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【第5回】 私立古賀裕人文学祭:募集要項


開会の言葉

 
 ご来場の皆様方、本日は光り輝くカメムシのようにお集りいただき誠にありがとうございます。実行委員長の古賀裕人でございます、ありがとうございます、どうぞ飲食自由でお過ごしくださいね!外は暑いですから!!!わたくしたちが子どもの頃よりずっとね!!!!!

 それで本題ですが、皆さまには「座右の銘」、ございますでしょうか。

 座右の銘、というとひと昔前の流行物のように思われるかもしれませんが、あると便利という意味におきましては、ポケットトイレみたいなもんで、とりあえずひとつあれば大丈夫です。

 わたくしはといえば、「三つ子の魂百まで」という言葉が異常に好きで、実は十代の頃から自らの第一座右の銘にはこの言葉を掲げて都市を、街を、闊歩してきた次第です。

 ドキドキと胸高鳴らせた大学受験の二次試験で訳も分からず踊っている最中にも、愛する女性と一枚の紙を記入して文京シビックセンターに持って行った帰りにKグリルでハンバーグを食ったあの夜にも、人生を左右するデカい仕事をやり切ったあとで社長と大喧嘩して長野駅の裏のバス停で泣きながら煙草に火をつけたその瞬間にだって、私の胸にはいつでも「三つ子の魂百まで」がありました。

 思い返してみれば、子どもの頃からわたくしのハートはオールオアナッシング、0か100かの男でございました。

 母が美味そうな栗蒸羊羹を食べていれば、当然わたくしも食べたくなり、父がスプライトを飲んでいれば、必然わたくしも飲みたくなりました。

 そんなとき、ある程度の知能を備えた赤子であれば、「それひと口ちょ〜だい!」と、そんな風に声をかけることでしょう、というか、そんな場面をこの目で瞳で何度も見て参りました。

 しかし、人生は生きるか死ぬか、デッドオアアライブが信条のわたくしには、口が裂けてもそんなセリフ、言えやしません。

 「それ全部ちょ〜うだい!」

 それがわたくしという男です。

 ひと口なら要らない、もらったらもっと欲しくなるから。

 であれば、であれば全て寄越さんかいがわたくしの生きる道、マイカントリーロードであります。

 わたくしの実家、清新南ハイツは西葛西駅から徒歩15分。

 蛙の子は蛙。鷹を産むのは鷹なのです。

 「それ全部ちょ〜うだい!」と、本当は言いたいのにも関わらず、その聡明さから全てを飲み込み、噛み締めた奥歯から血を流し、見開いた両目から血涙を零しながら、「そ、それ、ひと口だけくださいぃぃ…」と縋るわたくしに対して、「ひと口あげるの嫌だから全部良いよ」と返すのがわたくしの親、主に、母でした。

 それがなんか妙に嬉しくて。

 その言い回しがなんだか妙に気持ち良くて。

 その甲斐もあってか、わたくしは子どもながらに、友達から「ひと口ちょ〜だい」と言われると、あげたくねえ、ひと口だってやりたくねえと両耳から血を噴き出させながら、「ひと口あげるの嫌だから全部良いよ」と返すのが変な癖になっていきました。

 本当は全部自分で食いてえ、ひと口だって他人にあげたくねえ…

 でも、ひと口あげたらもう自分で「全部を」食うことはできないのだから、全部あげちゃって構わないのであります。

 ワンフォーオール。

 ロックンロールイズデッド。

 そんな珍妙な価値観を備えた青年であるところの20代のわたくしは、強請るたびにオートミールクッキーを全てくれた母に、ファンタグレープを全てくれた父に、ある種の、感謝の念に似た何かを抱くようになりました。

 それは自分で日銭を稼ぐようになり、社会の厳しさに触れた折、自然と湧いてきた気持ちであったように思います。

 形而下、自分ひとりでだって生き抜くことは大変です。

 その上、わたくしを、弟を、妹を育てながら、本当は全部食いたかったはずの紫芋チップスを、本当は全部飲みたかったはずのミニ瓶ペリエを、ゴネるわたくしに全て譲り渡した両親は偉大だと、ありがとうと、サンキューなと、それが二十代のわたくしの、素直な性根でありました。

