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愛される社会インフラを創造する——KOELこれまでの3年間、そして次の3年に向けて

こんにちは、KOELの金です。
NTTコミュニケーションズのデザインスタジオKOELは2020年に産声を上げました。今年2022年度で3年目となります。これまでKOELでは様々なプロダクトや事業に携わり、また、イベントや本公式noteなどで情報発信も行ってきました。そうした中、ありがたいことに多くの方々からKOELの活動に対して反響をいただくようになりました。

一方で「KOELって何をやっているの?」という疑問の声をまだまだ頂くこともあります。確かに本公式noteでも最近は事例やイベントの報告が続いていますし、当初のKOELが設立された経緯やデザインへの姿勢をご説明する機会も以前に比べ少し減っているかもしれません。そこで年末には少し早いですが、KOEL立ち上げに関わった一人として今回はKOELのこれまでの3年と、これからの3年についてまとめてお話をしたいと思います。

KOEL創設からこれまでの3年

KOELはNTTコミュニケーションズの社内デザインに関するCoE(センター・オブ・エクセレンス)を担う組織として2020年に設立されました。これまでの3年間、インハウスデザイン組織として様々なプロダクトや事業のデザイン支援に携わってきました。
例えばオンラインワークスペース NeWork では、ゼロからのコンセプト作りから始まり、デザインに限らずプロダクトマネジメントの領域まで幅広くプロダクトづくりに関わっています。

また、「子どもたちの学びを支援し、教職員の選択肢を豊かにする」まなびポケットでは、プロダクトにとどまらず、学校へのICT導入の工夫やコツを集めた虎の巻の製作を通して、サービスを提供するだけでなく、「使われる」までをサポートする取り組みにも関わっています。

まだnoteではご紹介していませんが、臨床試験の評価精度向上を実現するデータ収集サービス「Smart PRO」 の体験設計やUI設計を通して、医療現場のコミュニケーションを変えるチャレンジを行っています。またNTTコミュニケーションズと様々な業界の日本を代表するようなプレーヤーの方々との事業共創の活動 OPEN HUB の立ち上げも行いました。OPEN HUBでは事業共創のプログラムの設計に携わり、現在も幾つかの共創プロジェクトも進行中です。

他にもプロダクトや事業と並行して、社内にデザイナーの仲間を増やしていく活動も行ってきました。NTTコミュニケーションズ内のKOEL以外の組織にもデザインの輪が広がっています。

また、KOEL自身の変化に目を移せば、立ち上げから3年間でメンバーの数も約3倍に増加しました!様々な領域のプロフェッショナルな方々にジョインしていただき、組織としても大きく成長することができました。

この3年間はみなさんからまだまだ新しい組織として、新鮮な目線で見守ってもらえていた側面もあったと思います。
これからの3年では、これまでより大きな支援・大きな成果を届けるために、さらに多くの社内外の方々にKOELの存在意義をご理解いただきたい、と考えました。
デザインの力を感じる良い事例が出てきている今だからこそ、次の3年に向けスタートに向けて、インハウスデザイン組織としての KOEL の目指す姿や価値など大きな方針を今回は改めて皆さんに知っていただく機会になればと思います。

愛される社会インフラの実現に向けて

KOELが実現したいものは「愛される社会インフラ」です。
現在、民間・公共・領域問わず、さまざまなサービスがデジタルに置き換わりはじめています。一方でデジタルに対する苦手意識や、情報の取り扱いに関する不安なども依然として存在します。さまざまな人たちが、それらの苦手や不安を感じずにデジタルサービスを使いこなす状況はどのような世界として訪れるのでしょうか?
これは言うなれば、デジタルという言葉が融けた世界、と考えられます。

今はデジタルという言葉が「何かを解決する言葉」として特別な意味を持ちすぎているように感じます。 しかし本来利用者にとって「デジタルであるかどうかを意識すること」は重要ではありません。デジタルサービスに苦手意識を感じることなく、自然に使える世界では、デジタルという言葉は自然と一体化して融けている状態となり、デジタルサービスは意識されず人の生活を支えるものになっているはずです。そして「意識されない」その先に「愛される」状態が存在するのではないでしょうか。

利用者は、デジタルに対する苦手意識や情報の取り扱いに関する不安など感じずに使える。
結果的に、利用者からも「愛されるほどの強さ」で、生活の一部として利用されること。
その結果として、サービス提供が維持されビジネスとしての成功もサポートされること。

