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人とロボットの共生社会をめざす「RobiCo™」ブランディング支援

こんにちは、KOELの豊田です。KOELのデザイン事例として、自動走行ロボットの管制プラットフォーム「RobiCo™︎(ロビコ)」のブランディングデザイン支援事例をご紹介します。

RobiCoは、2023年10月12-13日に行われた、ドコモグループの法人向けソリューションビジネスを一堂に介して紹介するイベント「docomo Business Forum ’23」の中で発表され、大きな注目を集めました。今回は、サービスローンチに向けて開発チームと協力しながら進めたブランディングデザインのプロセスをご紹介します。


人とロボットの共生社会を創る、RobiCoの挑戦

少子高齢化や労働人口の減少に対応した街づくりの解決手段の一つとして、屋外での「自動走行ロボット」に期待が寄せられています。特に昨今では、配送業・小売業・警備業・施設管理業など、労働集約型の業界を中心に、人手不足が課題となっていますが、規制緩和(※)により、今後、屋外での業務の担い手として「自動走行ロボット」の活用検討が加速していくことが想定されます。
※2023年4月1日に施行された改正道路交通法により、公道での自動走行ロボット(遠隔操作型小型車)の利用が可能となりました。

しかしながら、業務へのロボットの導入には、導入企業が対応しなければならない事項が多く存在しています。特に、現時点の法規では、自動走行ロボットの運用には必ず人の目による遠隔監視・管理が必須とされており、どうしても導入障壁が高くなってしまいます。RobiCoは、運用体制の構築・運行計画の作成・遠隔監視など、ロボット導入に関わる多岐にわたる業務を、一手に担うサービスです。

ブランディングデザインプロセス

今回のブランディングプロセスは、以下のようなステップで進めました。

1. RobiCoチームメンバーへのヒアリング
2. ヒアリング内容をもとにしたサービスのビジョン作成
3. ブランド表現の核となるロゴデザイン
4. サービスの強みやユースケースの明確化
5. ロゴを軸とした、ブランドコミュニケーションデザイン

RobiCoのブランディングプロセス

ロボット市場は、まだまだ始まったばかりの大きく進化しつつある領域です。日々、様々な変化が起こっているからこそ、このRobiCoというサービスの目指す将来のビジョンを明確化し、それを軸にサービスのブレない推進力の軸となるブランドアイデンティティを作ることが重要でした。

サービス内容の分かりやすい整理に加え、ロボットが活躍する未来社会のビジョンを探求することから、このプロジェクトはスタートしました。

ヒアリングからビジョン策定へ

開発チームメンバーへのヒアリングやワークショップを通して、RobiCoのコアな提供価値や、「RobiCoがあることで、これからの社会はどう変わっていくのか?どのような変革を目指すのか?」といった、サービスの根幹を形作るコンセプトを探っていきました。議論を重ねる中でサービスの目指したい未来像が見えてきました。

  • 安心・信頼のロボット運行を提供することで、社会のロボットへの心理的不安を軽減させていく

  • ロボットの社会進出・ロボットの活躍の場を増やしていく

  • ロボットを活用したビジネスの共創。ロボットの新しい市場を創っていく

開発チームメンバーが考えるサービスの目指したい未来像

これらの要素を一言で表す重要なキーワードとして、「共生」という言葉が議論の中で何度も出てくるようになりました。そして最終的に導かれた言葉が、「最先端の技術を融合させることで、人とロボットが共生する社会をあたりまえのものに」という今回のサービスのビジョンとなりました。安心・安全のロボットの運用の先に、人とロボットとの新しい関係や文化を作っていきたいという想いが込められています。

ビジョンを視覚化する、ロゴのデザイン

描き出したサービスのビジョンを手がかりに、そこから連想されうるキーワードをさらに発掘、そしてそれらの言葉をひとつずつビジュアルモチーフに変換させていき、再構築していくことで、RobiCoの目指すビジョンを感じさせるロゴの造形を探っていきました。

