この時期、マスク姿で接客するスタッフが気をつけておきたいこと
衛生的な話ではない。
私はいま、人生ではじめて「マスクをしながら接客する」という貴重な体験をしている。
初めこそ、コンプレックスが隠れてラッキー!とか、化粧品代やメイクする時間が節約できていいじゃん!と思っていたのだけど、始めてすぐにそのデメリットに気づいた。
ーーマスクはコミュニケーションを阻害しかねない。
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出入りする業者さんやお客さまなど、周囲のマスクをしている人たちと喋っていて思った。
「この人はいま、怒ってるんだろうか。笑ってるんだろうか。常温モードなんだろうか」
そう。マスクをしていると、目の周辺からの情報しか入ってこないので、感情が読み取りづらいのだ。
たとえば、大きく見開いてこちらを見る目。怒りとも、好意とも捉えることができる。口元がへの字に曲がっていたり、口角が上がっていたりすればまたちがうのだけど、そんな情報はマスクをしている状態では入ってこない。
だから少し話をするだけでは、怒っているのか笑っているのかを判断しかねることがあって、そのたびにどっちだろうとドキドキしてしまう。
もちろん、声のトーンなんかであるていど「少なくとも怒ってるのではないな」とわかるときもある。
ただそれも、よほどはっきりと感情表現してくれないかぎり、確信はもてない。
我が身をふりかえり、ヤバイ、と思った。
私はあるときから「ムリして笑うのはもうやめよう」と心に誓った。だからさいきんは真顔や地声でお客さまに対峙することも多く、それがひとつの、リアルな人付き合いだと思っている。
そんなわけだから、マスクで顔の半分を覆っていると、誤解を受けかねないことは簡単に想像ができた。
お客さまにきちんとお礼や感謝の気持ちを伝えなければいけない接客スタッフとしては、かなり問題だ。
よほど気にしないと、こちらの伝えたい「感謝」や「ありがとう」は、間違った情報として相手に伝わってしまうかもしれないのだ。
それじゃあ、マスクをした状態できちんと気持ちや感情を伝えるにはどうしたらいいのだろうか。
いちばん単純なのは、目元だけで「私いま、笑ってます、嬉しいんです」と表現すること。
単純だけど、目を細めると笑っているように見える。ただ、上まぶたを下げるように細めると、見ようによっては睨んでいるようだったり、わざとらしく見えたりしてしまう。下まぶたを上に持ちあげるように細めるとわりと自然になる。
さらに、頰の高い部分をしっかり上に持ちあげるようにすると、口元もニッコリしているんだな、ということが感覚的にわかる。
これらは実際にマスクを装着して、鏡の前でやってみた。接客業に就いている人は、自分の笑顔がマスクをするとどう見えるのか、いちど試してみてほしい。
あとは声。ただでさえマスクで声が聞こえにくくなっている状態なので、モゴモゴ喋っているとお客さまには何も伝わらない。
だからといって単に声を張るだけでは、怒っているように捕らえられてしまうこともある。
だから、いつもよりちょっとだけオーバーに抑揚をつけたり、トーンをあげたりすると、より相手に感情が伝わり安くなるんじゃないかなぁと思い実践しています。
ほんというと、作り笑顔やムリして笑うような接客は、たとえそれが正しいと言われてももうしたくない(致しかたないときはあるけれど)。
ただ今の時期に限っては、自然な笑顔が笑顔と認識してもらえない可能性がある。いつも通りの接客が、無愛想にとられてしまうことだってあるかもしれない。
マスクをするのはしかたないとはいえ、少しでもありがとうの気持ちを(こんなときだからこそより!)伝えたいし、誤解を受けないようにもしたいと思うのは、好きで接客業を選んだ者として当然のように思う。
そうであれば、普段は自然体な接客でお客さまを和ませている人も、この時期に限っては、別人にならないていどに少々オーバーアピールをしてもいいのかもしれない。
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