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ペットロスガーデン(エッセイ)

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ペットロス歴10年、庭の植物や野鳥と暮らす、日々の考察です。 書きためたエッセイを投稿しました。15話完結+2話のお話です。順に読んでいただけたら嬉しいです😊
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#ペットとの暮らし

ペットロスの、その先に。(エッセイ・ペットロスガーデン エピローグ)

ペットロスの、その先に。(エッセイ・ペットロスガーデン エピローグ)

自分だけの記録として、書き溜めていたエッセイ「ペットロスガーデン」を、まとめてnoteに投稿した。
実はこの話には、続きがある。

10年ぶりに、ペットを迎えたのだ。

書き溜めたエッセイは誰にも見せないつもりだったけれど、やはり書くことの中には、誰かに読んでほしいという気持ちが隠れていた。
私の庭を好きだと言ってくれる友人に、その一部を読んでもらえないかとお願いすると、友人は快諾しただけではなく

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寂しさを手放すことを諦める(エッセイ・ペットロスガーデン 最終話)

寂しさを手放すことを諦める(エッセイ・ペットロスガーデン 最終話)

最後に飼った犬、なことお別れしたあと、ペットロスが長引いた原因については、覚えがある。

私はなこがいなくなることを、覚悟しなかったのだ。

繁殖リタイア犬だったなこは、元気そうに見えても、無理な出産で体力を沢山消耗していて、引き取った後は色んな病気になった。
手術や検査、何度も窮地を乗り越えて、その度に天国と地獄のような気持ちを味わう中、私となこの間には、見えない壁が生まれていた。

「いついな

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詩「ひとつだけ」(エッセイ・ペットロスガーデン⑦)

詩「ひとつだけ」(エッセイ・ペットロスガーデン⑦)

「ひとつだけ」

お供えのバナナはもう 
買わなくていいよ

お花は飾ってくれてもいいけど
飾らなくてもいい

なこはもうこれ以上
ほしいものなんてないの

なこのものをずうっと
たいせつに
取っておいたりしなくていいよ

お気に入りだったおもちゃも
編んでくれた セーターも
天国へは 持っていけないの

持っていけるのは
たましい ただ そのひとつだけ

たくさんの
うれしいと
たのしいと
だい

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ペットロス歴10年目(エッセイ・ペットロスガーデン②

ペットロス歴10年目(エッセイ・ペットロスガーデン②

最後に暮らした犬、なこが死んで、ペットを飼えなくなってから、10年が経つ。
あれから、楽しいことも沢山あったし、43歳の時、結婚もした。
今だって、幸せだと思う。

でも、なこがいた時と、いなくなってからでは、世の中の見え方が違う。色が違う。時間の粒の、輝きが違う。
一瞬をとらえて逃さない、そんな鋭敏な感性のレンズを、落っことしてしまったような感じだ。
あの世界にあった、眩しいほど鮮やかに見えた景

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