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ブランドの中心にあるものをカタチにする—— クラウド録画カメラサービス「coomonita」のブランドブックができるまで

KOEL福岡です。昨年末KOELはNTTコミュニケーションズが提供するクラウド録画カメラサービス「coomonita (コーモニタ)」のブランドブックを制作しました。サービスのビジョンや提供価値など、このサービスに関わるすべての人にお伝えしたいブランドの核の部分をまとめた冊子になっています。

今回はcoomonitaを運営するプラットフォームサービス本部 アプリケーションサービス部の谷川智美さん手塚巴菜さんにお話を伺いながら、KOELのデザイン事例の詳細や、ブランドブックが事業にどのような貢献をするのか皆さんにお伝えできればと思います。coomonitaブランドブックを制作したKOEL小田中さんを交え、福岡がインタビューさせていただきました。

※ 本インタビューは新型コロナウィルスへの適切な感染対策を講じた上で2021年12月上旬に実施されました

安全だけど、安心がない社会に「つながるともっと安心」を

——本日はよろしくお願いいたします!まずはじめに、クラウド録画カメラサービス「coomonita」というサービスが生まれたきっかけはなんだったんでしょうか?

谷川:
私たちの所属はいわゆる「サービス企画」なんですが、あるとき部署全体で社会課題を解決するための新規事業を立ち上げることになりました。そこでは各チームでアイデア出し、リーンキャンバスを作成して、プレゼンを行い、それが良ければ予算をつけて事業化するという流れです。それが2019年ごろで、ちょうど「PaN」というカメラシェアリングサービスのクローズを視野に入れているタイミングでした。そこでカメラを使った新しい方向性として「地域のコミュニティの安全性を高める」ことを考えました。

——この方向に固まったきっかけは何だったんでしょうか?

谷川:
日本は “安全だけど、安心がない” 社会だなと思っていて。最近だと地域のコミュニケーションはどんどん希薄になっていますよね。実際に町内会の方にユーザーインタビューを行ったんですが、例えば高級住宅街は町内会が強くて町を維持する役割を果たしていたりする。でも今後は高齢化に伴ってだんだん強い町内会が消滅していくだろうことが調査で見えてきました。なら今後は地域コミュニケーションが担保されている町の価値が上がっていくはずだと。

そもそも監視カメラってその撮影内容も含めて、基本的に設置した人だけの所有物ですよね。でもその映像を他の人が一時的に見たり、共有したりできたら——そんな “カメラをシェアする” という概念を思いついたんです。「つながるともっと安心」というシェアカメラのコンセプトを固めました。

当時はカメラを個人の方に提供するB2Cモデルを想定していたのですが、現実にはまだ距離があるなと。なのでまずパートナー企業のお客様とビジネスを築いてある程度軌道に乗った後で、B2B2X(NTTコミュニケーションズとパートナー企業によって新たな価値創造を目指すモデル)で進められるお客様を探そうという話になりました。そして2020年9月にcoomonitaをサービスリリースしました。

——「つながるともっと安心」というコンセプトがcoomonitaになっていったんですね。

谷川:
coomonitaという名称も「一緒に」という意味の接頭辞coと、「モニタリング(monitoring)」からできています。C向けにも今後は提供したいということもあって、固い名前よりもかわいらしい、柔らかい名前に落ち着きました。

——サービス名称を考えるのはなかなか難しいですよね。決定までに紆余曲折があったりしたんでしょうか?

谷川:
うちのチームはディスカッションやアイデア出しも活発で。実はこの名称を出してくれたのもパートナー社員の方でした。最終的にみんなでそれいいね!と言って決まりました。そんなフラットなチームですね。

「一目でわかる」ことに価値がある

——coomonitaというサービスを作るにあたって重視したいポイントはどこら辺にあったんでしょうか?

手塚:
このサービスに関わる前は私にとっての監視カメラは「冷たいもの」「身近じゃないもの」という存在でした。なのでcoomonitaは安心を見守る、つなげる。遠くにいる人、現場にいる人を繋ぐことを大切にしているところが他のクラウドカメラとの相違点だと考えています。さらに他のNTTコミュニケーションズ内のサービスとも連携しながら、みなさんのニーズに近づけるようにサービスを日々成長させていきたいです。

谷川:
もう100点満点の答えですね(笑)

