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女子小説のお部屋

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女子による女子のための小説 会社帰りに、休日前夜に、シュワシュワを飲むように
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#覆面編集者に投稿01

祇園祭の契約

「ほら!キュッキュッって鳴いとる。ウグイス張りの廊下や」

 二条城の中で、細見の男が嬉しそうに振り返った。

「彼氏さん? 醤油顔のイケメンねぇ」

 そう微笑みながら観光客のおばさんが、私の横を通り過ぎて行く。

「本当のヒトなら、いいんですけどねぇ」

 私はつぶやき、はしゃぐ彼を追いかけた。

 

 彼との出会いは祇園祭の宵々山だった。

 その日私は紺の浴衣を着て、髪をかんざしでアップ

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