【カイタククエスト】1001のすべらない話~道中楽しみ、いつでも笑みを~
<リアル×SNS×起業>
世界初の物語「カイタククエスト」
<序>
キータは、アホだった。
高校生活はその極みだ。
地元の神戸で、街行く人々に「さーせん」と声をかけ、似合う髪型を聞いて回ったり、
電車内で謎のおっさんにタコ殴りにされたり、
マリオの真似をして廊下でジャンプ、天井のベニヤ板を破壊したり、
迷子の末、線路を走り、電車がきたら逃げたり。
修学旅行では「おもろいから飛び込んでや?」と乗せられ、宮古島の海に、学生服のままDIVEした。そそのかした友人たちは爆笑し、交際していた彼女はドン引きし、教師たちは烈火のごとく怒った。
行動はアホなキータだったが、筆記試験だけは得意だった。
得意というか、ただひたすら机にかじりついて勉強をした。
彼は、根は真面目だったのだ。
ただ、笑いをとるために、体を張ってきただけだった。
*
高校時代の悪行の割には、そこそこの偏差値の大学に入ったキータ。
大学1年の冬、彼は自分の誕生日に、「公務員試験の問題集を買ってくれ」と彼女に頼んだ。
「もっと他にないの?」と聞き返されたキータだが、「公務員になれば人生勝ちや」と言った。
この時から、彼は進路、もとい、針路を決めていた。
大学生活は、そこそこどころかけっこう楽しかった。
ルパン三世の再来といわれるほど華奢な体にも関わらず、人数集めのためにアメフト部にスカウトされたが、「骨折れそうなんで辞めときます」とビビッて断った。
野球部に入部したが、彼はあまり野球をしなかった。
応援歌の作成、YOUTUBEに投稿、試合のポジションは一塁ランナーコーチ。
彼のヤジは、相手ピッチャーに多大なる圧力をかけた。
キータは守備時のヤジも得意だった。
自軍が守備の時、相手チームの一塁ランナーを盗塁させないために「~」と言って、全力を尽くした。
プレイヤーとして戦力になれなかったが、彼は自分の役割に誇りを持った。
20歳の頃、探偵ナイトスクープに15秒だけ出演したこともあった。依頼内容はいずれ明かしたい。
*
大学三年の梅雨頃だろうか。
高校一年の冬から4年半以上付き合った彼女に振られてしまった。
遠距離恋愛をしていたのだが、どうやら彼女は、東京でイケメンを捕まえたらしいのだ。
友人に励まされたキータは、夜の公園で泣きじゃくった。
励ましなのか、嘲笑なのか、友人はこう言った。
「泣くな!神戸のひょろ長いルパンより、東京のイケメンの方がよかっただけや。あたりまえのことがあたりまえに起こっただけやから気にすんな」
「うぁぁあああああーーー…」
そして、キータは狂ってしまった。
警察官から「君、どうしたんだ?」と尋ねられ、
友人が「彼女に振られたんすよ~」と答えると、
「人生は長い!」と肩を叩かれた。
キータは終始、「ひっくひっく」と嗚咽をお漏らししていた。
*
一週間後だろうか、キータの右目に異変が起こった。
野球部でのバッティング練習中、ボールが分身して見えるのだ。
しかしキータは、「コンタクトレンズの不調だ」と、症状を軽視し、放置した。さらに一週間後、コンタクトレンズではない、と気付いた彼は眼科を受診した。
「いやー、よくわかんないっすー」と高飛車なジョイ、もとい、女医に
そう言われたキータは、「町医者じゃアテになんねーぜ!」と、
セカオピ(セカンドオピニオン)を決めた。
訪れたのは神戸市立中央市民病院。診断結果は網膜剥離。
*
合計2週間にも及ぶ入院中は、目の激痛との闘いだった。
目を使えず、ひたすらうつぶせしなければならない。
あまりに暇だったので、落語を聞き始めたりした。
キータのお笑いへの情熱は、落語によってターボがかかる。
その間に、ポルノグラフィティのライブに行く予定だった。
もちろんドクターストップだ。病院から抜け出そうとも思ったが、諦めた。
三年生は野球部の最後の試合もあった。キータは出場することができなかった。
いや、出場もなにも、彼のポジションは一塁ランナーコーチだ。
いてもいなくても変わらない。なんて、寂しいじゃないか。
優しい仲間や後輩たちがキータのユニフォームを預かり、試合会場に飾ってくれた。
その様子をみたとある後輩はこう言ったそうだ。
「え、キータさん、死んだん?」
(まーだ、生きてるよ~!)
