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保育士起業家が、神戸・長田を子育ての地に選んだ理由。

この記事は、2022年2月19日に開催した神戸市移住セミナー[こうべぐらし]にご出演いただいた小笠原さんに、長田に移住したきっかけや長田でのくらしについて改めてお伺いしたものです。

こんにちは、はじめまして!
2017年11月から神戸市長田区に住んでいる 小笠原 舞と申します。

先日、神戸市企画調整局つなぐラボ主催の神戸市移住セミナー[こうべぐらし]神戸の西“垂水・長田”で見つける自分らしいくらしというオンラインイベントに登壇させていただいたご縁で、今回記事を書かせていただくことになりました。


3歳の息子と犬と、まちの人たちとの関わりを楽しみながら暮らしており、仕事はこどもたちがよりよく育つ環境をつくるため「合同会社こどもみらい探求社」の共同代表と任意団体「asobi基地」の代表をしています。

最近は夫が自宅隣に事務所 兼 Bar SAKAZUKIをオープンさせ、そこで友人や街の人たちとの交流も楽しみはじめました。

今日は、私視点にはなりますが、長田の街の魅力についてお話しさせていただきます!

◎移住前に長田に惹かれた理由

2016年4月に関東から神戸市兵庫区に引っ越してきてはいましたが、その時は間取りの良さだけで決めた家でした。特にコミュニティや繋がりもなく暮らしていましたが、その年の夏に東遊園地で開催されたイベントで登壇する機会をいただき、そこでr3の合田さん、はっぴーの家ろっけんの首藤さんとのご縁ができたのがきっかけで長田のことを知りました。

すぐに遊びに行ったのですが、そこで見た光景がとても衝撃的で。というのも、はっぴーの家やr3に子どもたちがたくさんいたのですが、どの子がきょうだいで、どの子の親がここにいるかが全くわからないという状況でした。

保育士をして、子育てコミュニティを作ってきた私にとって、

『 神戸という都市でも、こんな風に暮らしている人たちがいるんだ! 』

『 自分が頑張ってゼロからコミュニティをつくらなくても、もうここにはあるんだ!』と、とても感動したのを今でも鮮明に覚えています。

その時は結婚もしていませんでしたが、“ この街で、このコミュニティで、子育てしたい! ” と思い、今の夫に引っ越しの話をして、めでたく移住。そして、2018年の夏から子育てがスタートしたのでした。

(第1子だけど、街にはお兄ちゃん・お姉ちゃんがいっぱい!)

◎ 長田のくらしを象徴するような出来事、経験

保育士経験はありますが、育児となると新人です。産後は毎日はじめての体験ばかり。さらに、寝不足も重なり…。初めのうちは赤ちゃんが可愛くって頑張れていましたが、日々積み重なる疲れが溜まってくるんですよね。3ヶ月くらい経ち、気持ちがすごく落ち込みそうだった日があって、我が子を連れて近くの喫茶店に行ってみたことがあるんです。小さな赤ちゃんを連れていくことに、少しドキドキしながら。

お店に到着し、「赤ちゃんが一緒ですが、いいですか?」と声をかけると、

「何、言ってるの。いいに決まってる!私が赤ちゃん見てるから、ゆっくりしていきなさいね!」と逆に怒られてしまいました(笑)

そして席につくとすぐ、隣にいたおばちゃんに「赤ちゃん、抱っこしていい?」と聞かれ、「かわいい〜」と満面の笑みで抱っこしてくれました。そのおかげで、久しぶりにゆっくりコーヒーを飲むことができたのです。その優しさがとても嬉しくて、たまりませんでした。

“ あぁ、ここは街のどこでも人と繋がれて、大きなコミュニティになっているんだ ”

“ みんなが周りにいる人に興味・関心がある地域なんだ ” と思った出来事でした。

今でもこのお店には息子を連れていくのですが、お店の方やお客さんにとても可愛がってもらっています。

(はっぴーの家ろっけんで、利用者さんに可愛がられる息子)

このお店だけではなく他のお店でもですし、街をただ歩いているだけでも、子どもや犬、そして私にも声をかけてくれる人たちがたくさんいます。何気ないことかもしれませんが、こういうところが長田のいいところだと思っていて。