この状態を「愛される社会インフラ」と考え、このような支援をKOELがデザインを通じて実現していきたい、と考えています。
NTTコミュニケーションズは、電話に始まり、インターネットを支える世界規模のネットワークを提供し続け、社会を支えるインフラと呼べるサービスを展開してきました。社会インフラにより、様々なコミュニケーションを創造してきたNTTコミュニケーションズやNTTだからこそ、デジタルの時代に愛される社会インフラを作り上げる使命があるのではないでしょうか。

”使わせる”ではなく”使われる” をデザインする

デジタルが融けた世界、愛される社会インフラを作り出すために、KOELは、デジタルのシステムを "使わせる" のではなく、利用者に、自らの意思で選択され、 "使われる" ものをデザインします。

電気、ガス、水道に対して、使いにくい、とは思いませんよね。蛇口をひねれば水が出るように、世の中に普及している社会インフラは、老若男女問わずどんな人でも自然と使われるもの。
「使えない」「使いにくい」「使いたくない」と思われることはない物だからこそ普及している。にもかかわらず社会では、サービスに対し使われる理由を強引に足すことで、利用者に「使わせる」ケースが散見されます。もちろんビジネス的な要請からそのような強引さが必要な状況もあるでしょうが、まず第一にやるべきことは「使われる」サービスを提供することでしょう。

私たちKOELは今後さらに拡大普及していく数多くのデジタルプラットフォームにおいても、これまで世にあった社会インフラ同様に、当たり前に「使われる」ものをデザインしていくことが使命、だと考えています。

KOELがインハウスデザイン組織として生み出す価値

社会インフラを構築することは、デザイン組織のKOELだけでできる話ではなく、エンジニアやマーケターなど自社内のアセットは勿論、組織の枠、企業の枠を越えたコラボレーションが必要となります。
そのなかで”使われる”デザインを実現するために、KOELが提供する価値を4つ定義しました。

1: 納得感のある課題を発見する

あらかじめ設定された題目や目に見える問題ではなく、丁寧に問いを立て、真の課題を発見し、真に達成すべき目的を設計すること。
例えば、事業組織が提供者目線の課題にのみ注目している時、リサーチを通して発見した利用者目線での本質的な課題を問い直し、関係者の皆が納得感を持てる取り組みに仕立てていくこと、です。事業の本質的な課題を見直すだけでなく、ユーザーの代弁者となること、とも言えますね。

2: ”現実的だけど一歩先の未来”へ進める

実現できない "絵に描いた餅" でもなく、わかりきった実現可能範囲に閉じこもることでもない、現実の一歩先の「地に足のついたアイデアの飛躍」を提案すること。事業アイディアだけでなく、先進的なUIなども対象になりますね。

3: ユーザーの意志を形にできる

早急の問題解決のための穴埋めをするデザインではなく、ユーザーが自らの意思で利用する "使われる" デザインを提案すること。リサーチを通じて課題を発見するだけでなく、本当にユーザーに使われるためのUX、UI、ビジネスモデルなど、具体的に形にしていくことも重要です。

4: 事業成長への貢献を実感できる

"作って終わり" ではなく、持続的なデザインの実践を行うために、組織を自律的に成長させ、デザインを定着させる組織構築を行うこと。
インハウスデザイン組織のKOELはプロジェクトでの成果を出すだけでなく、事業組織にデザインの活動領域を作り、デザイナーとなる仲間を育成し、業務として定着していくことも目指します。そのため、社員や組織にとってのあるべき姿を見出しながら、組織としてデザインの力を活用できる状態を目指していきます。

これらの価値にはユーザーに対する目線だけでなく、「いかに社内にデザインの力を埋め込むか」「エンドユーザーに対する価値を主題に、社内組織に対する価値をいかにバランスさせるか」という視点も含まれています。そこがインハウスデザイン組織だからこそ責任を持つポイントだと考えています。

KOELメンバーが持つ力

ここまでお話を実現するためには多くのデザイナーの知見や経験が必要です。KOELでは幸運なことに、海外のデザインファームで活躍された田中友美子さん、日本の大企業インハウスデザイン組織で活躍されてきた高見逸平さん、ブランドコンサルで様々な企業やプロダクトのブランディングを支援されてきた福岡陽さん、制作会社で数々の企業のサイトを構築されてきた荒砂智之さんなどなど、これまでのNTTらしくない多様なバックグラウンドを持つメンバーに数多くジョインしていただくことができました。

ReDesigner Magazineでは外部からジョインしたKOELメンバーのインタビューが掲載されています。

これから次の3年、KOELの皆で一丸となって、これまで常識を越える「愛される社会インフラ」の創造へ加速していきたいと思いますので、引き続き、皆さん、よろしくお願いいたします!


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