*
キータは自分を振った彼女に連絡をとった。
「今から手術やねん」「え、大丈夫?」
優しく声をかけてくれる元カノに、復縁の望みを感じた。
葛城ミサトさんが言うところの、希望的観測ってやつだ。
二度の手術を経たキータだが、
進化して「網膜裂溝」となったこの病気を完治させることはできなかった。
彼の右目は、今でも乱視であり、矯正しても0.3しかない。
最愛の彼女に振られ、
右目の視力を失った。
キータの心に、もう希望の灯は灯っていなかった。
しかし、
彼はいつの間にか復活した。
なにか特別なことがあったわけではない。時間が癒してくれたのだ。
これが単細胞のいいところだ。
悲劇を引きずらない。ほとぼりが覚めれば、振られたことも、入院生活も
コメディに昇華し、ネタとして話し始めた。
さて、人生をどうしようか。
大学三年生のキータは、そのとき、「公務員になれば人生安泰」ということを思い出した。
なぜ彼が、公務員を神聖視していたのかはわからない。
ただ、世間体であったり、周囲の人が言う「安定・常識」に
ある意味「洗脳」されていたのだろう。
キータは本気になった。大学受験の時以上に。
*
1日12~14時間勉強し、ひたすら知識を詰め込んだ。
法律、経済学、行政学、国際学、政治学、教養科目、論文…
数十の科目をひたすら。
大学四年になり、就活が解禁された。
野球部の友人たちは、大手企業への就職が決まっていった。
しかし、国家公務員試験は時期が遅かった。
キータは友人たちとの連絡を断ち、ひたすら勉強をした。
「楽しいとか嬉しいとか、そんな感情いらんねん。俺はひたすら勉強して、国家公務員になるだけや。それだけで人生はもう勝ちなんやから」
当時の彼は、何かに取り憑かれていたのかもしれない。
人生を賭けて挑んだ国家公務員試験。
結果は、勝利、だった。
その時点で、奈良市役所の内定をお蹴りさせていただいた。
今川義元が蹴鞠をするかのように。
官庁訪問では、国土交通省関係の3職場で悩んだ。
地方整備局、地方運輸局、大阪航空局。
どれにしよーかな、と悩んだ末、
パジェロ、パジェロ...!!!
ダーツを放った。
ウソだ。
「空港カッコええやん!」という理由で大阪航空局からの内定を受諾した。
この選択が、キータの人生の岐路となった。
*
2016年4月。
彼は、国土交通省大阪航空局補償課に入局した。
同僚とバンドを組んだり、合コンに行ったり、青春を謳歌していた。
週に2度、合コンに行くこともあった。盛り上げ役として、一次会からカラオケまではしゃぎまくった。ただ、三枚目はモテない。
おもしろいけど... とは言われれど、いつもクールなやつがモテた。
back number は「世田谷ラブストーリー」でこう歌った。
もう終電に間に合うように 送るようなヘマはしないもうしないからさ
キータにヘマはなかった。「もう一軒行く?」「あたしもう帰る」「おう、ほなまた」淡い期待があったお持ち帰りはもちろんできず、終電ですごすごと実家に帰ることを繰り返した。
高校時代の親友たちは「キータ、もう諦めろ。お前は、高校時代の彼女に、振られた時点で一生独身確定や」と彼を諭した。
そして、キータは音楽にのめりこんだ。エレキギターにはまり、楽曲も製作しまくった。
盛り上げ隊長として、企画を行ったりもした。
職場の同僚を15,6人集めて、大阪の住之江のスポーツ施設で運動会をしたりした。エクセルで点数表を作り、チーム分けも考えた。
とにかく楽しかった。国家公務員試験の勉強のために捧げた時間を、取り戻すかのように。
はい
<破>
2016年10月。国土交通省の研修先の羽田空港にて、
安全啓発センターを見学したキータは、
日本航空123便墜落事故についての説明を受ける。
しかし彼は納得がいかない。その飛行ルートと生存者の数に。
キータはその日から、「正義」「悪」「真実」に疑問を抱き始めた。
しかし、そんな彼に暗雲が立ち込める。
森友学園事件だ。担当部署にいた彼は、職務命令により政府の汚職の一助を…
海苔弁作成、索敵業務、VS財務局、シュレッダー班
そして、仲間や上司たちが傷つく姿を見てきた。
キータが闇に墜ち、インテリヤクザとしての道を歩み始めたのはこの時だ。
森友疑獄が一息ついたキータは、つかの間の休息を楽しんだが...
