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#99 すぐに「できる」という人には注意が必要(2024/06/15)

「できる」と言ったという事実が大きな問題を引き起こすということがあります。

木下斉さんnoteで以下の三分類が解説されていました。

言われたこともできない人
言われたことができる人
言われないこともできる人

非常にわかりやすいのでこの三分類を拝借させていただき、言われたことができる人が「できる」と言ってしまうことに気を付けようという話です。

言われたことができる人は、これをちゃんとしている人です。

・内容で理解できないことは引き受けない
・期限を守れないことは引き受けない

木下斉さん「言われたこともできない人と言われたことができる人の違い」より

〇「できる」という言質取りに注意せよ

システム開発の現場では、顧客の要望をヒアリングした営業担当がエンジニアに「これできますか?」と相談するシチュエーションがよくあります。
この時に注意が必要です。

システム開発では顧客の要望を受けると、要求をヒアリングして深掘りし、費用と期間を見積もり、発注いただきます。

社内外での調整の際に、「顧客の要望を本当に実現できるかどうか」はシステムを実装するエンジニアの判断が必要になります。

言われたことができる人の「できる」という言質は、どんなシチュエーションで言ったかに寄らず、一人歩きしてしまうため、すぐに「できる」と答えてしまう人には注意が必要です。

特に、スピード感を持って社内外の調整を進めたいと、ただただ言質を取りにくる営業には注意が必要です。

また、言われたことができる営業とエンジニア間のやりとりであっても、エンジニアの稼働をなるべく抑える方が喜ばれるだろうと、良かれと思って最低限のやりとりの中でエンジニアの「できる」を引き出そうとしてしまいます。

〇「できる」の前提を確認せよ

軽率な「できる」の一人歩きを防ぐには、「できる」の前提をキチンと固めることです。

誰がやったらできるのか

エンジニアが回答する「できる」は、「自分だったらできる」と言っていることがほとんどです。
「できる」かどうかの判断を求められるエンジニアは、言われたことができる優秀なエンジニアはで、プロダクトの知識も経験も豊富です。

優秀なエンジニアの「(私なら)できる」という回答を持って「できる」と判断するのは会社としては妥当です。
しかし、社内では、実際にの開発を担当するチームのメンバー構成や、開発時期の他案件の状況なども加味して「できる」と判断しないと、大炎上プロジェクトとなるリスクを抱えてしまいます。

このチームに、この時期に対応してもらうという前提も伝えて「できる」かを確認すべきです。

どういうスケジュールならできるのか

宇宙開発のような超最先端のテクノロジーを要するプロジェクトや、金融などの超高度な専門性が求められるシステムでない限り、たいていのことは実現可能です。

そのため、「できますか?」と聞かれたら「まぁできます。」と答えられてしまいます。
その「できる」は1か月でできるのか、1年か10年か、重要なのはシステムを提供するまでのスケジュールです。

対応するエンジニアによっても同じ内容を1日でできる人もいれば1か月かかる人もいます。
実際の開発時期の人員計画まで込みでプリセールスを進めることは難しいので、標準的なエンジニア一人で何日かかるという人日(にんにち)計算が行われるのですが、あくまでもざっくりとしたものです。

明確な対応時期・対応期間も合わせて「できる」かを確認すべきです。

既存のプロダクトの前提でできるのか

既存のプロダクトに機能を追加する際には、様々な制約が発生します。
家を建てる時にも、2階建てを前提とした土台に後から5階建てを建てるのは無理です。(専門家ではないのであくまでもイメージです。)

システムも同様です。
そのため、既存のプロダクトの前提を無視して、「こういうことは実現できる?」という相談は危険です。
新しいプロダクトとしてはできるが、既存のプロダクトに機能を加える場合では難易度が全く異なります。

どのプロダクトで実現したいのか、既存のプロダクトの前提を加味して「できる」かを確認すべきです。

〇長期的な視点は考慮せよ

納品したらおしまいのシステム開発もありますが、弊社は顧客のビジネスを一緒に成長させたいという想いがあり、納品後の運用や追加開発も請け負います。

そのため「できる」という判断をする際には、目の前の要望を実現できることだけでなく、納品後の運用やその後の顧客・自社のビジネスまで見据える必要あるのです。
その要望を実現することで生まれる制約によって、将来的に何ができなくなるかや、納品後の運用負荷が爆増しないような考慮をしたうえでの「何をやる」かの判断をすることが重要です。

とても難しいですが、長期的な視点を持つことは重要です。


忙しい時ほど、「できる」の言葉が欲しくなってしまいます。
すぐに「できる」と答えるのでなく、前提を確認すること。また、周りで軽率な「できる」の言質取りを見つけたら注意すること。
気を付けるようにしています。

最後までお読みいただきありがとうございます。


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