文豪ストレイドッグスの言葉、そしてミステリ。
大のミステリ好きであり、小説や文豪が大好きな私にとり、「文豪ストレイドッグス」はずっと気にはなりつつも、なかなか手を出せないでいた。
文豪の名を持ち、探偵社やマフィアに所属するキャラクターたちが、作品名をもとにした「異能力」を使ってバトルアクションをする・・・。
一体なんだそれは?
中島敦が主人公の探偵社員??
芥川龍之介がマフィア構成員!?
それに自殺マニアの変人・太宰治・・・。
そんな不安大半に軽い気持ちでアニメを見てみたら、これがまたどっぷりハマってしまった。あっという間に第3シーズンまで見終わってしまい、久々に元の文豪の作品を読みたくなって関連書籍含め大量購入してしまい、さらに気になって原作漫画を既刊分一気読みしてしまった・・・。そして今や、まだアニメ化されていない原作漫画の怒涛の展開に、興奮冷めやらぬ状態である。
「文豪ストレイドッグス」
実在の文豪をモデルにしたキャラクターたちが数多く登場するのだが、その誰もが非常に魅力的だ。
皆「ストレイドッグス」の如く、自分の持つ能力を悩みながらも精一杯使って、足掻き、もがいて、生きている。
文豪をキャラクター化している要素もあるのかもしれないが、このアクション満載のファンタジーの中に登場する言葉は、深く、そして力強い。
「小説を書く事は、人間を書く事だ」とあるキャラクターが言ったように、ならば「小説を読む事は、人間を読む事だ」とこの作品を読みながら思った。
言葉を最大の武器に、人間を書いてきた文豪たちの名を持つキャラクターの言葉だからこそ、一層心に沁みる。
「昔、私は、自分のした事に就いて後悔したことはなかった。
しなかった事に就いてのみ、何時も後悔を感じていた。」
「頭は間違うことがあっても、血は間違わない」(中島敦 単行本7巻より)
そして、ミステリ好きにとっても非常に楽しめる。
江戸川乱歩と、彼のペンネームの由来になったエドガー・アラン・ポーの関係に思わずニヤリとするのもそうだが、漫画本編では超人的な頭脳を持つ太宰治と、同等の頭脳を持つドストエフスキーとの頭脳戦が見逃せない。
さらには、「館」シリーズ始め日本の本格ミステリの第一人者・綾辻行人、日本でホラー小説を語る上で欠かせない京極夏彦、そして二人の大ファンである直木賞作家の辻村深月という、現代の人気ミステリ作家までキャラクター化されているのだ。もちろん本人公認で。この3人が活躍する外伝小説もかなり読み応えがあった。
ところで、原作漫画14巻を、私は特に気に入っている。
江戸川乱歩、エドガー・アラン・ポー、そして小栗虫太郎が活躍する巻だ。
事件の真相に、思わず震えた。
「究極の推理小説」とは・・・。
その14巻で、ミステリファンであれば誰もがその名を知るとあるキャラクターは、次のように語る。
「この懐の深さが推理小説の魅力の一つだ」(単行本14巻より)
全面賛成である。
「究極の推理小説」とは何なのかについては、読んでみてのお楽しみということで。
最後に文豪ストレイドッグスで大好きな言葉を一つ。
「愚かにも自分の決定を世界自体とする事が、人間に許された最大の贅沢なのだから」(単行本14巻より)
最新の22巻ももうすぐ発刊だ。
今まで漫画で、新巻の発売を楽しみに待つことは、私はこれが初めてだ。
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