彼に安寧はなかった。
ベトナムに行けば、射殺されかける。
アメリカに行けば、マジで迷子になる。
カナダに行けば、金髪美女に騙され、黒人に囲まれ殺されかける。
そうして時が経ち、人事異動希望の季節がやってきた。
例の案件以降、既得権益を嫌うキータは
「政治家も霞が関(東京)も嫌いや!」的なニュアンスを
オブラートに包みまくって、人事希望書に書いた。
とある木曜日。キータは、上司に呼ばれた。
「大事な話がある。主査(係長級)ポストが空いたんだ。君に行ってほしい」
「いや、無理っすよ。ぼくまだ1年目っすよ。それに…」
「君は素行は悪いが、なんだかんだやればできるじゃないか」
キータは、承諾した。
そして、大阪から鳥取県に左遷、もとい、左上遷されることになった。
*
え、急いで通勤用の車を購入する必要がある。
国家公務員というのは、好待遇に見えて「鬼」だ。
本人の希望に関わらず転勤させるくせに、車代金などは出してくれない
(いや、それが普通かも?)
当時のキータは、度重なる海外旅行と、株式投資の失敗によって、お金がなかった。
「どうすればええねん!けど中古は嫌や。新車がええ!」そう叫んだ。
「中古買え」と訴える両親と「新車がええけど金はない」と訴えるキータ。
進展のないまま、彼は金曜日の夕方には飛行機に乗っていた。
元から予約していた、マカオ旅行だ。
マカオの空港に到着したキータに、親父から電話があった。
「おいバカ息子。
仕事帰りに、ホンダカーズに寄ったら、FITの新車が安く売ってたぞ?
どうする?12月頭に転勤やろ?早めに買わないと、納車が間に合わんぞ、もう10月下旬やねんから」
キータはニヤリと笑った。
「親父、FIT、新車で買っておいてほしい」
「金はあるんか?」
「ツケで頼むわ。今、俺は10万円持ってる。そして今からカジノに行く。
FIT代くらい稼いでやるぜ!」そう言って、父に甘えた。
これがバカ息子、一人っ子の魔力だ。
*
マカオ初日。
キータは神っていた。
ブラックジャックで連勝をかまし、ディ―ラーは顔をしかめていた。
その場はざわつき、中国人たちが集まり、キータの戦いを見守った。
そばでみていた後輩は、「キータさんのこと、初めて尊敬しました」と言っている。
掛け金をどんどんと増やし、勝利を重ねる。
「おい、もうやめとけ!」隣の友人が静止し、勝ち逃げしたとき、
キータは、5000円の元手を、11万円にしていたのだ。
もちろん、その後3日で、その勝ち分を全て溶かす。
そこまでがキータの人生のパターンだ。
*
12月頭、鳥取県に転勤となった。
しかし、愛車のFITは間に合わなかった。
まず電車で赴任し、翌週、父が鳥取まで「納車」してくれた。
新車代もお借りし、納車までしてくれた父には頭が上がらない。
鳥取県の暮らしは波乱の連続だった。
大雪に次ぐ大雪。雪かきの日々。
新車は汚れまくった。
「絶対新車を買え」と勧めてきた友人は、
「そんなに雪が降るなら中古のほうがよかったな」と笑っていた。
*
さらにキータの職場には、中ボスがいた。
彼に苦しめられたキータは、何度も叫び、頬を濡らした。
抗い続けつつながらも、とあるコツを覚えたキータ。
職場で一人残業クッキング、砂浜でギター弾き語り、
滑走路の真横でヒトカラなど、孤独な自由を謳歌した。
ただで転ばないのが彼だ。一人暮らしの生活の中、
あしたのジョーとロッキーを視聴×筋トレ、という修行で力をつけた。
半年後、彼は、とある必殺技を使い、中ボスを華麗に撃破した。
しかし、その勝利はむなしく、あっけないものだった。
中ボスはそれ以降、キータに怯えるようになった。
キータを駒のように扱い、酷使していたにもかかわらず。
一度、キータが牙をむくと、びびっているのだ。
がっかりした彼は、考え始めた。
「人間とは、とかくむなしいものなのか
この職場は一体、なんなのだ。
ここにいて、俺は成長するのか、人生を楽しめるのか?」
*
時を少し戻そう。
キータは恋愛面でも地獄を味わっている。
2017年12月。
彼は、4年半付き合った後に振られた元カノに久しぶりに連絡をしていた。
「俺、鳥取に転勤したから車買ってん。ドライブに行こうや」
「いいよ~」
元カノは、乗り換えた彼氏と付き合っていたそうだが、キータと遊んだ。
高校時代の親友たちは、「これはいけますわ。復縁ラッキーチャンスや」と言った。キータもこれを「復縁の好機」と捉え、デートに賭けた。
そこから数か月、4,5回、デートをすることになった。
鳥取から尼崎まで往復600㎞の運転を繰り返したが、復縁のためならなんのその。
元カノは、今カレの不満をキータに漏らしたりした。
