砂糖と酒と時々みりん #2
前回は「砂糖」について、今回は中継ぎの「お酒」について。
中継ぎとは言ったものの、ショートスターターもできるのがお酒です。
そんな、加藤貴之投手のようなお酒の話。
「日本酒」と「料理酒」
ここでいう「お酒」は「日本酒」をメインに話を進めます。
僕が普段家庭で使う日本酒は、「料理用」とは書いていない紙パックの2リットル、800円前後の醸造用アルコールが入っていないものです。
「料理酒」は驚くほどに塩が入っていたりするため、職場でも家でも買ったことがありません(使ったことはあります)。
家庭料理のお酒
僕が家庭料理で求めているのは「旨過ぎない」お酒。味、香りが目立たない名脇役的な日本酒です。
高級店においては食材のレベルが高いため、また一口目で「プロの味」を思わせる必要があるため、これには当てはまらないですが…。
家庭ではふわっとした気持ちで、「食べ疲れない料理」を作りたい、食べたいため、旨味成分の量などをウリにしたものは好みません。
何より、「飲めるお酒」を使うことがおすすめです。飲んで美味しくないお酒を料理に使っても、美味しくなる確率は低いように思います。
お酒の効果
砂糖と共通しているのは、食材を柔らかくする効果がある点です(多量に使った際に冷めた時に関しては話が変わってきますが…)。
日本酒にしても、ワインにしても、適量の使用は料理に深みをもたらしたり、食材の臭み消し、優しく旨味を補填してくれる役割なども果たします。
和食に限らずですが、特に魚介貝類などの下処理にもとっても重宝します。また、焼き鳥屋さんによっては、お酒を霧吹きで吹きかけながら焼くお店もあります。
お酒の香りで素材のマイナスの香りを抑え込み、加熱した際にはアルコール分の揮発と共に臭みも揮発させてくれます。それと適度な水分をもたらすことで、ふっくらと仕上げる意味合いも兼ね備えています。
砂糖にも旨みはありますが、ミネラル分としての旨みが主です。お酒の旨味は、コハク酸やアミノ酸などの有機酸で、お酒の旨味の方がよりわかりやすいです。
お酒の魅力と注意点
冒頭で述べた通り、「旨過ぎない」というのがお酒の1番の魅力。
炒め物の合わせダレにおいては、揮発性が高いため仕上がりが早まる、程よい旨味と甘みで調味料同士、また食材との良い繋ぎになるという利点があります。
炒め物に限った話ではないですが、この魅力においては砂糖、みりん、水のどれにも当てはまることがないため、お酒は唯一無二の存在と言えるでしょう。
お酒はとっても使い勝手が良い万能選手なのです。
使う際の注意点は、高価であることと、「アルコール臭い!」と思わせないこと。
この2つはみりんでも当てはまりますが、特に甘みをつけるためだけに使おうとするならば、お酒は1番適していないようにも思います。
「アルコール臭い!」と思わせないコツは使う量とタイミング。
吸収性の良い食材の場合、芯の方まで浸透してしまうと、加熱しても、アルコール分が揮発する前に火が入ってしまうことがあります。
お酒を振りかけて臭みを抜く場合は、その処理をしてから、時間を置き過ぎないこと(ガッツリ火を入れる料理は別ですが)。
煮物で大量にお酒を入れる場合は強火で早めにアルコール分を飛ばしたり、水や出汁が沸いているところに投入する、などの工夫で解決できると思います。
高度なお酒の使い方
最後に少し高度な手法?
わざとアルコールを残す方法の紹介です。
栗の渋皮煮やカスタードクリーム、甘辛い炒め物や煮物において、仕上がりにアルコール(ここではラムやマール、ウイスキーなどのハードリカーもアリ)を少量加えることで、料理に「キレ」をもたらすことができます。
甘みの観点からは少しずれますが、アルコールが苦手でない方は是非試してみてください!
(アルコールが苦手な方は、お酢でも近い感覚を体験できると思います!)
次回は、試合を締める大事な抑え、みりんについて…
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