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改めて、専門家として知的障害について考えてみたー第1話

この記事は2,392文字あります。個人差はありますが、4分〜6分でお読みいただけます。

今日はnoteの連続更新110日目です。

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今日は「知的能力障害」をテーマにしています。
どうぞお付き合いください。


知的障害のイメージって?

昨日はとある撮影があって、そこでは「知的障害」や「発達障害」について話をしたんですね。

これらは、講演会やセミナーなどでは説明するようにしているし(テーマによりますが)、自分が初診を担当している時なんかもそうです。

でも、それ以外では、どのくらい自分はお会いしている方々に説明できているだろうか、そして皆さんはどれくらいそうしたことを聞く機会があるだろうかと、ふと疑問に思ったわけです。


例えば、知的障害。

多くの方は見聞きしたことのある言葉でも、それがどういうことなのかをしっかり理解できているかはまた別で、「なんとなく、勉強とかが難しそう?」みたいなイメージの人もいるかもしれないし、実際にそう言われたこともあります。

なんとなく…?

厚生労働省のe-ヘルスネットというページにはこんか記載があります。

知的障害は精神遅滞とも表される、知的発達の障害です。最新の「精神疾患の診断・統計マニュアル 第5版(DSM-5)」では、「知的能力障害(知的発達症)」とも表記されています。知的機能や適応機能に基づいて判断され、重症度により軽度、中等度、重度、最重度に分類されます。様々な中枢神経系疾患が原因となるため、正しい診断を受けて、早期に治療・療育・教育を行う必要があります。本人のみならず、家族への支援も欠かせない発達障害のひとつです。

厚生労働省 e-ヘルスネットより


わかるような、わからないような…

そんな印象の方もいるんじゃないかなと思うのですが、どうでしょう。

ちなみに、このテーマを誤解なく!正確に!伝えようと思うと、何日かかるんだろう…という感じなので少しずつまとめていこうと思ってます。

まぁ、そもそも何をもって知的機能とするのかは難しいので、臨床家の判断と個別の知能検査によって判断をすることになっています(これもまた、難しい言葉ですね💦)。

この知能検査というのは、「このパズルを解けたらIQ140!!」みたいなものでもなく、集団で実施されるような簡易的なものでもなく、知能検査として認められている検査です。日本だと、「田中ビネー」とか「ウェクスラー式」などが使われるのですが、それらの実施が難しい場合には別の発達検査で発達指数というのを出します(専門用語だし、覚えなくていいので!)。

この検査によって、知能指数(IQ)70以下の場合に「知的能力障害」となり,
IQの数値によって軽度、中度、重度、最重度と4つに分類されます。

要はどういうこと?

「結局、知的能力障害があると、どんな困り事があるの?」
「勉強はできないってこと?」
「IQが低いってこと?」

色々な疑問があり、さらに、話を難しくしていることが。
診断基準の変化です。

…診断基準って変わるの?

実は、診断基準というのは変わっていきます。基準だけじゃなくて名前も変わるし、団体によってそもそも名称さえ違います。

今日のテーマである「知的能力障害」も、色々な名前を使われてきた経緯があって、医学的には「精神遅滞」という言葉が長く使われていたんですね。

そして、代表的なものに世界保健機関の「国際疾病分類」(ICD)、米国精神医学会の 「精神疾患の診断・統計マニュアル」(DSM)、米国知的・発達障害協会(AAIDD)というのがあるんですが(名前は、別に覚えなくていいので!)、それぞれでも使われる言葉が違うんです。

ちなみに、それぞれの最新版はDSM-5、ICD-11、AAIDDの第12版となっていて、こんな表記になっています。

統一して!

そんな声が聞こえてきそうですが…。

ただ、細かい説明は省くとして(結構大事なんですが、長くなるので別の機会に!)、ここで大事なのは、どの基準でも明確にしているのが「IQを重視しすぎじゃない?」ということなんですね。実際の支援ニーズや適応行動(ざっくりした説明になりますが、文化にもよるけれども、社会生活を自立して過ごすための力みたいなイメージです)も含めましょうよ、そんな考え方です。

それはわかったけど、これは海外のでしょ?日本はどうなってるの?

実は明確な定義はありません

…え?どういうこと?