キータは思った。「これはいけますで、復縁も近いで...」
彼は、同時に、転職活動も始めた。
「芦屋市役所」「神戸市役所」など、在阪の市役所を希望した。
復縁×転職によって関西帰還
人生に光が差し込んだかのように思えた。
しかし4月、元カノからの連絡が途絶えた。
何を送っても既読無視。暗雲が立ち込めた。
2018年6月
キータは高校時代の親友に依頼して、元カノに既読無視をやめてくれと伝えてもらった。
鳥取の社宅にて入浴している際に、元カノから電話がかかってくる。
驚き、「真っ裸」で風呂場から出て電話に出た。
元カノはこう告げた。
「あなたは世界で一番私を愛しています。
9年もあなたは私が好きですね。
しかし、私は世界で一番彼氏を愛しています。
そして彼氏は旦那になります。
だからあなたとはもう二度と会いません、連絡もしません。さようなら。
あなたからの愛は、私にとって自信になりました…」
バリバリりりーん。
キータは、芦屋市役所のエントリーシートを破り捨てた。
2009年4月、入学式で一目惚れしてから、9年2か月の月日が経っていた。
転職も、恋愛も、いや、人生さえ。
何もかもがどうでもよくなった。
いいえ
*
2018年7月
キータの体から生気が抜け、すべてをこなすようになった。
飲みや遊びに誘われても、「俺、鳥取やから無理や」と断り続けたこともあり、人間関係が希薄になった。
そうこうしているうちに、同年代はキャリアアップや結婚をしていく。
そんな状況に焦り、彼はやっぱり、仮想通貨に人生を賭けた。
結果は、長期間の塩漬け、だ。
*
「なんなんだよ、この人生!」
そもそも国家公務員は安泰なのか?
長い間、人を好きになっても、振られたら意味ねえじゃねえかよ!
人事課に生殺与奪の権を握られたままでいいのか?
ああ、もう、全部やり直したい。
ぬるま湯から出て、野に放たれ?
自分のスキルを、磨くべきではないのか?
キータは、ダーマ神殿を訪れた。
そして、学生時代の人生を賭けて手に入れた
国家公務員という「ジョブ」を捨て、経営者団体に転職したのだ。
<Q>
「夢よりも はるかに おそろしい 現実というものを 見せてやろう」
勇者になれるのか?いつの日か、立ち上がる時が来る。
*
国交省退職後、もがき苦しんできた様子は、noteに記してきました。
小説家になろうとして、ヒョーイザムライを執筆したり、
歌手になろうとして、60万円を払い、ボイトレに通ったり、
仮想通貨にフルBET。
書き出すときりがないので、省略させていただきます。
*
自分のアイデンティティが崩れ去り、「何者」かわからず、
劣等感に苛まれることもありました。
しかしその過程を「コメディ・喜劇」として、ブログに投稿してきました。
過去の記事たちは、私が歩んできた軌跡であり、
これらすべてが、「カイタククエスト」なのです。
*
ここまで読んでいただき、誠にありがとうございます。
長文をここまでたどり着いていただいて、とても嬉しいのですが、
1001のすべらない話を、この文章ではまだ1%も紹介出来ていません。
物語は、まだまだ、続きます!
続編を読んでくださるという優しい方。
⇒はい
⇒いいえ
この続きは、別の記事になります。
最後まで読んでくださり、誠にありがとうございました!
これからも、人生を‘お笑いコンテンツかつ人情物語‘として、
発信していきますので、楽しんでいただけたら幸いです!
<スペシャルサンクス>
タイトル画像作成・楽曲制作:MAX/神アニメ研究家@道楽舎
道楽舎というコミュニティで、原子・科学を楽しく学ぶコンテンツを製作しています!
小説家として、電子書籍も出版しています!
note版+豪華書下ろし!
よければ、リンク先のあらすじをみてください!
世界経済、政治、アニメから歴史まで。
ユーモラスに記すことが得意です!
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「おーるおっけーありがとう!」「フル価値観」「ゆうたらにこいちや!」
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迷言で、毎日を愉快に^^
道草人生のコメディ道。楽しく学んで、笑えるゴールに!
国家公務員⇒経営者団体⇒民間企業で営業 人生は喜劇を合言葉にブログ毎日投稿 全ての経験をコメディ・ノウハウに昇華! 【野望・展望】 ワクワク・笑顔・本質の捉え方を届ける! 創作=エンタメ映画製作 お仕事改革=教育システム構築 サポートのお金は皆様を笑顔にする事業の資金にします!