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牧野信一論2.0

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記事一覧

割とリアルだ 牧野信一の『嘆きの孔雀』をどう読むか④

 ※期間限定のポイントが余っている人、これ買って。↑  若い男女が歩いていた。どちらもス…

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その理由は後で解るだろう 牧野信一の『嘆きの孔雀』をどう読むか③

 一昨日はこれまで読んできた牧野信一の小説には当たり前のように父がいないということを書い…

母はいる 牧野信一の『嘆きの孔雀』をどう読むか②

 見違えるほどに生い茂った砂浜のカラスは、革命家気どりの電化製品によってお試し期間を待た…

すらすら書くなあ 牧野信一の『嘆きの孔雀』をどう読むか①

 さして季節感のない軽はずみな苛立ちによって、セイタカアワダチソウの穂先は軽くひしゃげ、…

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割合に呆然とした 牧野信一の『凸面鏡』をどう読むか⑧

 割合に呆然とした、  指先から羞恥知の果に落ちて、   完全にわからないわけではないが…

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何てえ人でせう! 牧野信一の『凸面鏡』をどう読むか⑦

 新しく取り換えたばかりのマウスのように、牧野信一の文章は距離が測りかねる。こちらが如何…

小林十之助
10日前
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?の発音は無理 牧野信一の『凸面鏡』をどう読むか⑥

 昨日は道子の恋文で鼻を噛んだのは兄ではないかと誤解されているのではないかと書いた。もうずいぶん昔のことのように思えるが、たぶん昨日だ。  時間というのは不思議なもので、隣国の偉い人の顔が変わっても、もう見慣れてしまって笑えもしない。いや不思議なのは人間の方だ。全然欲しくないのに、食べたくなのに、ただ安いというだけで買ってしまった。  いや不思議なのは人間ではない。牧野信一だ。馬鹿なのかと思えばそうではない。  頭の中でカチッと音がした人はどのくらいいるのだろうか。「彼

前は違ったのだ 牧野信一の『凸面鏡』をどう読むか⑤

 昨日は牧野の設定崩しに振り回された。  ちょんちょん軽めの足払いでけん制しておいて、掴…

小林十之助
12日前

まだ兄弟がいるかもしれない 牧野信一の『凸面鏡』をどう読むか④

 昨日は、凸面鏡で親友の姿が歪み「鼻でか」が現れたと書いた。それにしても日本アイスクリー…

小林十之助
13日前
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予測できたはずなのに 牧野信一の『凸面鏡』をどう読むか③

 結局人間の感情などというものは言葉で捉えたつもりでもそこから少しずつずれているものだ。…

小林十之助
2週間前
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グワーンと鐘が鳴る 牧野信一の『凸面鏡』をどう読むか②

 三島由紀夫はそんなことを書いてみる。生殖は人間の生々しい一面であり、生物の本質だからだ…

小林十之助
2週間前

十五秒足りない 牧野信一の『凸面鏡』をどう読むか①

 この作は大正八年四月のものとされているので、『ランプの明滅』よりも先に書かれた可能性が…

小林十之助
2週間前

電源ボタンと音声の小 牧野信一の『ランプの明滅』をどう読むか②

 そんなことをしても無駄だ。  どうにもならない。  そうわかってはいるけれど兎に角昨日…

小林十之助
2週間前

分裂させられる 牧野信一の『ランプの明滅』をどう読むか①

 牧野信一の記憶は当てにならない。このあたりの話はころころ変わる。それでもこの『ランプの明滅』は初期作品の一つではあるのだろう。  ここまで『闘戦勝仏』『爪』と読んできて、そのタイトルがあまり作品を象徴しないことが見えてきた。『爪』は『妹』『道子』『寝言』『冷笑』といくらでも別の題大がつけられそうだし、むしろ「爪」は主題に当たるところではないのではなかろうか。さて、では『ランプの明滅』はどうだろうか?  それはまだ誰にも解らない。何故ならまだ読んでいないからだ。  就職