こういうやりとりの中で、あぁ、今日も豊かだなとか、安心して、暮らせる・子育てできているな、と感じられることが、私の日々の幸せに直結しています。

◎ 移住してから自分自身に生じた変化

疲れにくく、健康になりましたね。というのも、東京などの出張帰りに新長田駅に降りて、家の方に向かうと疲れているはずなのに、元気になってしまうんですよね。身体の緊張がほぐれるというか。大きな変化じゃないよ!と思うかもしれませんが、私はすごく重要なことだと思っています。

社会に出ていく時って、どうしてもいろんなことに対して頑張らなくちゃいけない!と思ってしまいがちなのですが、この街にいると“そんなに頑張らなくてもいいじゃん!”と思えるんです。

(路地でゆったり遊ぶ 私たち photo by カメラマンの夫)

それは何故なんだろう…?と考えてみたのですが、おそらく街にいる皆さんがそれぞれ等身大で、無理なく生きていることが関係している気がしています。夫が移住してすぐに、「この街って自然は少ないかもしれないけど、住んでいる人たちが自然と同じ要素を持っている」と言いました。当時はよくわかりませんでしたが、それは上に書いたことと同じで、人がその人らしく生きているからこそ滲み出ている空気感=この街の文化なんだと今ではとても納得しています。だからこそ、身体に力が入らずに、疲れない。

そうやって日々を過ごしていると、私自身が健康で、いい状態にあれるんですよね。

私自身の心と体が安定しているからこそ、仕事も子育ても比較的余裕を持って楽しめていて。この6月に2人目が生まれるのですが不安もないですし、日に日に自分がいい状態に変化し続けているなと実感しています。

◎ セミナーに出演して、改めて感じた長田の魅力

本当にいろんな個性が混じり合っている街だなと改めて思ったとともに、こうして違う個性の人たちと当たり前に一緒に暮らすということの価値と可能性を感じました。ここでは小さな頃から違いが当たり前にある暮らしができ、大人も日常の中でその化学反応を楽しむことができます。この体験はこれからの時代、さらに重要になることであり、争いがなくなることにもつながると思っています。

最近も近所に様々な世代の移住者が増えているのですが、いろんな価値観・考え方に出会えて、とても面白いです。

(仕事中、近所の若者に息子を預け、遊んでもらった日の写真)

いつも「どうして移住したいと思ったのか」を聞いてみているのですが、その答えの中から見えたことは、“どんな人でも自分らしい居場所・心理的安全を感じられる場が見つかりやすいんだろうな” ということでした。さらに、そこに身をおいていると無駄な力が抜け、その人らしさがどんどん開花していく。さらに周りに関心が向いていき、つながり合い、家族のようになっていく。不思議な循環がたくさん起こっています。

この循環には、私自身が探求し続けているテーマ『Well-beingな社会』へのヒントが詰まっているので、これからもみんなとの対話や起こる出来事から感じたことを分析・言語化していこうと思っています。それがこの街の魅力だと思うので。

◎ 長田でのくらしに興味がある人へのメッセージ

この街の良さは、1日だけ見てもわからないんです。特別なことを何もせずに、数日過ごしてほしいなと思います。観光と暮らしは見る視点が違うので、商店街で買い物をしたり、公園で遊んだり、喫茶店に行ってみたり、街や路地を歩いてみたり。そこに滲み出ている長田らしさがあるので、それを見つけてもらいたいですね。小さな幸せがそこかしこにたくさんありますよ!

(家の近所の商店街を散歩中♪ 誰かしらがいつも声をかけてくれます。)

もう1つは、自分の気持ちに目を向けて・耳を傾けて歩いてほしいということ。何を感じているのか、それはどのくらい大事にしたいことなのか。家族で移住を考えている人は、こどもやパートナーなど家族がどう感じているかも聴きながら、じっくり対話してみてほしいです。

ちなみに私のおすすめコースは、鉄人広場→新長田1番街商店街→新長田大橋地下道ウォールギャラリー(震災資料館)→その先にある地下の商店街→地上にあがって六間道商店街→丸五市場の順路。よければ行ってみてくださいね!

長くなりましたが、最後まで読んでくださりありがとうございます。
少しでも気になった方がいたら、是非ふらりと遊びに来てみてくださいね!