十五秒足りない 牧野信一の『凸面鏡』をどう読むか①
この作は大正八年四月のものとされているので、『ランプの明滅』よりも先に書かれた可能性が高い。
そしていきなりのホモフォビアのような、ホモのような話である。
しかし「僕が若し女ならば」と書いてあるので、ホモではないな。
気持ちの悪いと言いながら笑っているからホモフォビアでもない。
親友の「生命を棄てゝも君に恋をして見せるよ」という言葉は『春の雪』の最後で本多の手を握る松枝清顕よりもからっとしたもので、よく考えてみると何とか清顕の親友としてとどまろうと微妙に距離