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ハワイ出産を考えている人へ

初めまして。ご覧いただきありがとうございます。

私は皮膚科医として働いている女医です。2019年に第二子をハワイで出産しました。そしてこの度、第三子の妊娠が分かり、色々と考えた末、再びハワイで出産することに決めました。

近年、ハワイで出産する日本人は増加傾向だと思います。
海外での出産については賛否両論あると思うのでここでは敢えて触れませんが、私にとってハワイ出産はとても素晴らしい経験になったと感じています。

ただ、ハワイ出産に興味があっても医学的な知識や現地の状況を把握することが難しく、不安に感じて諦めてしまう方も少なくないと思います。
私は一人の医師の立場から、またハワイ出産の経験者の立場から、そんなみなさんの少しでもお役に立つことができたら思い、この度ハワイ出産に関する情報をnoteで共有させていただくことにしました。

1、何でハワイ出産?

まずは私の自己紹介から簡単に。

私は2016年、31歳の時に長男をアメリカで出産しました(ハワイではありません)。この時はアメリカに一時的に住んでいたので観光ビザではなくF-2(学生(夫)の配偶者)ビザで出産しています。

アメリカでの妊婦生活は、わからないことも多く色々と悩んだこともありましたが(それについてはまた改めてお話できたらと思います)、結果的にとてもいい経験になりました。何より単純ではありますが、息子に日本とアメリカの両方の国籍を与えることができたのがアメリカ出産の一番のメリットだと思いました。

その後息子が6ヶ月になったタイミングで日本に帰国し、非常勤という形で仕事に復帰しつつ慌ただしい日常を送っていたのですが、2018年の夏に第二子の妊娠が発覚しました。性別がまた男の子だったため同じようにアメリカで出産して長男と同じアメリカ国籍も与えてやりたいと夫婦で話し合い、ハワイ出産を決めました。そして今回2021年に第三子を妊娠し、コロナの状況などありハワイ出産は無理かな、と半ば諦めておりましたが、結果的に無事にハワイにて第三子を出産することができました。

日本とアメリカは保険から医療現場まで大きく異なります。長男のときも、産婦人科の同期に色々相談した上で安心して産むことができましたし、何より前回のハワイ出産の経験があったおかげで特に今回第三子の出産は色々な意味で余裕がありました。そういった日米での医療の違いについて、医者の立場から色々お話できたらと思いますし、コロナの状況でハワイ出産がどのように変わったか、なども経験者として詳しくご紹介したいと思います。

2、ハワイ出産に興味を持ったらまず知っておきたいこと

さて、ここでまず最初にお伝えしたいのは、日本とアメリカの出産の違いについてです(ここで拒否反応が出てしまうとそもそもハワイ出産は難しいと思うので…)。アメリカの出産で大きく変わってくるのは以下の3つだと思います。

1、出産費用の違い
ご存知の通り、日本は国民皆保険で自分が受けたい病院を自分で自由に選択することができますが、健診や出産は健康保険を使うことはできません(自治体の補助や出産一時金などはあります)。しかし、アメリカでは、出産に伴う入院なども保険でカバーされることが多いようです。
ハワイで出産される日本人の多くは無保険だと思うので、その場合は出産費用を自費で出す必要があります。詳しくは、私の別noteの出産費用編に詳しく書いていますのでそちらを参照していただくと幸いです。
ハワイで日本語を話す産婦人科のドクターとなるとかなり限られますが、その分ハワイ出産する日本人がそのドクターに集中しますので、対応に慣れていてスムーズです。これはハワイ出産のメリットの一つでしょう。

2、妊婦健診の違い
一言で言うと、日本の妊婦健診は本当にきめ細かいです。受診頻度は安定期まで2週毎、安定期になると1ヶ月毎、そして32週を過ぎる頃にはまた2週毎の受診が平均的だと思いますが、その都度赤ちゃんの位置などエコーで毎回確認してくれます。一方アメリカの場合、受診回数はさほど変わりませんが、エコーはほとんどしてくれません。そのため通常の妊婦健診では簡単な問診と腹囲、心音を聞いて終了です。エコーは最初に妊娠の診断の時と、10〜12週くらいでbig scanといって赤ちゃんの状態を細かくエコーでチェックしたらその後は30週超えるまでありません。アメリカの場合エコー検査が大変高額で、自費で払うと10万近い場合もあるため最小限しかしてくれないのだと思います。

3、陣痛から退院までの違い
アメリカの場合、とにかく入院期間が短いです。まず、陣痛が日本と違って5分間隔にならないと入院させてもらえません(日本では10分程度になれば入院可能)。10分間隔から5分間隔になるまでの所要時間は、初産婦か経産婦かによっても異なりますが、初産婦の場合、5分間隔になると全身が震えるほどの痛みになります。よくアメリカで無痛分娩の場合、痛みを全く感じないんでしょ、と聞かれますがそれなりに経験します笑。いわゆる和痛分娩に近いイメージです。ただし計画分娩の場合は麻酔をかけた後に誘発をかけるので、ほとんど痛みを感じないと思います。
そして、通常正常分娩の場合は1〜2泊、帝王切開でも2〜3泊で退院となります。この「1泊」とは、0時をまたぐと1泊とカウントされます。そのため、時間帯によっては次の日退院、となる場合もあるのです。すぐに退院しなくてはならないことに不安を感じる方もいるかもしれませんが、無痛分娩では体力の回復も早いため、実際に1泊で退院しましたが特に困ることはなかったです。むしろ、アメリカの医師は日本のような主治医制ではなくシフト制で交代で診るので、夜中でも休む間も無くひっきりなしに違う医師が様子を見に来て明け方4時に起こされるなんてこともよくあります。そのため早く帰りたいと入院中はずっと思っていました。

簡単に言うと、アメリカは全てにおいて合理性を優先するので、そこの感覚が日本と根本的に異なってくると思います。私はアメリカ生活でその辺りは順応しましたし、むしろ性格的にもマッチしたのですが、そこを合わないと思う人がいても仕方がないと思います。以上がハワイ出産を考えたらまず知っておきたいポイントです。

3、ハワイ出産〜私のケース〜

私の場合、すでにご存じの通り2回のハワイ出産の経験があります。それぞれ2019年と2022年になりますが、ご存じの通り、2020年以降は世界中で新型コロナウイルスが大流行しました。2022年の春以降は、日本でも少しずつ海外旅行に対して解禁モードがありますが、依然としてコロナウイルスの水際対策は各国程度の差はあれど継続されている状況です。

2019年も2022年も、息子たちを連れての出産であったことや、ハワイ滞在中の金銭感覚に大きな違いはありませんが、コロナ前後でアメリカでは物価が大きく上昇したことや、2022年の春以降の急激な円安が今回、第三子の出産の時に大きく影響与えていることには間違いありません。

私のnoteでは、ハワイ出産をご検討されている方のためにこの辺りの影響もできるだけ詳細に掲載しています。そして、せっかくハワイで出産するならハワイ滞在そのものも楽しみたい!という方がほとんどだと思いますので、出産以外の情報も共有したいと思います。どうぞハワイ出産が素晴らしい経験になりますように。

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