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リスクヘッジも大事だけど、物語の力で再生力もあることを忘れない。


どうしても書き留めておきたかった

昨日の16:10頃、石川県で大きな地震がありました。
災害に遭われた方へ、心からご冥福をお祈りいたします。

我が家は、船酔いのような感覚を感じましたが家族は無事。
幸いにも普通の生活に戻れました。
このような突然の自然災害に、私たちはなすすべがありません。

ただ、地震が起こると思い出すいくつかのストーリーがあるのです。
私はこれらを思い出し、大変な現実が起こった時に、自分の行動を選ぶための指針にします。
もしかしたら、
3つの話が誰かの気づきになるかもしれないので書いておきます。

再生につながる3つの話
①自然災害と資本主義
②高橋歩さんの体験談
③村山由佳さんの体験談

3つの話

①自然災害と資本主義


2011年3月に起きた東日本大震災。
あの時、私は保育現場にいました。
子どもたちを一か所にあつめ、
テレビで情報をとると福島の原子力発電所の映像が流れていました。
それから毎日テレビでは、ACのCMばかりが流れていて、
登園してくる子どもたちもそのセリフばっかり口にしていました。
被災地は津波でひどいことになっています。
でも、こちらは平穏な生活。すごくギャップを感じます。
テレビの映像と現実の穏やかさ。

何かしたいけど、遠いから何もできない。寄付金をおくるぐらい?
そんな時、一緒にクラスを担任していた先生が
「私、ボランティア制度を使って現地にいこうかな?」とつぶやきました。東北に知り合いがいるそうで、助けにいきたい!と正義感があふれています。でも、現地のボランティアの状況とか、今のクラスの体制の事とかいろいろあって、実際にはいけませんでした。ただ、その気合はすごかったです。保育業界でも募金集めが始まり、向こうから避難してきた親子を受け入れる体制をとったりしていました。

そんな中、私ができることは?……やっぱりお金かな。
そう言えば、以前預けた外貨預金ってどうなっているんだろう?
そう思って預金を見ると、2万ほど上がっていました。
その数字をみて、私はモヤモヤしたのです。
あれ?
地震で困っている人が大勢いるのに、なんで何もしていない私にお金が増えるんだろう?なぜか、気持ち悪くなってその2万をすべて寄付に回しました。
未熟だった私は、知らなかったのです。
大きな出来事は利用されて、経済が回っていることを。

詳しい話は、こういう本に書いてあります。

あれから、私も勉強して世の中が少しだけわかってきました。
これは資本主義の社会のルールだから、知っておいた方がいい事なのです。
でも、不安感が強く、現実を知りたくない人は、読まない方がいいです。

ただ、私は知りたかった。
そっか、こういう世界もあるんだ。
今は、もう気持ち悪くはありません。
不安な気持ちだけに呑み込まれることはありません。知ったので。
私たちは、大きな流れの中にいるだけで、行動の選択肢は選べます。
むしろ、利用する事だって可能です。

②高橋歩さんの話

3.11.の時に、とあるNPOが災害ボランティアをしていました。
災害支援PDF

NPO法人 On The Road
そこのリーダーが高橋歩さんです。
たまたま高橋さんの当時の体験談を聞かせて頂いたことがあります。
高橋さんは、地震が起きた時、家族で海外にいたそうです。
でも日本からの知らせを聞いて、妻や子どもたちは海外の安全な場所にいてもらって、ご自分は日本に帰ってきました。
そこで、チームをまとめて災害ボランティアを始めたそうです。

高橋さんは、津波の被害にあった家を1件1件回って泥かきを手伝いました。
どうにもならないと思っていた高齢者たちから、すごく感謝をされたそうです。やっぱりまずは肉体労働。
でも、何日も何日も続けていくとボランティアたちの事を軽く見る人や、タバコを吸っているだけで動かない人もいるという現実を目の当たりにしたそうです。ボランティアたちにも不満がたまってきます。
そんな中、高橋さんはどうしたか?

