「いつも通り」

スーパーで売っているコーヒー豆の中でお気に入りがある。

青いパッケージの「ちょっと贅沢な珈琲屋さん」みたいな名前の粉になったコーヒーだ。深煎りの間違いない安心する味。時間が無い時、めんどくさい時はこの挽いてある粉でぱぱっとドリップする。ありがたい。

「値段の割においしいよ」。これを教えてくれた元同僚の先輩の女性の事をこのコーヒーを見ると一緒に思い出したりしていた。元気かなぁ、いい笑顔の優しい人だったなぁ。

先日、久しぶりに以前住んでいた街のバイト先のカフェに顔を出した。

その女性はもう勤めておらず、それでも空間には「いつも通り」のゆったりとした温かい空気が充満していた。でもちょっと違う感じもあって。

そんなカフェをぼんやり眺めていると、エプロンをキュッと腰に巻いた、華奢なあの人の姿がチラチラ思い出されて。

ランチについてきたお楽しみだった熱いコーヒー。前はもっとスッキリしていた印象があったが、苦い、渋い味に感じられた。ずっと飲みたかったこのお店のコーヒーなのに何か違う感じがした。時は流れていくなぁ。先輩は元気かな。

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