イランの新型コロナ感染拡大はいまどうなっているか|気になる中東

新型コロナウィルスの感染が世界に広がりだした3月上旬~中旬、中国以外で突出した拡大を示したのがイランだった。その後、欧州や米国の拡大が顕著になり、イランがどうなっているかという報道はあまり出なくなっているので、最近の状況を調べてみた。

4月初旬より、いったん収束傾向が見られていたものの、第2波の拡大が懸念される状況にあるようだ。現時点での累計感染者数は約13.4万人、死者数は約7,300人。人口10万人当たりの死者数は約87人で、英国やイタリア(ともに500人超)、米国(約290人)には及ばないものの、かなり高い死亡率だ(5/24現在、札幌医大フロンティア研ゲノム医科学部門の調査による)。ちなみに日本は10万人当たり約6.4人だ。

イスラム圏ではちょうどラマダン、すなわち日本では一般に断食で知られる宗教儀式のシーズンが終わったところ。今年は4月23日~5月23日だったそうだ。

断食といっても一切何も食べないのではなく、日の出から日没の間を断食し、日没後には「イフタール」と呼ばれる宴会が行われ大勢で食事をするので、むしろラマダン以外の時期より消費量が増えるのが通例だ。

そんなラマダンの様相が、今年はコロナ禍の影響で一変したらしい。イランのイスラム法学における最高有識者の一人サーフィ・ゴルパーイガーニーが、科学的な見地から見て発病や重症化の恐れがある場合は必ずしもラマダンの時期に断食を行うのでなく、定められた時期以外に行うべきであるとの見解を述べた(4/23付けIran紙より東京外大TUFS Mediaによる)こともあり、例年のラマダン行事等が中止となり、消費の低迷や貧困者層がイフタールの分け前を得られずに飢えるといったことが発生したようだ。

イランに限らず、コロナ死亡率が高い国の原因は、貧富の差が激しく、貧困層の死亡率の高さが反映されているとの意見もある。

私はイランに行ったことはないが、中東情勢には強い関心を持っており、中東諸国の中でも異彩を放つイランについて、少し調べて書いていくことにしたい。

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