——ここまではcoomonitaの成り立ちやコンセプトについて伺ってきましたが、具体的な利用例についても伺いたいです。

谷川:
わかりやすい例ですと、メットライフドーム(西武ドーム)の導入事例があります。球場内にcoomonitaが複数設置されていて、埼玉西武ライオンズのアプリでcoomonitaカメラのリアルタイム映像を配信しているので、会場にいる観客の方が通路や売店の様子や混雑状況を目で見て判断できるようになっています。コロナ禍で混雑を回避する行動を観客に促すというのが目的なのですが、これもDXの一つですよね。

実は当初の依頼は「混雑状況を可視化したい」というものでした。人数カウントやヒートマップで表現するという方法もあったんですが、それよりカメラでその状況をひと目見るのが一番早いじゃないですか。coomonitaはYouTube Liveに連携する機能もあったので、ローコストですぐ導入できるんです。実際にすごい短納期で提供できました。

手塚:
一番多いのは工場での導入です。例えばこれまで製造ラインを人の目で見ていたものを、カメラを通じて遠隔で確認できるようになります。昨今はコロナ禍でどの業界もその場に赴かないで現地の様子を確認したいというニーズが増えているのでcoomonitaの導入が多いですね。

谷川:
みなさんDXが至近の課題と捉えている方もたくさんいらっしゃると思うんですが、DXを考えるにも5ステップくらい段階があって。まず現状を可視化して、課題を見つけて、そこから課題の本質にアプローチする必要がありますよね。そこで最初の課題発見に映像を使う考え方があると思うんです。データだけだとアナリストの方が必要ですが、映像で見れば「このプロセスにボトルネックがあるね」と課題が一目で直感的に発見できる。実際に「coomonitaで新しい課題が見つかった」というお客さんがすごく多いんです。

ブランドの中心にあるものを目に見えるカタチにする

——そんなcoomonitaのプロジェクトにKOELがジョインすることになったきっかけは何だったんでしょうか?

谷川:
私はずっとKOELの活動に注目していました。最初は社内でKOELが主催するデザインリサーチの勉強会に参加することがあって、自分もやってみたくなりました。それまでサービス企画は基本的には “私たちが考えてお客さんにぶつける” ものでしたが、リサーチに基づく提案ができる手法があるんだと知って感動したんですね。

それでまず社内のデザイン研修にユーザーインタビューを勉強する第一期生として参加しました。今のチームで実施しているユーザーインタビューもそこで学んだ結果です。「自由にサービスを作っていいよ!」というのが弊社の良い文化ではありますが、やり方も君たちが考えてね、という側面もあるわけで。なので効率的なやり方を知れたのはとても大きかったです。

——そしてKOELがブランドブックを作ることになったきっかけは何だったんでしょうか?

小田中:
ブランドブックはKOEL側からの提案です。まずcoomonitaのロゴ制作の依頼があって私がデザインしたんですが、じゃあそのロゴをどう運用していくかという視点が必要じゃないですか。ならブランドブックがいちばんストレートな解決方法だろうと。

——ブランドブックの話を聞いた時の率直な感想はどうでしたか?

手塚:
実はちょうどcoomonitaのPR施策を検討しているタイミングだったんです。チーム内でもここまで一緒にやってきたKOELさんと一緒に作れるのはいいね!という話をした記憶がありますね。

——大変嬉しい言葉をいただきました!そしてここから実際にブランドブックの制作が始まるわけですが。

小田中:
ブランドブックを作る前に、まずワークショップでcoomonitaのパーパス(ブランドが存在する社会的意義)を基点にしたビジョン・ミッション・バリューを策定しました。まずは「coomonitaの中心はここだよね」という確認が必要だったんです。

手塚:
ワークショップでは「ビジョンがブランドをまとめるものだ」という話がありましたが、私自身がcoomonitaチームに入って数ヶ月というタイミングできれいな言葉をまとめることができるのか不安でした。でもワークショップでは私が出したフワッとした言葉を、議論の中で一緒に整理していただけてとても進めやすかったです。改めて「こういうサービスなんだ」と考え直すいいきっかけになりました。

——ワークショップでは「そもそもブランドとは何か」というレクチャーから始まり、パーパスの役割や事業への影響などをご説明しながら、皆さんの考えをまとめるワークを実施しました。

谷川:
特に初期から参加しているメンバーには言語化されていない共通認識があったんですけど、途中から入ったメンバーはそれをキャッチアップすることが難しい部分もあって。ブランドブックがあることで後から参加したメンバーも共感して動けるのはとてもいいですよね。

