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農福連携に取り組むー作業内容・工賃の決め方 前編ー

前回は農福連携に取り組み始めたきっかけ、どのように作業を依頼するかのお話しでした。
今回は具体的に、障害特性に応じた作業の考え方、工賃の決め方についての
お話しです。

前回の記事↓↓↓

作業内容を検討する

人それぞれ得意不得意があるように
その人が抱えている障害の特性に応じてどういった作業が得意なのか
ベストパフォーマンスで作業に取り組めるにはどうしたらよいのか
予め、施設の担当者と相談しながら考えていくとトラブルも減るのではないかと思います。

まず、自身の日常作業において人手が欲しい作業をリストアップします。
作業を委託する施設と打ち合わせを行い
どういった作業をお願いしたいかをお伝えします。

打ち合わせの際に、きちんと要望をお伝えすることが
後々のトラブルを減らすことにつながると痛感しています。
・どのような作業があるのか(屋内・屋外)
・頻度、時間はどのくらいかかるのか
(一般従事者がかかる時間や週に何回行うなどの目安)
・作業の体にかかる負担具合 5段階などに振り分けると伝わりやすい
(汗をかくほどの重労働、長時間腰を曲げる作業、椅子に座って行う比較的軽度な作業 など)
・正確性は伴うか
(数字を数える、脇芽を判断するなどは高度な技術に入ります。
草を取ると言っても、野菜と見分けるにはある程度の判断力が必要になります。)

依頼例を挙げると・・
「畑1面すべての草を取ってほしい」
 →普段、どのくらいの時間がかかって、どのくらいの頻度で作業をしてい    るか。
 いつまでに終わらせればよいか。
 そこには取ってはいけない野菜や作物が植わっているか。
 どんな道具を使えるか。 など
このようにお伝えすると施設側も作業内容が想像しやすくなります。

施設側では利用者それぞれの個性や得意不得意を理解されているので
どのくらいの人数を揃えて、どんなメンバーで作業をすればよいか検討してくださいます。(施設にもよると思います)


障害特性に応じた配慮

教科書通りに読むと、このような障害を持っている人は
こんな性格でどんなことができて、どんな環境が苦手・・など
知識としては理解することができます。
ただ、大切なのは目の前にいるご本人なので
それに囚われず相手の本質を知っていくことが大事なのではないかと思います。
気を付けなければならないのは、体調管理です。

体調をコントロールするのが苦手な方もいるので
特に重労働な作業や、暑い時期の屋外作業はこまめな休憩を挟むなどして対応する必要があります。
なかなかSOSを発信しにくい場合もあるため、顔色や言動に注意をします。
薬を常用していれば副作用による症状(のどが渇きやすい、ぼーっとしやすいなど)があります。
薬が変わったタイミングは特に体調不良になりやすい場合もあるので要注意です。
プライバシーに関わることなので全てを把握する必要はありませんが
過剰対応しないためにも施設側と連携を取ることができるとより安全でスムーズな業務につながると思います。

また、初めての場所に行くとパニックになってしまう場合もあります。
作業を始めるまでの期間に、見学に来てもらったり作業を見てもらうなど
環境に少しずつ慣れてもらう工夫ができるとより安心して通うことができると思います。


障害特性に応じた作業の考え方

いきなり本番で作業を始めてもらうと
もちろん慣れるまでに時間はかかりますし覚えるのが苦手な方もいます。
その逆で、あっという間に覚えて再現率が高い方もいます。
最初は簡単な作業から始めて、徐々にできることを増やしてもらうとお互いストレスが少なく済みます。

言葉だけでは伝わりにくいこともあるため
イラストに表したり、目で見て分かることを取り入れるとより理解が進みます。
例えば、ナスを15センチで収穫してください。と依頼するときに
15センチという数字が出てくるとパニックになってしまう場合もあるため
割り箸に印をつけて、これより大きいサイズは収穫してくださいとお伝えすると
分かりやすくなります。
多少大雑把になってしまうこともあるので
ある程度の出来栄えでよしとできる作業からお願いするといいかもしれません。

私が依頼する時も
少しずつ色々な作業をしていただいて
この作業は得意でこの作業は苦手なのかと学んでいきます。
苦手そうな作業は外すようにして得意な作業を増やしています。
比較的、毎回同じ作業の方が安心されるようで
前回の作業は覚えてくれているので
積極的に作業を進めてくださいます。
近頃は私が道具を用意し忘れていると、これがありません!
と教えてくださいます笑
今はなくてはならない存在になっているので
今後も継続して来てもらえると助かるなと思っています。

長くなってしまったので
次回、後編で工賃の決め方についてお話しします

つづく