読書記録|手づくりのアジール(青木真兵 著)⑦
シェア型書店への出店を考えたことがある。
(シェア型書店とは、1軒の店舗を数人~数十人の棚主で共同運営する書店のこと。棚主は割り当てられた区画を自由に運営できる)
「申し込もうか、どうしようか」と考え、決断できないまま、話はいつも流れてしまっていた。
なぜ私は、出店を決断しないんだろう?と考えながら、日々を過ごしていたら、「手づくりのアジール」にこんな記述を見つけた。
私も似た感覚を持っていたので、とてもしっくりきた。「商才がない」という理由には共感したし、売買とは異なるかたちで本のやり取りをしたいと思っていたから、貸借も面白いと思った。
図書館いいなあ…と考えながら、日々を過ごしていたら、近所で「貸し本棚オーナー募集」というお知らせを見つけた。
すぐに応募した。
即決で応募したところに、何かあるのだと思う。それが何かは、まだわからないけれど。
こうして「湖畔の制作室」の小さな図書館をつくることを決めた。
応募したのは良いが、どんな図書館にしよう?そう考えながら、日々を過ごしていたら、山崎さんが折坂悠太さんのアルバム(呪文)を送ってくれた。
聞いてみると、私の作りたい図書館のイメージに近かった。何が近いのか?折坂さんのインタビュー記事を読んでみる。
前作「心理」から「呪文」に至る変化として、特定のステートメントを大切にする作り方から、今まで生きてきた35年の時間・生活・自分を土台にして、言葉を拾いあげる作り方へ変化したことが書かれている。
「湖畔の制作室」の図書館でも、私が生きてきた時間・生活・自分を土台にして、本や言葉を拾いあげ、小さな図書館という棚(アルバム)に入れて表現していきたいと思った。
さらにもう一つ。
日々の健康を大切にする。これも大切だと思う。
何らかの主張(ステートメント)を発信する本棚というよりは、日々の健康を大切にするような本棚。私たちの考えを組みなおすだけでなく、身体の動きを組みなおす(外に出てみたり、散歩をしたりする)ような本棚。そんな本が並ぶ図書館をつくってみたいと思った。
折坂さんと私は同い年だ。
もしかしたら、35年という時間は、安心してそれを土台にすることができる最小の時間なのかもしれない。1曲目の「スペル」は、そんな思考へゆっくりといざなってくれた。
「湖畔の制作室」の図書館は、7月末には準備が整う。近くにいらした際は、是非お立ち寄りください。
「ルチャ・リブロを読み直す」第4回読書会
課題図書:青木真兵(2021)『手づくりのアジールー「土着の知」が生まれるところ』晶文社
第4回:「「最強」とは何か―山村で自宅を開くこと」(P89-110)
2024年7月29日(月)20:00~22:00
会場:homeport(北20条)or オンライン
どなたでも参加可能です。参加希望の方は下記までご連絡ください。
kohan.seisakushitsu[a]gmail.com
※[a]を@に変更してください
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?