まず、ボランティアたちが気持ちよく活動できる村を作りました
ボランティアって大変なイメージがありますが、被災地から少し車で走ったら、被害の少ないキャンプ場があったので、そこを貸し切りお風呂も入れる、夜はお酒を飲みながらボランティア活動報告をしつつ語り合って元気をチャージできるというボランティアビレッジを立ち上げたのです。
次に、被災地の方々の態度にも共感を示しつつ(やっぱり安全な場を奪われたショックから立ち直るのは大変で、しかも自立していない方たちにわかってもらうのは難しいので)、人と人として付き合い一緒に復旧活動に巻き込むような言葉がけをしていったそうです。具体的な指示を出して、楽しい雰囲気で労働を一緒に取り組む。側溝の泥だしから、廃材集め、写真を集めてきれいにしたり目の前の人ができそうなことをいろいろと。

高橋さんは、ボランティアをしているときに思ったそうです。
全体が分からないのが一番大変だって。
リーダーとして、全体を把握してどこに人を送るといいのか?どこが困っているのか?今いるメンバーで何ができるのか?今何が足りないのか?
その都度試行錯誤と修正の繰り返しだったようです。

この話を聞いて、正直すごい。真似できない……と思ってしまいました。
ただ、こういう人たちの所へ、お金を回したほうが絶対よくなるっていう事はわかりました。
あの時、私が寄付したお金がどう使われたのかは正直分かりません。
今ふりかえると、ちゃんと調べればよかったって思います。
私は、何もできないって思っていたけど、こういうNPOをあらかじめ知っていて、ここなら任せられる!っていう所をきちんと選んで寄付することだって貢献になるんだってわかりました。
お金の使い道を正しく見ていくこと。
これができたら、子どもたちにもちゃんと胸をはって親でいられる気がします(笑)お金は、上手に使ってくれる人のとこへ集まるそうです。

③村山由佳さんの天使の卵

村山由佳さんは、作家さんで「天使の卵」という本がデビュー作。
私も好きな本なのですが、この本にまつわるストーリーです。

東日本大震災の津波で家を流され、慌てて逃げて避難所を訪れたAさん。
貴重品などはもっていなかったけれど、なぜか近くにあった本をぎゅっと握りしめて外を出たそうです。
気づいたら手の中には、水にぬれた1冊の文庫本。
それが、「天使の卵」でした。
この本は、ハッピーエンドではありません。
でも、その切ない物語が今の状況のAさんにそっと寄り添いました。
Aさんは避難所の片隅で何度も何度も読んだそうです。
テレビの津波の情報も見たくも聞きたくもなくて、小説の世界に逃げ込みました。この本が避難所でのAさんの心をずっと支えてくれたそうです。

ある時、作家の村山由佳さんの新刊がでることになりサイン会が本屋で開かれました。新刊本にサインを続けていく中で、「すみません、これにも書きにくいとは思いますが、サインを頂けませんか?」と言われ差し出されたのが、水にぬれて形の歪んだ「天使の卵」の本。
村山さんは、Aさんからその天使の卵にまつわるエピソードを聴き、初めてサイン会で号泣したそうです。

この話を知った時、私も目がうるうるしてしまいました。
1冊の物語が、どれだけ心の支えになるかを知っているから。


現実をみたくない時って誰にでもある
ものです。
そんな時、小説でも、アニメでも、映画でも、ゲームでも、曲でもいい。
なんでもいい。
現実から離れたちょっとした物語や違う世界の中に自分を逃がすことで、心が救われることもあるんですよね。
そこで休憩して、心を落ち着かせる。
そして、新たな1歩を踏み出していきます。
あらためて、物語の力ってすごい!って思いました。

そういえば、私が保育短大に通っている時、
1959年の伊勢湾台風の被害があった当時に東京から保育士として支援に来てくれた河本ふじ江先生ご本人からお話をききました。
建物が何もない中で、子どもたちを集めて青空の下でお話を読んでいたと。

雨にも風にも負けない、心もからだもじょうぶな子ども、レンガのように強い子どもに、と願って。
日本はずっと天災と向き合ってきています。

おわりに

日本に住んでいると、自然災害とは隣り合わせです。
だからこそ、みんな力強く再生していっています。
きっと思い返せば、それぞれのこうした物語が沢山存在するのでしょう。
その物語が紡がれて次の人の支えになっていく

次に大変な現実が起こった時、
私はお金をきちんと信頼できる所へ寄付するのか?
直接ボランティアに関わるのか?
自分の周りを再生するのか?
それとも情報を発信するのか?
正直わかりません。
ただ、その時自分ができる事をやるための準備はしておきたいです。
たとえ、明日命がなくなったとしても後悔しないように。
私は、やれるだけのことはやったと言えるように。
自分の頭で考えます。

とにかく、今は頭にあることを書いてこうやって残します。
自分のために。
誰かのために。













災害ボランティア




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