五来

たまに読書はするものの、これといった趣味はなし。 いまだ天命を知らぬまま、定年はもう、…

五来

たまに読書はするものの、これといった趣味はなし。 いまだ天命を知らぬまま、定年はもう、すぐそこに。 何を残せるか、何かを残せるか? どうなのわたし。

最近の記事

【雑想】神社とお寺と

 神社に参拝した。卑俗な自分は、つい「お願い」をしてしまうのだが、なぜ神社なのか。  救いを求めるのではなく、畏怖の対象、人の微かな力では決して敵わない大いなる自然の前で、自身も自然の一部であることを感じ、素直になれるからかも知れない。  一方で仏教の場合は、人間が正しく生きるための考え方を、文字や言葉、あるいは曼荼羅などて理解させようとしているように思う。  以前NLPの先生に、人は、視覚、聴覚、感覚の、いずれかを優先させていると教えて頂いた。  感じる宗教、見たり聞いたり

    • 【ショートショート】悪意の化学者

      「できたそうだな」  その研究所にふたりのスーツ姿の男が来たのは、春先の、平日の午後であった。中年の男の濁った声が響いた。  男の前には、小柄で、ぼさぼさの白髪頭の男が椅子に掛けている。 「うむ」  白髪の男は、黒い実験台に置かれていた銀色のパウチを無造作に取り上げた。パウチにはラベルが貼られており、何枚かの紙が輪ゴムで止められていた。 「これが、証拠の残らない毒だ。構造式と説明書とデータシートはこの紙だ」  言った後で、白髪の男は、マスクを取って鼻をかんだ。 「いいだろう。

      • 【思考】ロジカル思考のこと

        論理的思考についてはいろいろな書籍もありますが、ちょっとビジネス的なことを。体験としまして。 中堅社員のころだったと思う。他部署のオヤジにすごく厳しく指導されたことがあった。 ビジネススキルとかそういうのには一切興味がなかったが、このままでは勝てないと思って、若者向けの、読みやすい雑誌を読み始めた。 そこで目にしたのは、「Whyツリー」「Howツリー」。 それまで学習したのはいわゆるQC7つ道具ぐらいで、それも使いこなせていなかったのだが、Whyツリーは単純明快で、わかりや

        • 【ショートショート】重要人物

           その男は、誰が見てもどう見ても、「出来上がって」いた。  飲み始めてから3時間。上機嫌な顔が近づいてくる。夜なのでひげがざりざりしている。鼻毛も一本、ちらりと見えた。 「だからな」  と言って横を向いて小さくげっぷをする。この辺りは曲がりなりにも社会人として身に沁みついた習性なのだろう。 「俺が初当選したときは、そりゃあ大変な時代でなあ」  またか。何回目だ。だが聞かないわけにはいかない。 「それにしても最近は例の政策が」  話が変わる。ちょっとは中身のある話になるのか。

        【雑想】神社とお寺と

          【雑想】メタバースで思い出したこと

          少し前から、メタバースという言葉を聞くようになった。 仮想空間で人との交流ができるというものらしい。 その手のゲームには手を出せていないのであるが、仮想空間で、アバターでの交流でもろもろ想像した。 これが発展しすぎると、人は外出する必要ががなくなる? (買い物は宅配がしてくれるし) で、思い出したのは「鋼鉄都市」。 すごいよアイザックアシモフ様! (余談であるが初めて「鋼鉄都市」を読んだとき、「ロボット刑事K」を思い出した。そういう世代) 通信の発展が行きつくところはそこなの

          【雑想】メタバースで思い出したこと

          【ショートショート】獣の家

           そういえば、不動産屋のおじさん、何か言いたそうにしていたな。  リビングでお昼寝中の、生後6ヶ月の娘を見つめたまま、マチコはカウンターキッチンでで立ちすくんだ。  いるはずのない、白い何かが、すうっと視界の端をかすめたのだ。  昨夜も、そう、耳元で確かに犬のうなり声を聞いた。くずった娘を寝かしつけた直後だったので、夫のイビキと一緒に舌打ちで流したのだが、多少寝不足でも、覚醒している今は、恐怖が勝っていた。  秋の夕日がリビングに差し込みはじめた。カーテンを引かないと、と思っ

          【ショートショート】獣の家

          用心棒日月抄

          本のこと。 チャンバラが好きだった。 銭形平次、遠山の金さん、大江戸捜査網、桃太郎侍、座頭市、江戸の鷹、雪姫隠密道中記、水戸黄門、必殺シリーズ・・。 そして大人になって読んだ時代劇のお気に入りのひとつが、 この「用心棒日月抄」。 藤沢周平先生の名作。出会えてよかった。 主人公は地方から江戸に来た脱藩浪人。金がない。追っ手との闘争もある。それでも暗い悲壮感がないのは、随所に描かれている主人公の人柄に依るところが大きい。 懐具合や米の心配をしたり、散らかった部屋を見て反省した

          用心棒日月抄

          最初の投稿

          最初の投稿をさせていただくのです。 子供のころから読書をしていた。 おそらく本を読むのが好きだったと思うが、ほかに娯楽がなかったというのも大きい。 基本的に自分はずっと文系だと思っていたが、なんとなく理系、しかも、どういうわけか、中学で苦手だった化学の方向に進んでしまった。 そして結局今に至る。 文系だったのか、理系だったのか、いまだによくわからないが、活字は好きなのだろう。 でも新聞はあまり読まない。電気屋が好き。 と言いながら、時間つぶしはやっぱり本屋さん。 そんなワタシ

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