色や形、文字の印象など、これまでに議論してきたサービスのビジョンに何度も立ち返りながら、丁寧に、かつ柔軟に言葉をビジュアルへと変換していきます。

様々な検討を経て、最終的に採用されたのがこのロゴデザインです。

RobiCo™ ロゴデザイン

人(丸)とロボット(四角)が有機的につながり合い、新しい未来に向けて共に歩んでいくという意志を込めた、未来を感じさせるビジュアル表現になっています。

サービスの強みやユースケースの明確化

サービスのローンチに向けて、ロゴの世界観を基点として、さまざまなコミュニケーションアイテムに展開していくのですが、その際に、サービスの強みやユースケースなど、実際のサービスの内容を伝えるコンテンツやメッセージングの整理も進めていきました。

特にユースケースの明確化については、ワークショップを行い、すでに決定している事業計画や実証実験のプラン、協業している企業様との様々なプロジェクトをベースに、先述したビジョンへとつながる将来的なユースケースなどに輪郭を与えていきました。

ブランドコミュニケーションの展開

RobiCoキービジュアル
RobiCoリーフレット

docomo Business Forumでのサービスローンチに向けて、会場で配布するチラシのデザインやスタッフのユニフォームなど、様々なコミュニケーションアイテムの作成もKOELが担当しました。RobiCoの統一した世界観を形作っていくキーカラーやイラストレーションなど、ブランド表現に柔軟性を与えつつも、一貫した印象を与えられるよう、それぞれのアセットのデザインを設計していきました。

RobiCoのためにデザインしたイラストレーション

例えばイラストレーションについては、ロボットがどのような業務を担うのかを空間的に説明する必要もあったことから、3次元的なアイソメトリック表現のイラストを採用し、サービスの概念を表現したキービジュアルなどに展開しています。

また、今回のブランドコミュニケーションにおいては、サービスが発表されるdocomo Business Forumでのインパクトやプレゼンスを最大化するために、イベント内のブースデザインも行っています。ブースで伝えたい情報を、お客様にとって理解しやすく、見やすい順番で体験設計し、空間の中にグラフィックを展開していきます。また、ロボットの遠隔運用デモを行うためのオペレータやモニター類など必要な要素のみにフォーカスし、余計なノイズや機器類は可能な限り見えなくなるように、シンプルにブース内の什器を設計、レイアウトし直しました。

RobiCoチームとしては、こういったブースで多くの来場者に対してデモやプレゼンテーションを行うのは初めてだったため、実際の空間の中でどのように展示物を配置すべきか、また、最適なオペレーションが可能な空間の広さは確保できているのかなど、平面の図面だけではなかなかイメージしにくいところもありました。そこで、今回の支援では、3D CAD上で空間を立体でビジュアライズすることで、誰にとっても具体的なイメージが持ちやすくなり、スムースに議論を進めることができました。

セミパブリック領域にデザインで挑む

RobiCoチームでは、人とロボットの共生社会を目指し、ロボットの社会実装がスムースに行えるよう、様々なサービスを提供していく予定です。

KOELは「愛される社会インフラをデザインする」をビジョンに掲げ、日本が抱える様々な課題に対してデザイン支援を行っています。特に、NTTコミュニケーションズがソリューションを提供している領域は、行政が主体となるパブリックな領域と、企業が事業化できるビジネス領域の中間である「セミパブリック」な領域であることも多く、それゆえに、来るべき未来の社会の姿を、具体的に想像し、デザインしていけるという面白さがあります。

NTTコミュニケーションズのデザインスタジオKOELは民間のビジネスと公共の間にある「セミパブリック」の領域をデザインの力で支援しています

KOELでは、今回の支援事例のように、未来の豊かな社会の一助となる魅力的なサービス開発に携わり、デザインしていける仲間を随時募集しています。もし興味をお持ちいただけましたら、ぜひKOEL公式サイトからご連絡いただければと思います。


KOELでは12/11(月) 18:00よりオンラインにて「セミパブリックのグッドデザイン〜公共とビジネスのあいだの社会課題を解決するデザイン〜」を開催します。事前登録により無料で視聴できるイベントですのでぜひご参加ください。


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