そんな風に思われるかもしれません。でも、明確な定義はないんです。そのため、基本的にはIQがかなり重視されています。

なので、知的障害の診断には、どんなに支援ニーズが高くてもIQが基準になります。療育手帳というのがあるのですが(これは自治体によっても名称が違って、他にも愛の手帳とか、緑の手帳とか)、知的障害の方は療育手帳が取れますよ、それに伴ってサービスが受けられますというものです。これもIQが基準です。

でも、IQというのは色々な側面があるのですが、全体的なIQだけが基準になるんです。つまり、ある領域はめちゃめちゃ苦手なのに、ある領域はめちゃめちゃ得意なので、トータルで見るとIQは70より上なので診断もつかないし、療育手帳も取れませんよ、ということになるんですね。

そして、これも地域によって一律じゃなくて。

神奈川県だと自閉症スペクトラムの診断があれば、IQ91までは療育手帳が取れたりします。

さて、ここまで知的能力障害について書いてきましたが、かなり不十分ではありますが、長くなりそうなので、続きはまた今度。

補足はVoicyの配信をお聴き頂ければと思いますので、宜しければVoicyの方も応援していただければと思います!

佐々木康栄

災害時に役立つさまざまな情報

被災地で、発達障害児・者に対応されるみなさんへ(国立障害者リハビリテーションセンター)

防災・支援ハンドブック(日本自閉症協会)


災害時、発達障害の子どもの支援についての医療関係者へのお願い(内山登紀夫先生)


災害時の発達障害児・者支援エッセンス


#障害者を消さない(ヘラルボニー)


寄付型セミナー(TEACCHプログラム研究会東北支部)

代表を務めているTEACCHプログラム研究会東北支部で、「寄付型セミナー」を立ち上げています。ぼくの衝動的な行動であることは自覚しています。それでも、今ぼくらにできることを考え、過去に配信したオンラインセミナーを再度配信させていただき、その売上(配信や販売に関わる手数料を差し引いた全額)を能登半島地震の支援・復興に向けた寄付することに決めました。宜しければ応援してもらえると嬉しいです。


#能登の障害者に届け

能登の障害者の方々に直接支援が届くように、一般社団法人障害攻略課さん
、NPO法人石川バリアフリーツアーセンターさん、一般社団法人Smart Supply Visionさんが「#能登の障害者に届け」というプロジェクトを立ち上げてくださっています。

この短期間でこれだけの状況を整えることは、どれだけ大変だったのだろうかと思います(きっとかなり睡眠時間や休みの時間を削って急ピッチで取り組んでくださったのだと思います)。本当に感謝です。    

一緒に応援しませんか?


その他お知らせ

オンラインサロン「みんなで考える発達障害支援」


クラウドファンディング

▼9月に大阪にて講演会をさせて頂いた「一般社団法人泉大津・発達支援勉強会Lien」さんが、「大阪府泉大津市、及び、泉州地域である近隣市町村一帯が、発達障がいや多様な子どもたちにとってより過ごしやすい地域に」を目指して、クラウドファンディングをされています。特に、4月2日の世界自閉症啓発デーでは、世界中がブルーライトアップされます。これは色々な人に目を向けてもらうための活動でもある一方で、それだけ予算がかかります。

そのため、どの地域でもできるわけではありません。今回、泉大津市内のブルーライトアップをしたい!という想いを叶えるためのクラウドファンディングです。目標金額は220万円です。ちなみに、これは行政と一緒に取り組んでいるものなので、「ふるさと納税」として寄付ができます。

ぼくも応援メッセージを出させて頂いています。どうか皆さんも応援していただけないでしょうか。

皆さんの応援が力になり、その力が地域を進める行動になり、その行動が当事者やご家族の未来になります。

一緒に地域の未来を変えるお手伝いをしてくれませんか?


セミナー情報

▼TEACCHプログラム研究会 第16回実践研究大会 in 東北・東京・熊本・鹿児島 「共に学び 成長する 熱い冬」

ぼくは仙台会場にいって、一丁前にコメンテーターというのをさせて頂きます!翌日にはTEACCHプログラム研究会東北支部主催でイベント「自閉症支援の未来会議 in 仙台」も開催しますので、2月10日(土)、11日(日)はご予定の確保をお願いします!



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