 ラブイズオーヴァー。

 でも実際には違ったのです。

 全てわたくしの勘違いでした。

 自分に子ができ、暮らしてみれば、全てについて根底から捉え違っていたことに気づくのです。

 お菓子もジュースも何だってかにだって、子どもの目の前で親が飲み食いしているのは、「子どもに取られても全然構わない分だけ」であって、“本当の”《自分用の》【全部食うやつ】は、戸棚の高い所か、冷蔵庫の一番上か、冷凍庫の一番奥に隠されているのです。(「全部食うやつ」の所は、「もっとエグいやつ」に変えても可。)

 シンプルイズザベスト。

 自分が親の立場になってみれば、何もかもが当たり前の世界。

 大の大人が平日の昼間に栗蒸羊羹をたったのひと切れだけ所持しているはずもなし、大人の身体ではふた口で飲み終わるようなミニ缶ジュースを自分用にわざわざ買う必要もなし、全てはこの小さな瞳に切り抜かれたジュニア画角の内側で起きた出来事だったのです。

 それを知るに至り、わたくしはいま、娘に「それひと口ちょ〜だい」と言われれば、それがアイスクリームであろうがカルピスソーダであろうが、若い頃の玉木宏のような平然とした顔つきで「ひと口あげるの嫌だから全部良いよ」とスマートに、軽やかに生前贈与をしてやれるのです。

 娘はかわいい。いや、きゃわいい。しかし、きゃわいいからこそ、娘が年を重ねるに従い、わたくしの父がそうしたように、わたくしも徐々に口数を減らし、なるたけ干渉を控え、せめて小遣いだけは、やや多めに渡してやるとしましょう。

 父も母も、もう定年間近。

 いつまでも、どうかお元気で。

 というかむしろ、あと30年、好きなことやって生きてください。

 あなたたちの子であるところのわたくしは、あの頃の子どもの心のまんまに、今日も人生というやつをやっております。

 ありがとう。

「ちんちん触った手で目を擦るんじゃないよ!」

 そんな母の声が、いまでもずっと、心に残っています。

 以上を開会の言葉に代えさせて頂きまして、#古賀コン5 、スタートでございます。


👏🏻👏🏻👏🏻👏🏻👏🏻 <ワーッ !


本文学祭のコンセプト

私立古賀裕人文学祭は「時給1万円の文学祭」をコンセプトに掲げております🐸

「1時間で書き上げた文章、優勝したら1万円」

テーマに沿って1時間で書いて出す!
それだけです。

これまでに優勝された皆さまの感想ですが、「え!やった~!」が最多となっております。

ラフにフランクに、どうぞ気軽にご参加ください☺︎


応募方法

作品のご応募はTwitter(X)にDMいただくかメールでもお受付しています。

応募作品をご自身のnoteやブログ、あるいはTwitter(X)などに投稿して頂いて、そのURLを私まで提出下さい。
作品のどこかに「#古賀コン」「#古賀コン5」をつけてもらえたら嬉しいです!(もちろんつけなくても審査には影響しないのでご安心を☺︎)

提出先はTwitter(X)のDMか下記メールアドレス好きな方をお選び下さい。
※Twitter(X)は相互フォローじゃないとDM送れないのでぜひフォローして下さい~☺︎

応募時に教えて頂きたい情報

① 筆者名(ふりがなも!)
② 作品のタイトル(タイトル大事です!)
③ 作品のURL

応募先 1:Twitter(X)

https://twitter.com/koga_hiroto_13

応募先 2:メールアドレス

kogabungaku@gmail.com

※メールかDMでの参加表明をもって「エントリー完了」となります。お気をつけください。


優勝作品の選定と各賞概要

ご応募頂いた作品は古賀が責任もって拝読し、優勝作品および各種優秀賞を選定致します。

前回の結果発表記事はこんな感じ↓

「最優秀古賀賞」とは
・最優秀作品に与えられる賞で、今回の優勝作品です。
・嘘偽りなく真っ直ぐに私の胸を打った作品に授与します。
・魂が震える作品、お待ちしております。
☆賞品:アマギフ1万円分

