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【信州コンシェルジュ体験記③】安曇野/モミガライト「ハーロム アルマ」

こんにちは!工房信州の家です。
この記事は、フォレストコーポレーションが3年前から実施している「信州コンシェルジュ」の体験レポート第3弾。今回は工房信州の家のオーナーさんであり、松本でお米のもみ殻を原料とした燃料「モミガライト」の製造、販売を行っている岡賢昭さんを訪ねました。

信州コンシェルジュって?

信州コンシェルジュとは、
『信州で「信州らしい暮らし」を提案している私たちが、信州のことを誰よりも知っていたい。信州のプロフェッショナル、信州のコンシェルジュになろう。』そんな想いから始まったプログラム。
信州らしいアクティビティを体験しに行ったり、信州に根差し、信州を楽しんでいるプロに会いに行きます。


工房信州の家オーナー・岡賢昭さん

今回「信州コンシェルジュ」の活動にご協力いただいたのは岡賢昭さん。岡さんは工房信州の家に住んで11年目になるオーナーさんです。(2024年現在)

岡賢昭オーナー

経歴

岡賢昭さん。東京都出身。10年間(株)ソニーに勤め、生産管理部門にて事業のセットアップの知識や経験を培う。
信州への移住後、籾殻を原料とした固形燃料「モミガライト」と出会い、「この事業を自分でやってみたい」と強くエネルギーが沸く。会社の分離のタイミングも重なり、2015年今の事業を立ち上げる。
現在はモミガライトの製造、営業や経理、メンテナンスの他、マダガスカルにてモミガライト事業の導入に立ち会った際に出会った完全天然のアロマオイルの販売も請け負う。

モミガライトとは?

お米のもみ殻を原料とした固形燃料。ストーブやピザ窯等で燃料として使われる。固形化に接着剤や固着剤は一切使用していないため、地球にやさしい。また、薪とくらべ、含水率が低く、密度が高いため長時間安定して燃えるのが特徴です。

松本への移住は、前職でフランスやハンガリー赴任の経験がきっかけ。特にハンガリーで出会った豊かな自然が印象的で、転勤で松本を訪れた際に見た風景にどこか近いものを感じたとのことです。「今後東京などへ転勤することがあっても、いつかここに戻ってきたい」と思い、松本市に移住することを決心されました。工房信州の家の木の匂いや温もり、特に県産材を使う家づくりに共感し、工房信州の家のオーナーさんとなってくださいました。

【会社概要】
会社名:ハーロム アルマ
代表:岡 賢昭
事業内容:籾殻を原料とした固形燃料の製造及び販売・アウトドア用鍋の輸入及び販売・知育玩具の輸入及び販売 
公式HP:https://www.harom-alma.com/
↓アロマオイルの販売はこちら(MABIO)
https://out-of-africa.jp/


まずは、事業への想いをお聞きしました。

事業への想い

一番最初の出会いは、家を建てた際に薪ストーブをお願いした業者から「モミガライトって知ってる?」と電話がかかったことだったそう。
「事業として始めたら岡さんは買ってくれる?」
当時は、薪ストーブ販売のサイドビジネスとして検討していた業者に相談されました。そこで籾殻を使った資源の循環のサイクルに感動し、興味を持ったことが起業のきっかけになりました。
籾殻は農業をする上で必ず出るもの。「人間生活の中で切っても切れないものを環境にやさしく、かつ人の生活に密着した新たな資源として世の中にもっと広げたい」というのが、今の岡さんの一番の想いです。

モミガライトの製造現場見学へ

今回の取材では、安曇野に構えた製造場所(長野県安曇野市堀金烏川4162-1
あづみのうか浅川内)に伺い、モミガライトの作成過程を見せていただきました。安曇野の田園風景に囲まれた開放的な場所にありました。

当初は農家さんのもとへ直接伺い、手作業で籾殻を集め、製造機械へと輸送していましたが、その手間が課題でした。しかし、この活動を続けていく中で培った人との繋がりもあり、籾殻が発生する場所に製造所を構えることで、輸送の手間やコストを省く事に成功しました。

まずは、籾殻を機械へ移し、高温で圧縮して一本ずつ作成していきます。蒸気を上げながらできたモミガライトを冷ましつつ、手作業でコンテナに詰めていきます。
岡さん曰く、籾殻は畜産農家で出る量の3割程度しかリサイクルできておらず、7割ほどは産業廃棄物として処理されるとのこと。燃やすことで燻炭にすることもあるものの、不完全燃焼のため、強い匂いや煙が出てしまうことが全国的に問題となっているようです。

安曇野市ではたい肥としての利用のために引き取る事業もあるものの、行っている人の高齢化や施設の老朽化に加え、野焼きでの処理も厳しいために、処理に困る人が多くなっているのが現状です。

現在はコミュニティも段々と広がり、籾殻の処理に困っている農家さんとの繋がりの中で、モミガライトの製造の導入も促しているものの、初期コストの大きさが故に、思うように広がらないことも。多くの籾殻を集める方法や設備コストの削減など、少しでも多くの人に知ってもらうために解決すべき課題も次第に見えてきています。岡さんは今まさに、この問題の解決に向けて走り回っている最中とのことです。

モミガライトの展望

籾殻の循環利用は各方面で注目されており、絶縁体や繊維への応用、活性炭にすることで浄水器のフィルターとして活用するなど、様々な可能性が探られています。また、世界的に見るとベトナムなど米の消費が多いところでは、モミガライトに似た資源の製造や使用が進んでおり、日本に比べてより発展しているそうです。
さらに岡さんは、モミガライトの、圧縮して作るために垂直の力に強いという特徴を生かし、建築物への応用も出来ないかと、期待を膨らませています。

モミガライトでBBQ

見学の後は、モミガライトとBBQ用に加工したモミガライト炭を使ってBBQを楽しみました!
木炭と比べて着火のしやすさに多少の差はあるものの、火持ちも良く、燃やした時の香ばしさも印象的でした。岡さんのこれまでの人生のことや事業へ込めた夢を伺いながら、おいしくいただきました!

インタビューを通して

岡さんは愉快でおおらかなお人柄で、仕事もプライベートのお話しもとにかく楽しそうに語ってくれました。「自分が体験した感動を他の人に知って欲しい、人の生活を助ける価値を作っていきたい」という想いが強く、お話を聞かせていただいた私達も感銘を受けました。

人の生活とともにある課題が未来のエネルギーや新たな資源として活用できるようになる。人の生活を助けるものになっていく。

岡さんの活動と工房信州の家づくりも重なる部分があると感じ、より多くの人に広がっていってほしいと感じる取材でした。
岡さん、貴重なお話をありがとうございました。


信州コンシェルジュ体験記はシリーズ企画。今後も信州に根付き、信州を楽しんでいる方にインタビューを行い、発信していきます!

山田

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