——そしてまとめられた言葉をブランドブックの形にしていく段階に入ります。

小田中:
はい、目指しているものを言語化して、ビジュアルでも示す作業です。「何ができるか」はcoomonitaの紹介資料などで既に言語化されていたんですが「想い」の部分はうまく形になっていなかったんじゃないでしょうか。「どういう幸せを提供するのか」「どう社会に貢献できるのか」が明らかになることがブランディングとして価値になると感じました。

——機能説明も大事ですがそれだけでは伝わらないことがあるんですよね。

小田中:
谷川さんや手塚さんの熱い想いや、チームメンバー一人ひとりの想いが この本を通じて一つになるというのがブランディングにおいて大事なんです。

谷川:
確かにNTTコミュニケーションズのプロダクトでは「どういう思いで作ったのか」をリリースのタイミングで説明しているものはなかなかなかったんじゃないでしょうか。今回の事例をきっかけに社内でも変化が起こってくれると嬉しいですね。

——せっかく想いがあるのに、それが説明されないだけで「ないと思われてしまう」のは勿体無いですね

谷川:
サービスって開発して売っていくだけでなく色々な部署が関わるんですね。例えば保守に関わる業務であったり。そういう方たちにも「なんでこのサービスが存在するのか」を伝えていないことによって生じるハレーションもあると思っていて。だからブランドブックが「なんで」を伝えるツールになることも期待しています

小田中:
「なんで」は外だけでなく中にも浸透させる価値があるものですよね。

手塚:
私がジョインしたときには説明資料しかなかったですが、今後はブランドブックがサービスの柱になってくれますよね。私が入ったときにあればよかったのにと思います(笑)

当たり前を捉え直し、本質を言語化する

——せっかく実物があるのでめくりながらお話ししましょうか。

谷川:
私が好きなのは最初のページなんですよね。誰に向けてっていうところが言えているし、優しい呼びかけができていますよね。私たちがお客さんをこういうふうに見ていますというのが最初に投げかけられているのがいいなと思いました。

手塚:
円のビジュアルが共通テーマになっていますが、KOELさんがcoomonitaが繋ぐことを大事にしていることをビジュアル化していただけたなと。ブルーで洗練されたイメージの中でも円が優しいcoomonitaを表現していただけています。

小田中:
みなさんの想いを浮き上がらせて形にすることがKOELの仕事だと思っています。

谷川:
ぜひこういう形でNTTコミュニケーションズの他のサービスに対しても光を当てていただけると嬉しいですね。特に古いサービスは「当たり前」になっていることを問い直すいい機会になると思います。NTTコミュニケーションズは電話から積み上げられた文化が強いので、つい無意識に受け入れてしまう面がありますが、それを言語化することで本質的な強さを見つけ出すことができると思います。

小田中:
KOELとしてはcoomonitaの皆さんと作れる機会が得られたのが嬉しかったですし、何より楽しかったですよね。

——今後はこのブランドブックの内容をどういう方にお伝えしていきたいでしょうか?

手塚:
既存のお客様であったり、導入を考えていらっしゃる方、営業などcoomonitaに関わるすべての方に共感していただくきっかけにしていきたいです。サービスが何を目指しているのか、日々の業務の慌ただしさで忘れがちですが、この本を手に取ってもらうことで改めて「私たちが頑張ってやろうとしている意義」を思い出していただく機会にしていただけると嬉しいですね。

谷川:
ビジネスパートナーの方にもぜひ見ていただきたいです。一緒にビジネスをする方にお伝えすることが大事だなと。

手塚:
今後はデジタルマーケティングも強化していきたいので、さらに目にしていただく機会が増えていくと思います。

——最後に今後の展望についてお聞かせください

手塚:
今後はB2B2Xに力を入れていきます。ブランドの発信と共にcoomonitaならではのできることを広げていきたいです。

小田中:
ブランドブックができたことでようやくスタート地点に立てたんじゃないかと思います。ここからどういう方法でみなさんにお伝えしていくのか考えるフェーズになりますね。

谷川:
coomonitaのコンセプトをどうお伝えするかはこれからの課題なので、引き続きKOELさんと一緒に進めていけると嬉しいです。

——これからcoomonitaならではのエピソードが増えていくと思いますし、それをお伝えする機会がこれから生まれると素晴らしいですね。 

谷川:
サービスってストーリーがあるものだと思うので、それを見える化していきたいです。さっそく直近の課題である導入事例のコンテンツづくりについてもKOELに相談に乗ってもらいたいと思っています(笑)

——本日は皆さんありがとうございました!


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