交渉のアプローチが考えられます。
このように、Noと言われた後でも、相手の立場を理解することで、最終的に総合的に両者が納得できる合意を目指すことができます。

このように、給料の交渉をするときは、その相手が誰かを相手の立場や意図を含めて理解すると成功の確率があがります。さらに詳しくどうやって相手の意図を理解するかについて、「海外就職のための給料交渉完全ガイドブック」に説明してあるので、参考にしてみてください。


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