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IR施策と株価の相関における3つの因子とIR施策のインパクト評価方法

こんにちは、Figurout 代表の中村です。

先日のIR大新年会イベントで note IRマガジン参画企業のその後の株価パフォーマンスについて、報告する機会がありました。

そのときの模様はnote IR さんからレポートから↓↓

参画企業とベンチマークとの株価推移の差は10%以上と大きかった


IR note マガジン参画企業の株価は、対競合ベンチマークでは11.4%、対グロース指数で12.4%、アウトパフォームしているという結果となっていました。(3/23から12月大納会まで約9か月)

IR noteマガジン参画企業の株価パフォーマンス

もともと、8月末(IR noteマガジン開始から約3か月後)に効果検証した際は、この乖離は 対ベンチマークで+4.9%、対グロース指数で+6.7%という数値でしたので、IR note マガジン参画企業とその競合企業の株価は、継続的に株価の差を広げていることになります。


このアウトパフォームはIR note マガジンの成果と言ってよいのか?

大新年会のイベント内でも触れましたが、この差は3つの因子があって生まれたものだと分析しています。

  1.  IR note マガジンによる純粋な成果(株主認知と購買意欲喚起)

  2.  IR note マガジンでの情報発信を行う企業はIRが上手なので、その他にも効果的なIRの取り組みを行っているので株価が上がりやすい(IR施策のクオリティと IR noteマガジン選択の相関)

  3. そもそも、IR note マガジンでの継続的な情報発信を行うことができる会社はIRにリソースを割くことができるだけの利益を出せている会社であり、IRに投資ができている成長企業の割合が高い。(好業績の会社がIR note マガジンを行っている)

1 は施策の成果ですが、2と3 は施策の成果ではなく、相関関係によるものです。

様々な要因がからむお題を分析する際にはこういった因果と相関が混ざった分析となりがち。
これが学術研究なら「疑似相関の要因が除去できないので結論は出せない」となってしまいますが、ビジネスは実践の場。「確からしい可能性の高い施策」にあたりを付けて実践していくことが大切です。

また、IRにおいてはもう1つ別の側面があります。
上記のファクトは、「IR note マガジンの成果分析」としては不明瞭なところはありますが、投資家から見て「IR note マガジンの実施是非による株価傾向」としては明確なアウトパフォームの結果があるという事実を示しています。
「グロース銘柄全インデックス」を買うより、「IRnote マガジン実施社インデックス」を買う方が、継続的にアウトパフォームしているというのは現状のファクトで、1,2,3 はそれぞれ影響因子としては間違いがなさそうであり、それを見て買う投資家が出てくると、「正のフィードバック」がはたらき、1 の「施策の因果関係」がより大きくなることが考えられます。

これは、 IR note マガジンに限った話ではなく、あらゆるメディアや施策に言えることだと言えそうです。
1,2,3 の要素比率を分解して因果関係だけを抽出するのは難しいですが、ひとまず「因果ではない影響度もあるかもしれないが、その施策を行っている会社の平均が、ベンチマークと比べてどうなのか」という観点で分析して、その施策の評価目安として判断することは有効ではないかと思いますので、IRの皆さんも、過去の施策における株価や出来高の変動をチェックしてみてはいかがでしょうか?

施策の効果分析をする際の具体手法

IR施策の効果を評価する上での比較方法はいくつかあります。

1. 市場比較数値と比較する

まずは一番シンプルな方法は、所属市場数値(プライム指数、スタンダード指数、グロース指数)との変動比を見る方法です。

あるIRリリースの株価変動と、市場指数の変動要因を引いた指数
(HoooldersAnalytics画面より)

もちろん株価についてはIR以外のリリース以外にも様々な要因を受けて変動するため、単純に評価はできないですが、一つの目安として市場変動の影響を差し引いて評価することが有効です。

2.競合ベンチマークの平均と比較する

市場指数だけだと、自社の動きなのか業界としての動きなのかが判別できないので、競合平均指数と比較できると、より詳細な変動要因把握ができます。

自社の株価変動と、競合5社の株価変動の平均値の比較
(HoooldersAnalytics画面より)

3. 継続的ににとらえる

1回の施策については、どうしても外部要因の影響度が除去しきれないため評価が難しくなりがちですが、継続的に発信機会のあるものについては、それらの平均値をとることで、統計的な有意性を判断することができます。

例えば、展示会出展についてプレスリリースを継続的に出しているような場合、1回1回の影響度は誤差に見えるような小さな変動だったとしても、10回分の平均を見て影響があるのであれば、効果あり、という判断ができるかもしれません。
このあたり、厳密には統計的有意差があるのかどうか、などの判定が必要ではありますが、IR施策のPDCAを"推進していく" という観点では、あまり厳密には考えずに平均値で判断してしまってもよいかと思います。

自社の過去の展示会出展プレスリリース(10回)の後の株価推移一覧
(HoooldersAnalyticsより)


効果的にIRのPDCAを回していきましょう!


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