「裕人賞」とは
・優秀作品に与えられる賞です。
・私の文学的琴線に触れた作品の中から、
・特に言葉や文章の魅力を重視して選出します。
☆賞品:何かわたしっぽい粗品

🐸賞」とは
・優秀作品に与えられる賞です。
・私の文学的琴線に触れた作品の中から、
・特に構成や着眼点の面白さを重視して選出します。
☆賞品:何か🐸っぽい粗品

「🌺賞」とは
・優秀作品に与えられる賞です。
・観覧者による人気投票で最多得票であった作品に授与します。
・最優秀古賀賞/裕人賞/🐸賞とのダブル受賞も有り得ます。
☆賞品:何か🌺っぽい粗品


本文学祭に関する注意点

※本件は古賀裕人による私設文学祭であり、最優秀古賀賞を受賞されてもキャリアに箔はつきません。
※審査は古賀裕人単独で実施いたします。
※それでも良いよと面白がってくださる方のみご応募頂けましたら嬉しいです。
※エントリー頂く作品数に制限はありませんが、持ち時間は1人1時間です。1時間以内に複数ご執筆頂いた場合には、全てまとめてご提出ください。ただし作品数自体は選考に影響しません。
※提出頂いた作品の著作権は100%著者にあります。が、もしこの企画が長続きして、作品集作ろうよってなったらその時はまた相談させて下さい!


応募いただける素敵な作品

ジャンルは不問です。
小説、エッセイ、短歌、官能なんでも大丈夫。
NG項目はありません。
セリフ有なら漫画も可。

ただし募集期間内に1時間で書き上げた新作に限ります。(字数制限なし)
また後述する課題テーマが作品に盛り込まれていることが条件です。
テーマは開催回によって変わるので、毎度チェックよろしくお願い致しますね。

また規定の「1時間」をどう捉えるか、テーマをどう扱うかなどは、全て執筆者の方の自己判断にお任せ致します。自分が1時間だと思ったらそれが1時間なのだ!

※「持ち時間」が1人1時間です。1時間以内に複数の作品をご執筆頂いた場合には全てまとめてご提出ください。


応募いただける素敵なあなた

年齢性別国籍問わず、どなたでもご参加頂けます。
ただし、過去に支払いを受けた原稿料を時給換算した時にその時給が1万円を超えたことがある方は参加ご遠慮下さい。


募集期間

2024年5月30日(木)21時 
  ~ 同年6月3日(月)21時 迄

※募集期間は毎回あえて短めに設定しますのでご注意下さいませ!

◎それ以降のスケジュール
・6月3日(月)21時頃〜6月7日(金)12時迄:人気投票受付期間
・6月3日(月)21時頃~6月7日(金)12時迄:古賀コン5寝過ごし杯
・6月7日(金)19時頃:結果発表
・6月12日(水)21時〜:古賀コン5後夜祭@Xスペース


第5回私立古賀裕人文学祭テーマ

今回のテーマは、、、

「第一座右の銘」


とします。
このテーマをどう解釈するかはあなたの自由です。
好きなもの全部詰め込んだ作品、ぜひ読ませてください。

ご応募お待ちしておりまーーーす!(/・ω・)/


ご観覧の皆さまへアンケート投票のお願い

今回も人気投票、実施させてください。
「ええな〜これ!」と思ったものにご投票を頂けましたら幸いでございます。
ご協力のほど、なにとぞよろしくお願いいたします。
もちろん全ての作品をご覧になる必要はありません。
気になって覗いたものの中から、「あなたの一番」を教えてください。

以上

主催者プロフィール

古賀 裕人(こがひろと)
博士(芸術学)、演出家、ビジネスコンサルタント

成績表に「授業中、一度も前を向きませんでしたね」と書かれていたのが懐かしいくらいにはすっかり元気がない男。
専門は演技論、社会心理学、対人コミュニケーション、食べ歩き。
娘のためなら365連勤。
「魔術師クノンは見えている」が面白すぎる。
まだずっと面白い。
このままずっと面白いのかもしれない。

ぴゅん!

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