学生服リユースショップさくらや研究【さくらやぼん編その7】
逆風下でのクラウドファンディング開始
馬場さんは、さくらやぼんのクラウドファンディングを予定より1週間早めて4月8日に開始しました。ちょうど緊急事態宣言が4月7日に公示された直後のタイミングで、クラウドファンディングの周知のための活動が制約される状況でした。
そこで、地元香川の電鉄会社「ことでん」(高松琴平電気鉄道)琴平線の電車1編成の車内広告を全部「さくらやぼん」の広告にする、「ことでんジャック」をすることにしました。ちょうど車内広告が少なくなっていた頃だったので、そんな方法も可能だったのです。この時の写真は、さくらやぼんにも掲載されています。
もともとの予定を早めて、「今だ!」と言わんばかりにクラウドファンディングを開始した馬場さんでしたが、初めての経験でもあり、何が起こるのか予想もつかない未知の世界てした。それでも当時、見直すべき点がまだまだあった中で見切り発車のスタートを切ったのは、思い切った判断でしたが、やって良かったと馬場さんは回想しています。
気になって画面に釘付け
スタート初日。馬場さんはさくらや高松店でスタッフや応援者と一緒にパソコンの画面を見ていました。寄付がどのくらい来るのか気になってパソコンの前から離れることができず、ハラハラして過ごしていました。家で床についている時も頭から離れず、一人で不安になりもしたそうです。
開始から2日間は、馬場さんはパソコンの前に陣どって頻繁にチェックしてたと言います。寄付のお知らせが来るのを見ながら、自分たちのSNSを活用して口コミをお願いしたりと、さくらや高松店の業務もそっちのけでクラウドファンディングに掛かりきりだったそうです。
それでも3日目になると、「店舗の現場が側にあったことで我に返れた」と馬場さんは言います。「応援してくれる人は応援してくれる。自分は現場を大事にしなきゃいけない」と達観して、さくらや高松店の業務に専念できるようになりました。
クラウドファンディングを始めてみると、単に経過が気になることに留まらず、
●FacebookなどSNSでどれだけの人達にお知らせできるか?
●友達にはどれだけの友達がいるのか?
といったセルフマーケティングや、リターン品を決めるのに頭を悩ませたり、写真映えするものを探したりと、馬場さんは相当の時間と労力を費やす必要がありました。
次も何か機会あればクラウドファンディング活用するかと問われれば、
「やりたいが50%、大変だったから難しいかなが50%」
と馬場さんは苦笑します。それくらい大変なプロジェクトでした。
目標達成! しかし苦労も
Makuakeでのクラウドファンディングは5月26日までの49日間行われ、目標額の30万円に対して566%となる170万円が寄付されました。145人の応援者の中には馬場さんも知らない人が何人もいたそうです。「さくらや」のパートナー店舗がSNSなどで告知してくれたり、Makuakeのウェブサイトを見た人が寄付してくれたのでした。
多くの人たちがさくらやぼんに興味を持ち、馬場さんの応援をしてくれていることが数字として捉えることができ、「この本ができたら、ほんまに何かしたい!と悩んでいる人達に活用してもらいたい。だから、もっともっと良い本を作らないと」と考えるようになったそうです。
クラウドファンディングをして、馬場さんが「良かった」と感じた点は、宣伝広告になるということでした。人から人への口コミも期待でき、目標を達成したら「凄いね」というメッセージも届き出したそうです。
ビジネスにも相乗効果がある一方で、そのためには準備が必須だと馬場さんは感じたそうです。SNSで周知することや、個人でお知らせするには、日頃から自分のファンや繋がりを作っておかなければならないというわけです。
単にクラファンしたから上手くいくというのではなく、準備をどれだけ丁寧に作り上げていくかが鍵で、それが未来の構築につながると思ったのでした。
労力と費用はトレードオフ
馬場さんは、クラファン専門のスタッフを置かなかったため、かなりの時間がとられたと言います。また、写真映えもポイントになるため、プロにお願いした方が良いなと感じたそうです。いずれも費用が掛かるわけですが…
そうした追加的な費用を掛けない場合でも、手数料やページ作成費は必要になります。そのため、「クラウドファンディングは宣伝広告と捉える方が良いかもしれない」と馬場さんは述懐します。
クラウドファンディング会社にはエリア担当者もいますが、思うほどのフォローはないと感じたそうです。作業を外注しなかった馬場さんは、自分たちで頑張るしかありませんでした。クラウドファンディングを通じて、労力と費用はトレードオフだと再認識したのでした。
続く
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