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#172 ブレストで良いアイデアが生まれるわけがない ~大事なのは自分の課題として取り組むこと~

こんにちは。ITベンチャーエンジニアのこへいです。

ブレストはムダ。世界的心理学者が開発した発想法が凄い
という、『選択の科学』などの著作で知られるコロンビア大学ビジネススクール教授のシーナ・アイエンガーさんの対談動画で、ブレインストーミングでは最高のアイデアは生まれないと語られていました。

木下斉さんのVoicyの放送でも、課題解決のためのブレストは禁止と指摘されています。

ということで、今日は本当に課題を解決したいのであれば、ブレストをしてはいけない理由と、どのようなアプローチをとるべきかについて、整理します。

〇ブレストでは良いアイデアが生まれない理由

ブレーンストーミング(brainstorming)は1950年頃に誕生した会議手法で、複数のメンバーが自由に意見を出し合うことで、新たな発想を生み出したり、アイデアを昇華させたりすることを目的としています。 日本では略して「ブレスト」と呼ばれるほか、「集団発想法」と訳される場合もあります。

新たな発想を生み出したり、アイデアを昇華させたりすることを目的としたブレストですが、実際にやってみて良いアイデアが生まれ、課題の解決に繋がった経験がありますでしょうか?

簡単な課題の解決であれば、それぞれの課題を共有し合うことで解決法を知っている人のアドバイスによって解決するということはありますが、ブレストによって困難な課題を解決するアイデアが生まれ解決に至ることはない理由について考えます。

ブレインストーミングでは最高のアイデアは生まれない。むしろアイデアを狭めてしまう

ブレストはあなたが話す。次の人が話すの繰り返し。その瞬間に思いついたことを話すだけです。それぞれが全く異なる意見を持っていれば良い決断をすることができるかもしれませんが、ほとんどの場合は前の人の意見にバイアスがかかり、誰かの見方に引きずられることになります。

色んなメンバー集めても自由に様々な意見を出し合うのが目的のはずが、声の多いな人の意見に引きずられることになってしまいます。

その場の思いつきで解決するわけがない

特に準備なく、その場で意見を出し合う場合は声の大きな人の意見によるバイアスの影響が大きくなります。

そもそも、難しい問題を解決したい場合にその場で意見を出し合うだけのブレストで答えが見つかるわけがありません。

私もチームの課題に対して、チームメンバーみんなで解決に向けて協力していきたいと思い、ディスカッションの場を設けて取り組んでいたことがあります。
その際にも、様々な視点から見た課題の洗い出しは出来ても、実行的な解決策がブレストで生まれることはありませんでした。

課題に対するアプローチを自分で宿題として持ち帰って、次回に宿題の結果の共有をすることで一部の課題の改善を進めることができましたが、自分の課題を持ち帰れるメンバーが個別に取り組むような形になっていました。

合意形成のプロセスによってつくられた折衷案は誰も責任を負わない

木下さんのVoicyでも、課題解決のアプローチに対する合意形成のために折衷案を作ってしまうと、誰も責任を持とうとしなくなります。

折衷案はそれぞれのアイデアを変形しているため、その時点で自分のアイデアではなくなってしまいます。また、みんなで一緒にやるとなった場合、誰が責任を持つのかが曖昧になってしまいます。

Aさんは〇〇を、Bさんは××を、というように一人一人が自分のアイデアに責任を持って宿題として取り組み、次回にその結果を持ち寄ってより良いアイデアに昇華させていくプロセスこそが需要で、折衷案を作ろうとした時点で、課題が解決されることはなくなります。

協力して一つのゴールへ進む場合も、一人一人の責務を明確にし、人任せにならないような役割分担が重要です。

〇なんちゃって合意形成に使われることに気を付けよう

ブレストで良いアイデアが生まれることは出来ませんが、コンセンサスをとることには使えるかもしれません。

特定のアイデアで進めることをメンバーに共有して、その時点での反対意見や懸念事項を拾い上げ、「明確な反対がなければ、一旦進めてみます。」と、そのアイデアを進めることの合意を得ることができます。

ブレストによって合意形成ができるという意味では、上の立場の人間がみんなの意見を聞いたというポーズとして使うこともよくあるかと思いますので気を付けたいところです。

逆に、自分自身もチームへの共有と合意を得るために丁寧に説明したつもりが、うまく伝えられておらず、その時点ではよくわからないから反対はしなかったという、形だけの合意形成になっていないかは注意すべきです。

丁寧に合意形成をするには『Disagree&Commit』という手法を用いるのが効果的です。

〇会議ではやるべきことを決める。有識者によるフィードバックをもらう

さて、ブレストでは良いアイデアは生まれないという説明をしましたが、どのようにチームで課題解決を進めれば良いのでしょうか。

まずは会議の設定を明確にし事前に共有し、宿題を設定することです。
前述の通り、集まったその場で思いついたアイデアで難問を解決することはできません。

そのため、会議では事前に考えた課題解決のアイデアを共有し合い、有識者からのフィードバックをもらい、それぞれがどのように解決のためのアプローチを進めていくかの進め方の合意形成を行う場とすべきです。

各々が自分のアイデアを進め、次回の会議でその結果を共有し合い、フィードバックをし、最も成果の出たアイデアに集中していく、というの繰り返します。

結局、難問を解決するには一定の腕力が必要になるため、みんなで協力して賢くやろうとするだけでは、解決には至りません。最後にアイデアを推し進めるのは自分自身であり、その覚悟がないならやる意味がありません。

それぞれのメンバーが、自分自身の課題としてアプローチして多くの球を打つことが出来ることに、個人の成果を越えるチームとしての意味があるのです。


ということで、今日はブレストでは良いアイデアは生まれず、課題の解決には至らない。チーム個々人が自分課題に取り組むことで、結果としてチームとして協力して課題解決が進むということについてお伝えしました。

ブレストは集まって喋れば良い非常に楽でやった感が出る手法でありますが、全くと言っていいほどに成果にはつながりません。
自分自身もブレストを禁止し、ブレストが開催されそうになった際には、会議の目的と宿題を確認するようにしたいと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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